気がつけばケヤキの向こうに日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.21)
(アルツハイマー)

気がつけばケヤキの向こうに日の出。200821.jpg

まだまだ咲きそうな野菜売り場脇の蓮田、今朝一番蜂の出入りが多い藕糸蓮の花。200821a.jpg

一羽が草地で獲物を見付けたら、次ぎ次ぎ寄ってくるムクドリの仲間たち。200821b.jpg

『眠ってなくてよかった』 (2020.8.21)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「まだ眠ってなくてよかった。半分眠っていたかな」「ベッドに寝転がっているの?」「寝転がっている」「それだと目が覚めないよ」「大丈夫、話していれば目は覚める」「起きてベッドに腰掛けないと目が覚めない。昨日はボケボケ、歌を鳴らしに起き上がったら目が覚めたよ」「じゃあ起きるか。向こうに置いてある電話機の赤いランプが点いている」「それはCDラジオだろ」「そう」「電話機は耳に当てて私の声を聞いてるもの」「アハハ。午前中聞かなかったのに電気を切ってない。だんだん目が覚めてきた。窓の外に垣根があって、その向こうは駐車場。ここはいいところだよ。静かだし、窓側には鏡台があって、その上にエアコンがある。鏡台の下に写真集がある」「妹3人とヨーロッパ旅行した写真だね」「何度も開いて、こういうこともあったなと思うよ。ここから家は近いよね」「直線で800m、356経由だと1250m」「356経由だと分からない。ここは何処?」「家から356に出て左に行くと消防署、その先の交差点を渡って左に曲がって次の道を入ると駐車場、その向こうがグループホーム寿」「そうか、初めて分かった。私は駐車場の先の道を右に曲がって、市役所の方へ下り、左に曲がって少し行って、坂を登ると家だと分かっている」「そっちだと遠回り。いつも手賀沼散歩に行っていたからその道を思い出すんだね」「一人で歩いて行けると思うが、途中で忘れたら困る。何で直ぐに忘れる?」「アルツハイマーになったから」「アルツハイマーになる人は多いんだね」「大事なのは今を生きること。今日ある今を生きること」「どうして分かる?」「認知症のテストを作った長谷川先生自身が認知症になってそう言っている」「人間年をとると何処かがダメになるよ。誰かが来て親しく話しても、帰った後には忘れてる。全部がバカになったんじゃなくて、正常な面もあるからほっとする」「時間になった。歌を鳴らしたら電話機を返してきて」「鳴ったよ・・・電話終わりました」200821c.jpg
(葦のカーテンが枯れ始め、隙間から見やすくなったモミジアオイの花。)

大分遅くなった日の出の時刻

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.20)
(アルツハイマー)

大分遅くなった日の出の時刻、日に日にずれる日の出を撮る位置。200820.jpg

手賀大橋の下から柏の街を覗けば、前を横切るボードに乗った水上散歩。200820a.jpg

一瞬の早業、烏の行水。200820b.jpg


『大きな封筒があった』 (2020.8.20)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「誰からかと思ったよ。一眠りしようと片づけていたら茶色の大きな封筒があった」「何が入っている?」「分からない。開けてみる。古い封筒だから破れそう。あなた体調は悪くないね?」「悪くない」「写真を整理してあったから、あなたは体調が悪いのかなと思った。そんなこと言って私は悲劇の女王になるのかな。電話、緊急のことでもあった?」「ないよ。いつも通りの電話だ」「袋の中からいっぱい出てきた。日本の歌のCDケース、拡大鏡、写真がいっぱい、岩滑で撮った写真、L夫婦と子どもたちの写真、お母さんありがとうって書いた封筒、友だちのAさんからの手紙。あなた来て整理してよ」「建物の中での面会は禁止中だから行けない」「どうして?」「伝染病が流行っているから」「あなたは自分の家でしょ。外へ出ていいの?」「人から人へ感染するし、誰が罹っているか分からないから、出来るだけ外出しないで、人に近寄らないように注意している」「近くにいるのになぜあなたが来ないかと思ったら伝染病が流行ってるからだね。あなたは坂の上の家にいるのね。私も行くよ」「外出禁止だからダメだよ」「空想の中なら罹らないでしょ。人に会わないようにするには岩滑の裏山の茶畑から峰を通って段へ出ればいいでしょ」「岩滑は静岡県掛川市、私がいるのは千葉県我孫子市、歩いて来られる距離じゃないよ」「いいじゃん、行けるときはパッと手賀沼が見えるとこに行っちゃうから」「さては空想の世界にいるな。天井を見てベッドに転がっているだろう。それじゃあ目が覚めない。窓の外を見て、あんたは岩滑じゃなくて我孫子のグループホーム寿にいいるよ」「私は岩滑の地図は見えるけど、他は見えない」「起きてベッドに腰掛けて。時間が来たから歌を鳴らそう」「掃除の時コードを抜いてあったから差し込むよ。ランプが点いた。いつものボタンを押したよ。・・・鳴った。電話機を返しに行くの?」「そう。返してから歌って」「・・・電話終わりました」200820c.jpg
(開き始めた今朝一番の別嬪、早速花に潜り込んだ蜂)

後ろ向きに桟橋との間を一往復

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.19)
(アルツハイマー)

カッパの前に辿り着いたゴムボートの人、後ろ向きに桟橋との間を一往復。200819.jpg

ジョギングの人が通れば、一斉に飛び立った小鳥たち。ただ一羽取り残され遊歩道を眺めるムクドリ。200819a.jpg

今朝開きそうな蕾を見付け他の花を撮ってから戻れば、ゆっくりと口を開き始めていた藕糸蓮の花。200819b.jpg


『さっぱり分からない』 (2020.8.19)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「何処かから帰ってきたらボーッとしていて、二日間何処へ行っていたのかさっぱり分からない。さっき帰って来て、歩いてみたら歩ける。何処かへ連れて行かれて一泊して帰ってきた。今村の夫はどこにいるかと聞いたら東京にいると誰かが言った。やっと景色が見えてきた。何処へ行って帰ってきたか分からない。掛川の会合に行ったのかな。まだ冷静じゃない。自分の部屋に戻ったが、私の鏡台を見てやっと私の家に帰れてやれやれと思った。そこへあなたの電話があって肩の荷が下りた。あなたは家にいるの、いいな。私も家に転がり込みたい。今日はお風呂に入って、ご飯を食べたらここへ連れてこられて、さっぱり分からないから、あなたから電話が来ないかなあと思っていた。誰が誰だか分からなくて嫌だった。どこにいるのか分からないほど困ることはないよ。私は何処に行ったらいいのか分からなくなって、息も出来ない気分だった」「二日間何処かへ行ったのは夢、あんたはグループホーム寿にいて、建物の外には出ていない」「誰かが連れて行った」「伝染病が流行っていて、外出は禁止されている」「今は自分の部屋にいるが、ご飯は岩滑のやといど(雇ひ人)がご飯を食べていたようなところで食べた」「夢を見たのか空想をしたんだ。昨日も同じ時間に電話したが、あんたは部屋にいたよ。一昨日面会に行ったことを忘れちゃったので、その時渡したネコの写真のことを話したよ。その写真は富士山の写真の横にあった」「みるとももを私が抱いた写真があるよ」「あんたは私の割烹着だからこれは私だと言った」「アハハ。いいこと言うじゃん。外の景色が見えるから現実に戻った。ここから家に行く道も言えるよ。今は泣いたり辛くはないがトンチンカン」「目が覚めてしばらくしたら治るよ。夢か空想の話をたくさん聞いたね。もう時間だから歌を鳴らして」「・・・鳴った」「電話機を返してきたら歌ってね」「分かった。・・・電話終わりました」200819c.jpg
(どんな夢を見るだろうか、こんなところでうたた寝をすれば。)

今朝も大橋を潜ってきたゴムボートの人

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.18)
(アルツハイマー)

手賀大橋の下から見える柏の街を撮ろうとカッパ前の桟橋、今朝も大橋を潜ってきたゴムボートの人。200818.jpg

昨日の少女、今朝は若女。明日は熟女になって、明後日には老女の舞を舞う藕糸蓮の花。200818a.jpg

ちょっと大きすぎるんじゃないその獲物、しばらく弄んで諦めたハクセキレイ。200818b.jpg


『夢?』 (2020.8.18)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「何だか知らないがものすごく緊張したから眠くなった」「眠ったの?」「ちょっと眠った」「そんなに惚けていないみたいだけど」「さあね、自分じゃ分からないよ。どこにいるの」「家にいる」「休みじゃなかったの?」「休みじゃないよ」「私はもめ事の調停や代表で挨拶するのを押しつけられて緊張してた」「何があったの」「夏休みが終わって学校で子どもたちが撮った写真を展示することになった。私の受け持ちの子が入選して展示する写真を他のクラスの子が汚しちゃった。みんなが犯人捜しするので、子どもはやりたくてやったんじゃないからとやめてくれるように頼んだ。汚した子を知っていたが公表しなかったら私の受け持ちの子が疑われた。その子じゃないことは分かって貰ったが、汚した子の親が知って学校へ謝りに来た。みんながごちゃごちゃもめるので、私が代表してみんなにこの問題をこれ以上詮索しないでと頼んで治まった。作品を汚した子の親が自分の子がやったと知って子どもを折檻するので、やめてと止めた」「厄介な夢を見たね」「夢?」「そう、夢。あんたはグループホーム寿にいて、外出は禁止だから外へは出ていないし、あんたがクラス担任をしていたのは何十年も前のことでしょ」「でも、はっきり憶えているけどなあ」「夢だから直ぐ忘れちゃうよ」「子どもの世界ではよくあること、昔のことが夢に出てきたのかな。昔のことなんかみんな忘れたのに」「昨日あんたと面会したとき、貰ったばかりのみるとももを抱っこしたあんたの写真をあげたから写真の夢かな」「昨日面会した?」「した」「写真がない」とあちこち探し始めた妻。「写真がないよ。あなたが来たとき探して」「テーブルの上の富士山の写真の横を見た?」「ネコの写真がある。私が抱いているみたい」「夢の話をしていたら時間になった。歌を鳴らして」「・・・鳴ったよ」「電話機を返してきてから歌ってね」「分かった。・・・電話終わりました」200818c.jpg
(・・・ヒカゲの3文字しか思い出せない名前。「・・・カキクケコサシスセソ」と呪文、サ、サトキマダラヒカゲだと思い出したがまだ不安、Messengerで友に確認しやっと落ち着く。今朝もまた加齢一気に加速するような暑さ。)

ちょっとだけ朝焼けになったケヤキの木の上空

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.17)
(アルツハイマ6)

ちょっとだけ朝焼けになったケヤキの木の上空。200817.jpg

コスモス畑から一株だけはみ出して咲いていた花。200817a.jpg

今朝も蜂が忙しい藕糸蓮の花の周り。200817b.jpg

『家に帰りたい』 (2020.8.17)
昨日午前中の妻との面会、子猫二匹を抱いた妻の写真をOさんに渡し、裏の駐車場で待つ。Oさんが窓を開け、妻を窓辺に連れて来たら、私を見付けた妻は途端に泣き顔になった。「どうして泣くの?」「私、ここにいるのが耐えられない。ここは悪いところじゃないけど家に帰りたい。私を連れて帰って」「伝染病が流行っていて外出禁止だから帰れない」「伝染病だからダメか。あなたはどこから来た?」「高野山の自宅」「誰といるの?」「一人でいるよ」「ここは静岡?」「違う、我孫子市寿のグループホーム寿」「あなたはどこにいる?」「高野山、直ぐ近くだ」「分からない。岩滑なら分かる。岩滑には誰がいる」「T君夫婦」「お姉さんは?」「大分前に亡くなった」「S姉さんは死んだ?」「Sさんは浜岡の施設にいる。亡くなったのはご主人」「あなたの家はどうした?」「高野山の自宅?」「違う」「浜岡の父母の家?」「そう」「両親が我孫子に来た頃処分したよ」「忘れちゃった。色んな人が分からなくなった。忘れてしまう前に会いたい。あなたの顔だけは分かるよ。だってカメラを持ってるもの」「写真のネコを抱いた人は誰だと思う?」「私だ。割烹前掛けは私のだ。みるとももは小さくて可愛い。いつ撮った写真?」「25年くらい前かな」「この子たちまだ生きてる?」「みるが先に死んで、ももは3年前に死んだ。二匹とも茶室前の庭石の横に埋めたよね」「忘れちゃった」「家に帰りたいよ」「今は伝染病が流行っていて外出できない。伝染病が治まったら子どもたちも呼んで家で食事したりお話しして、夕方になったらここに戻ろうね」「分かった。ずっと住むのはダメだよね」「私があんたの介護をできなくなって、代わりにここで介護して貰っている」「私は何も悪いことをしていないのに何でこうなった」「病気だから仕方がないよ」「直ぐ近くにいるから、元気で仲良くしていようね」「また来週も面会に来るよ」「待ってる」と、また泣き顔になった。車に乗り込むと、Oさんと一緒に手を振っていた。200817c.jpg200817d.jpg

水の館の展望台に映った日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.16)
(アルツハイマー)

遊歩道の木立の隙間、水の館の展望台に映った日の出。200816.jpg

たくさん咲いた藕糸蓮の花。花から花へ忙しく飛び回る蜂たち。200816a.jpg

ムクドリたちの水浴びが終わって飛び去れば、ジャブジャブ池に戻ってきたハクセキレイ。200816b.jpg


『私はどこへ行くの?』 (2020.8.16)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今どこにいる?」「家にいる。Aさんの家から坂を登ったところ」「どこだか分からない」「眠っちゃった?」「眠ったから惚けてる。天井を見て寝転がっている」「起きてベッドに腰掛けて。起き上がらないと目が覚めない」「よっこらしょ」「とうとうその日がきたね」「何が?」「ここを出る日でしょ。私はどこへ行くの?」「何処へも行かない。今まで通りいていいの」「ずっといてもいいの?」「いいよ」「ここは何処?」「グループホーム寿」「施設が幾つもグループになっているところ?」「そうじゃない、グループホーム寿って名前の施設」「窓の外に駐車場があって、その先の広い道を右に下って市役所の先を左に曲がる。手賀沼の傍を少し歩いてAさんの家の前から坂を登ったところが家だよね」「そう」「だったらここにずっといていいんだ」「ここにいれば食事や洗濯などの生活面や、訪問診療のお医者さんや歯医者さんも定期的に来てくれる」「いつ入った?」「今年1月」「前にこの辺りを一緒に散歩した?」「伝染病が流行って外出禁止になる前は一緒に散歩した。子の神大黒天にも何度も行ったよ」「憶えていない」「あなたはここに住まないの?」「入居の資格がないからダメ。自宅に住んでる」「あなたの家は何処?」「Aさんの家の前から坂を登ったところ」「その家はまだあるの?」「私が住んでいる」「いいなあ、私も一緒に住みたい」「去年まで一緒に住んだが、あんたが目眩や吐き気、頭がガンガンして病院に行くことが増え、膵炎になって二度も入院した。私が介護しきれなくなって、私の代わりにグループホーム寿であんたの介護をお願いすることになった」「私はもうすぐ80だからあなたは82だもの、無理だよね」「今度の日曜日に面会に行くよ。あんたは大きな部屋の窓の内側、私は外の駐車場にいて面会する」「嬉しい。待ってるよ」「歌を鳴らして」「・・・鳴ったよ」「電話機を返してきてから歌ってね」「分かった。・・・済みません、終わりました」200814c.jpg
(ここにいれば食べるには困らないらしいハクセキレイ。)

空を染め、今日も暑くなりそうな日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.15)
(アルツハイマー)

蓮田へ急いだ畦道、田んぼの向こうに頭を上げたアオサギ。200815.jpg

今日一番蜂に人気の藕糸蓮の花、周りに他の花も咲いているのに。200815a.jpg

群れてきて、ハクセキレイの居場所を奪ったムクドリの群200815b.jpg


『私の結婚相手の人』 (2020.8.15)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今日は来るんじゃなかったの?」「誰が?」「あなたが」「今日は行くことにはなっていないよ」「あなたが誰かを連れてくるんでしょ」「誰を?」「相手の人」「誰の相手の人?」「私の結婚相手の人」「あんたは私と結婚してるじゃないの」「いや~。だってあなたが見合いする人を連れて来るって言ったでしょ」「そんなこと言ってないよ。昨日電話したときもそんな話ししてないよ」「昨日じゃなくもっと前に言った。見合いなんて嫌だったけど、あなたにも都合があって私を誰かに押しつけたいんでしょ。嫌だって言うと喧嘩になるから黙っていた。今日来るって言ったから、今朝から服装の準備をしていた。派手な物じゃいけないし、どれにするか色々並べてみた。来るのは私より若い人か、再婚なら年取った人かなと思ったりした」「私はそんなこと言っていないし、夢を見たんだよ」「あなたが言った。何人くらい来るかって聞いたら3人くらいと言った。私は騙されているみたい」「誰に?」「あなたに。私がこんなだから、誰かにあなたとの結婚は終わったと言われた」「誰に?」「知らない。私はてっきり乗せられてる」「伝染病が流行っていて、グループホーム寿では面会も外出も出来ないよ」「窓の外の駐車場に連れてくると思った」「夢を見たんだよ」「目は覚めてる。朝から準備していた。私はしっちゃかめっちゃか、あなたがいるのに結婚させられるのは嫌だなと思った。そうじゃないなら肩の荷が下りた。私は結婚したくないのになぜって言ったが、あなたは男だから勝手なことを言うのかなと思った」「悪い夢を見ちゃったね」「夢じゃなかったけど、私が勝手な空想をして言ったことにして、この話はご破算にしよう」「今度の日曜日に面会に行くよ」「来てね。待ってる」「歌を鳴らして」「・・・鳴った」「電話機を返してきたらたくさん歌ってね。歌って嫌なことを吹き飛ばそう」「分かった。行ってくる。・・・すみません、電話終わりました」200815c.jpg
(寝ぼけたように薄ぼんやりと、雲から滲み出てきた日の出。)

空を染め、今日も暑くなりそうな日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.14)
(アルツハイマー)

空を染め、今日も暑くなりそうな日の出。200814.jpg

昨日開き始め、二日目までは慎ましやかな姿。200814a.jpg

大きな獲物にご満悦なコガネグモ。200814b.jpg


『二人で買い物に行きたい』 (2020.8.14)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「お父さんから電話よって言われて嬉しくなった。よく喧嘩したけどそれは親しかったから。淋しくて不安なときは頼りになる」「直ぐ近くに住んでるし淋しくないでしょ」「地図の上では近くでも、オーイと呼んでも聞こえない。今は不本意に涙が出る。あなたは外へ出ることはないの?」「ない」「なんで?」「家にいても生活できるから」「買い物は?」「夕食は宅配弁当、食料品はパルシステムや通販。パソコンかスマホで買い物できちゃう。衣類は洗濯できる物は古くなったって生きられる」「ここはそんなにきつくないが、閉じ込められて自由度がない。二人で買い物に行きたい」「伝染病が流行っていて外出禁止だし、外に行くと熱中症になるほど暑い」「二人で買い物に行くのはいいな」「あんたが家にいた頃、二人で買い物行ったよ」「なんで二人で行った?」「あんた一人で行くと必要な物を買わずに帰ってくるようになったから」「憎たらしいことを言うね。でも本当だものね」「その内に行きたくないから一人で行ってと言って一緒に行かなくなった」「知らんべ」「いま、左に行けば家の方、右にちょっと行った店に来た。名前は忘れた」「カスミ?」「私はどこにいるか分からない」「グループホーム寿のあんたあの部屋」「それ、何処?」「消防署やコナカの近く」「ここがどこだか分からないと地図が出てこない」「窓を開けてごらん。駐車場が見えるだろう」「いつもの駐車場だ」「駐車場の前の道をまっすぐ行くと広い道に出る。船取線だよ」「分かった。右に行って坂を下ると市役所、その先を東に曲がるとAさんの家があって、坂を登ると家。地図が出てきた。どこにいるか分かったよ。あそこここと言われても、頭の中に巣を作っていないところは分からない。頭の中の地図じゃ物足りない。実際に見比べて確かめたい」「分かったような分からない話だな」「アハハ」「時間だ。歌を鳴らそう」「・・・鳴った」「電話機返してきて」「・・・電話終わりました」200814c.jpg
(ちょこまか歩き、獲物を見付けたのかしばらく突いていたが、諦めてまた歩き出したハクセキレイ。)

薄雲を染め、雲の向こうはもう日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.13)
(アルツハイマー)

薄雲を染め、雲の向こうはもう日の出。200813.jpg

藕糸蓮の花に飛んできた蜂二匹。一匹が花に潜り込めば、順番待ちかもう一匹は中を覗き込む。200813a.jpg

草地で餌探ししていたムクドリ、散歩の人が通り過ぎるのを待つ石の上。200813b.jpg

『何かご用?』 (2020.8.13)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「昼ご飯の後、昼寝しようと思って布団を直していたらあなたから電話だって言われた。何かご用?」「いつもと同じ、あんたの元気な声を聞きたくて電話した」「私を気にしてくれて嬉しいよ。ここにいる人一人一人のことは知らないが、置き去りになっている人もいるのは知っているよ。あなたから電話が来る頃だと思っていて電話が来ると、一日の流れが豊になるから嬉しいよ。ドアが開いて事務所の人が電話を持って来たらよかったなぁって思って、目から涙が降って、言わんでもいいことを口走っちゃう」「まだ眠っていなかったのね」「部屋へ戻るとここは自分一人の世界だから、休み時間を大事にするよ。眠りこけちゃうと終わりだから、直ぐ起きられるようにしているが、眠っちゃうとみんなが集まっても起こしてくれない。起きてみんなと話しても、同類項みたいな人ばかりだからたいした話しはない。男の人がいないからうるさくないし、みんないい人だと思う」「ここの生活に慣れてきたのだね」「私は耳がシーンと鳴ってるから何を言われたか注意してる。自分の声もちょっと遠くで聞こえるが、ドアの音や外の大きな音は聞こえてる」「午前中は何をした?」「部屋の掃除をして、何人かで廊下の掃除をする。みんなで集まって話しをする。係の人の指示で色々やって、ゆっくり昼ご飯を食べる。みんなで話し、適当なときに自分の部屋に戻る。ぼつぼつあなたから電話が来るかなと思って、ベッドにころがっている」「眠っちゃうと空想の世界に行っちゃうが、眠らなかったらすっきりしてるね」「何で私はこうなったの?」「アルツハイマーになったから」「頭が全くパーになったんじゃなく、直ぐ忘れても、忘れるまではちゃんと理解できるよ。忘れちゃうとまた初めから考えるみたいだけど」「もう歌を鳴らそうか」「・・・鳴ったよ。歌うと気持ちが明るくなる」「電話機を返してきたら歌ってね」「行ってくるね。・・・すみません。終わりました」200813c.jpg
(薄雲を染め厚い雲から出た日の出、今日も暑くなりそうな予感。)

東我孫子の丘から眩しい日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.12)
(アルツハイマー)

コスモスの花を撮っていれば、東我孫子の丘から眩しい日の出。200812.jpg

蜂たちをさそうように咲いた藕糸蓮、入れ替わり立ち替わり花に潜り込む蜂。200812a.jpg

密集する葦の間にモミジアオイの花、風もなく運良く出来た隙間から覗く。200812b.jpg


『明日解散する』 (2020.8.12)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「ベッドに入ったがまだ眠ってはいなかった。あなたはどこにいる?」「高野山の自宅」「Aさんの家から坂を登ったところ?」「そう」「私を迎えに来て」「どうしたの?」「ここに集められた人は明日解散する。食事は市が出してくれたが、解散したら出ないでしょ」「あんたが今いるのはグループホーム寿、市の研修会じゃないよ」「私はどこにいるの?」「今年の1月からグループホーム寿にいる」「どうして?」「去年までは自宅に二人で暮らしていた。あんたは膵炎になって入院したり、目眩、吐き気、頭がガンガンして病院に連れて行くことが増えた。私は介護が出来なくなってきたし、あんたも施設に入りたいと言って、ケアマネージャのMさんが探してくれた施設を二人で見学した」「申し込みに来たのは何となく憶えている」「12月に空きが出来て、今年1月から入居できることになった。正月にAとLが来て入居の仕度をしたり、一緒に食事をした。子どもたちが来て嬉しくてあんたは食べ過ぎちゃった」「バカねぇ」「子どもたちが帰った後、膵炎を再発して取手の病院に入院した。その間に色んな記憶が消えちゃった」「全然憶えてない」「退院して直ぐグループホーム寿に入居させて貰って私は助かった」「あなたも年だものね」「ここでは生活面の支援を受け、訪問診療の先生の診察で膵炎も再発していないし、目眩、吐き気、頭がガンガンするのも治った」「治ったね」「記憶が戻っても入居時の記憶は消えてしまった。2月末までは毎日面会に来たが、伝染病流行で面会できなくなってからは毎日電話している」「ここは何処?」「356のコナカの裏側」「やっと何処か分かった。窓の外の駐車場から手賀沼の傍を通って坂を登ったら家だだって分かった」「もう時間だから歌を鳴らそう」「・・・コードが外してある。何処へ挿すか分からない」「職員さんに代わって、私がお願いするから」「・・・夫からお願いです」と、職員さんに電話を代わってコードの接続をお願いした。200812c.jpg
(じゃれ合うようにジャブジャブ池に飛んできたハクセキレイ親子。せわしく動き回る子ども、撮らせてくれない親子のツーショット。)

早朝から来て草を食べるコブハクチョウ親子

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.11)
(アルツハイマー)

市民農園の草地、早朝から来て草を食べるコブハクチョウ親子。200811.jpg

雲の中から眩しすぎる日の出、辺りの景色は瞬時に影絵のように。200811a.jpg

蓮田に朝日が射し込めば早速現れた蜂。200811b.jpg

『何がが何だかわからない』 (2020.8.11)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「起こされたけど眠い。いま何時?」「1時10分」「お昼食べたが、いつ寝たか知らない。何でこんなに疲れたのだろう。昨日何をした?」「昨日午前中は私と面会した」「知らない」「みるとももの写真と、自宅の表側の写真を渡したよ」「知らない」「どこかに写真を置いてない」「ないよ。鏡台に前には洗濯物の袋がある。洗濯をお願いしますって書いてある。洗濯物は前の日に用意するから、昨日やったみたいだ。いつ取りに来る?」「知らないよ。職員さんに聞いたら」「今日は来る日じゃないからラジオのコードが丸めて乗せてある」「コードはコンセントに挿してないの?」「挿してない」「コンセントに挿して」「挿してもダメ」「もう一方の端がラジオにつながっている?」「何処に挿すか分からない。今日は来る日じゃないから外したんだ」「来る日って?」「洗濯物を取りに来る日」「洗濯物とコードとは関係ないでしょ」「何がが何だかわからない。洗濯物はいつ取りに来るの?」「職員さんに代わって。私が聞くから」「・・・夫が代わってって」「もしもし、どうしました」「CDラジオのコードが外れていて繋ぎ方が分からないことと、洗濯物のことを気にしています」「洗濯物は袋に入れておくと集めて洗濯します」「洗ったもの、洗ってないものごちゃ混ぜになっていませんか」「どれも臭いがしますから洗うものだけです。ラジオのコードは挿し込みました。奥さんに代わります」「何が何だかわからない。ラジオの横にネコの写真がある。あなたが送ってくれたの?」「昨日面会の時に渡して一緒にみるともものことを話したよ」「憶えていない」「洗濯物はどうするの?」「集めに来てくれる」「いつ?」「いつかは聞かなかった」「じゃあ分からないじゃない」「もう一度聞こうか? もう時間だ。歌を鳴らそう」「・・・鳴った・・・夫につながってます」「代わりました」「洗濯物をいつ取りに来てくれるかこだわっています」「対応しておきます」「お手数かけました」200811c.jpg
(散歩に人が通り過ぎるのを待ったいたのか、ジャブジャブ池に舞い戻ってきたハクセキレイ。)

数が増えた水面を見詰めるダイサギの姿

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.10)
(アルツハイマー)

遊歩道脇の埋立地の杭、数が増えた水面を見詰めるダイサギの姿。200810.jpg

花が増え始めたコスモス畑、三脚を立てた友の横で撮る。200810a.jpg

「出た」と友、雲間から抜け出して登る日の出。200810b.jpg


『疲れて眠いからまた来て』 (2020.8.10)
昨日、出発直前にプリントした自宅玄関前とネコの写真を職員さんに渡し、面会表を記入。面会場所の窓の前で待っていると職員さんと一緒に現れた妻、「わざわざ写真を届けに来てくれたの、眠くて髪がもしゃもしゃだ」「今日は面会日だよ」「あの車あなたの?」「そう」「写真の車と同じナンバーだ。ねえ、この写真、みるともも?」「そうだよ」「可愛い」「どっちがどっちかる?」「わかるよ。こっちがみるでこっちがもも。二匹とも元気?」「二匹とも死んだ。二匹とも茶室の横の庭石の傍に埋めたよ」「そうだったね。長生きしたね」「ももは23年くらい生きたのかな。みるより数年長生きした」「みるはお茶目で甘えん坊、ももは控えめで恥ずかしがり屋、両方とも可愛かったよ。子どもの頃いつも家にネコがいて、ネコ大好き人間だからネコを首に巻いた。写真を見ると涙が出ちゃう」「家の玄関前の写真、変わっていないでしょ」「壁を直した? 白くてきれい」「直していない」「庭木がすっきりしてる」「6月始めに庭木の剪定をしてもらった」「目を瞑るとちゃんと憶えているよ」「憶えていた景色と同じ?」「同じだよ。家の前の道だって憶えている。ちょっと南に行って東へ曲がると手賀沼が見えるところ、西へ坂を下ったら神社へ行く道、途中から坂を下るとAさんの家。もっと行くと手賀沼に出る。全部思い出せるよ。家に帰りたいなぁ」「いまは伝染病が流行っていて、外出も、建物に入っての面会もダメ」「そんなにひどいの?」「東京は大流行、東京と行き来の多い松戸や柏は急に感染が増え、我孫子だって27人も感染者が出た」「大変なんだ」「流行が収まったら外出して、子どもたちも呼んで家で食事したりお話しできるようになる」「伝染病相手だからあてには出来ないね。帰りたくて涙が出てきちゃう。脚が疲れちゃったから座るね。座ってもちゃんと見える」「こっちから見ると顔だけが枠の中だ」「疲れて眠いからまた来てくれる?」「次の日曜日に来るよ」「じゃあね」と手を振った妻。200810c1.jpg
(疲れて座っちゃった妻)200810c2.jpg

散歩の人が立ち寄るようになったケヤキの下

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.9)
(アルツハイマー)

朽ちた板が取り替えられたベンチ、散歩の人が立ち寄るようになったケヤキの下。200809.jpg

ススキの間から現れたキジの頭、見て見ぬ振りをしていれば慌てて前を通り過ぎる。200809a.jpg

獲物を捕らえたムクドリを見て、咥えた餌を奪おうと襲いかかったたもう一羽。200809b.jpg


『今日来るの?』 (2020.8.9)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「待っていた。今日来るの?」「明日だよ。今日は土曜日、面会は日曜日」「日曜日なら何もないからいい」「朝10時30分の面会」「その時何をしているか分からない」「係の人が呼びに来てくれる」「そうか。明日も窓の外と内側?」「そう。窓越しだって話は出来るよ」「80になる人間でも、会えるのは心待ち。子どもみたいにうきうきするよ。近くには手賀沼もあるし、いいところだね」「いいところに入れた」「どうやって決めた?」「ケアマネージャのMさんが探してくれ、私とAが二ヵ所下見し、次の日曜日にあんたと私が来た。あんたはいいところだと気に入った。申込書を書くとき、自分のことは自分でやると、あんたは自分で署名した」「自分で書いたのは憶えている。自分のことは自分でやるのが私の信条、あんたが書こうとしたので引き取った」「よく憶えているね」「人生の最後に住む場所を決めるのは重大なことだもの。年をとると死に対する恐怖心はなくなって、人生が終わる時だってわざわざ考えなくなる。あの世へ行くって言うけど誰も帰ってきた人はいない。死んだら何もなくなると思うよ」「そうか」「何事も終わるときは幸せな一瞬とどうにもならない一瞬があるよ。一緒になってから住んだところ、全部おぼえているかなぁ」「結婚して武蔵小山に住んだ」「どんな所?」「アーケード商店街の直ぐ傍。大和荘ってアパート」「そうか、次は?」「等々力、染谷さんの家」「渓谷の横だった?」「そう。次は横浜の片倉台団地」「色んなことをやった」「PTAや産休の教師もやったね」「楽しかった」「私が転勤して、我孫子に引っ越し家を建てた」「まだその跡地はあるよね」「その家に私が住んでる」「まだあるのね、ああよかった」「去年までそこに二人で住んでいて、今年からあんたはグループホーム寿に来た。もう時間になった。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った」「明日は面会に行くよ」「ありがとう・・・電話終わりました」200809c.jpg
(開き始めた藕糸蓮の蕾、待ちきれないのかこじ開けて入ろうとする蜂。)

曇天の空へ一羽二羽と飛び立って行くダイサギ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.8)
(アルツハイマー)

曇天の空へ一羽二羽と飛び立って行くダイサギ。埋立地の杭に泊まって、日立研修所の森を越え利根川の方に行くのか。200808.jpg

今朝も三つほど咲いていた藕糸蓮の花、あちこちに手術室の照明灯のようなうてなが目立つ。200808a.jpg

今朝もハクセキレイ親子が来ていたジャブジャブ池。200808b.jpg


『お爺ちゃんとお婆ちゃん』 (2020.8.8)
昨日午後の妻との電話、子機使用中だから10分後に掛け直した。「もしもし」「は~い」「昼寝しようとしたら電話が来ると言われて一生懸命目を開けて待っていた。いまどこにいる?」「高野山の自宅」「何人で住んでいるの?」「一人」「お爺ちゃんとお婆ちゃんは一緒にいるの?」「父は36年前に死んだし、母も八王子に行ってから17年前に死んだ」「何で八王子?」「私の弟のNの家の近くにいたから」「ああそうか、Nさんは末っ子でいつも可愛いって言っていたね。何で二人が家にいると思ったのだろう?」「父が認知症になって、母が介護出来なくて二人で我が家に来た。母は父が亡くなった後もわが家にいた。Nの所に数日間行く予定でNと一緒に出掛けたが、誰も知らない間に我孫子から八王子に移るように手続きしていてNもびっくり。仕方なくNの持っていたワンルームマンションに母を住まわせた。Nも困ったと思う」「そうだったね。末っ子のNさんの所に行くのが念願だったのね」「そのことが頭の何処かにあって、父と母が自宅にいると思ったのかな」「そのことはもう忘れていた。人は次々と交代して生きている。今日は眠くて、寝ぼけていた。あなたは近くにいるの?」「歩いて15分くらい」「そこがあなたの家?」「そう、私とあんたの家」「私も家があってよかった。前の駐車場に鮮やかな青い車がある。その先に上から来る広い道があって右へ曲がって下ると市役所の前、その先を東に曲がり、手賀沼の横を歩いて坂を上ると家。家の前を通り過ぎて行くと356に出て、右へ行くと中学。その先を左に曲がると天王台駅、右に行くと病院」「依田内科だね」「線路沿いに行って右に曲がると・・・分からない」「東我孫子」「橋を渡って行くといつも行っていたところ」「近隣センターこもれび?」「よく分からないから最初に戻るよ」「時間になった」「もう終わりか、淋しいな」「歌を鳴らしてから電話機を返して」「・・・鳴ったよ。あなたと話して歩いたら元気が出た。・・・電話終わりました」200808c.jpg
(葦のカーテンの隙間から覗き込んでいた散歩中の老夫婦、「モミジアオイみたいだけど葉っぱの形が少し違うみたい」と。ちょっと羨ましいお二人の散歩姿。)

振り返ればケヤキの脇に目映い日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.7)
(アルツハイマー)

背後から足元に射し込んできた朝日、振り返ればケヤキの脇に目映い日の出。200807.jpg

蓮田に朝日が射し込んで、花にさそわれ飛んできた蜂。200807a.jpg

草地に飛んできた瞬間、電光石火獲物を咥えたムクドリ。200807b.jpg


『今日は赤い花がきれいだ』 (2020.8.7)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」[「いま何時?」「1時11分」「ちょっとだけ眠っただけだ。外は暖かいの? 寒いの? 暑いの?」「暑いよ」「どうでもいい。ほんとにつまんない日が続く」「外を見て、昨日と今日の違うところを見付けたら楽しいよ」「毎日外を見ている。今日は赤い花がきれいだ」「赤い花って、何の花だろう。カンナの赤い花?」「違う」「ケイトウ?」「そんなに赤くない。こっちに来て、私と一緒にベッドに寝そべって見てご覧よ」「面会も外出も止められているからあんたの部屋へは行けないよ。赤い花じゃなくて垣根の上の方の葉が赤いのでしょ」「葉っぱが赤いのか。下の方につぶつぶがあるよ」「垣根のことでしょ」「そう」「垣根はアカメモチだから新芽が赤い。下の方につぶつぶがあるって実のことかな。よく分からない」「私の話がデタラメノメだから? ここに泊まっていて宿泊費はどうなるの?」「誰の?」「私の」「ちゃんと支払ってるから心配しないで」「あなたが払ってくれているの、ごめんね。大変だから家に帰った方がいい?」「去年までは家であんたと二人で暮らしていた。あんたの体調が悪くなって、病院に連れて行ったり、介護するのがだんだん私にできなくなってきた」「あなたも年取ったからね」「私の代わりにあんたの生活面や健康管理をしてもらうために、あんたはグループホーム寿に入った。あんたがそこにいてくれるから私は楽になって助かっているよ」「もうずっと家には行けないんだ」「伝染病が治まったら、ちょっとだけ家に帰って、一緒にご飯食べたり話をして、夕方にはそこへ戻ることは出来るようになるよ」「目を瞑ると家までの道が浮かんで来るよ。何だかわからないけど、だんだん途中のものが見えなくなって来た」「今度の日曜日も面会に行くよ。あんたは広い部屋の窓の内側、私は外の駐車場にいて面会」「待ってるよ」「歌を鳴らして、電話機を返してきて」「電源押してCD押した。三角の矢印か・・・鳴った。行ってくるよ。・・・終わりました」200807c.jpg
(じゃれ合うようにもつれて飛んできたハクセキレイ親子。親もせっかちに動くが、じっとしていられない子ども。)

カワウもアオサギも来ていないカッパの周り

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.6)
(アルツハイマー)

カワウもアオサギも来ていないカッパの周り、広い沼に鳥の姿がない水面。200806.jpg

草地の中で獲物を咥え、小径まで出てきて何度も咥え直すムクドリ。200806a.jpg

蜂を誘い艶やかに咲いた藕糸蓮。飛び回る蜂が、花びらに潜り込んだ隙を待って撮る。200806b.jpg


『久しぶりに会いたいよ』 (2020.8.6)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「歯磨きして後片付けしようとドアを開けたら、ちょうど電話機を持ってきてくれた。あなたは近くにいるのね。それなのにここへ来ないし、私も行かないって変じゃない」「伝染病に感染しないようにグループホーム寿は面会も外出も禁止しているから」「中国からどさっと感染した人が来たから?」「初めはね。その次は中国からヨーロッパに広がったものやアメリカで流行ったものも入ってきている。人から人へ感染するけど、見ただけでは誰が感染しているか分からない。伝染病が施設に入って来ないように面会や外出を出来なくした」「あなたは何処の施設で仕事をしているの?」「20年も前に退職して仕事はやめた。高野山の自宅にいる」「一人で?」「一人でいる」「ご飯食べに外へ行くと危ないよね、罹った人がいても分からない」「家で一人で食事している」「仕事も止めたし、会う人も少なくなって、家にいるのは淋しいね」「淋しいよ」「あなたも80過ぎ、もう外国の人も家には来ないよね」「来ないよ。家に来るのは宅配弁当と宅急便や通販の配達をする人くらいだな」「それならあなたは大丈夫だね。久しぶりに会いたいよ」「この前の日曜日に面会にい行ったじゃない」「何処で」「あんたは大きい部屋の窓の内側、私は外の駐車場にいて会ったよ」「そんなのが会った内に入るの? そんなの直ぐ忘れちゃうよ」「今度の日曜日も面会に行く」「また窓を挟んでか」「伝染病が流行っているから仕方がない」「あなたに言いくるめられてだんだん分かってきた。国も一生懸命やっていても手に負えない。辻褄の合わないことばかりやってるの?」「テレビで見たの?」「テレビで言っていたのかな。テレビはあまり見ないから誰かに聞いたのかもしれない」「時間になった。歌を鳴らしたら電話機を返してきて」「ランプ着かない」「電源ボタン押した?」「点いた。・・・鳴ったよ。~春を愛する人は・・・~」「電話機返してきてから歌って」「分かった・・・電話終わりいました」200806c.jpg
(梅雨が明けてから、花が増え始めたコスモス畑。)

遊歩道に次ぎ次ぎと散歩の人

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.5)
(アルツハイマー)

ケヤキの木の下で一休み。涼しいうちに散歩するのか、遊歩道に次ぎ次ぎと散歩の人。200805.jpg

ジャブジャブ池に親子で来ていたハクセキレイ、親の周りを走り回る子ども。200805a.jpg

咥えたカマキリとにらめっこしているスズメ。200805b.jpg


『訳がわからない』 (2020.8.5)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「いまお昼休み。窓の外を見ると駐車場の向こうに家が見えるが、駐車場の横に出ると何も見えない。ほんとに訳がわからない」「窓から見ているのは現実の風景、外に出て見た景色は夢か空想だと思うよ。グループホーム寿にいたら伝染病対策で面会も外出も出来ないから外には行っていない」「だけどすっと出ちゃった」「玄関から出られないし、他に出口は無い」「そうかなぁ。いつも出てるよ」「空想だからすっと出られるし家も見えなくなる」「知らんべ。空想の世界だって、駐車場の先に行けば市役所の方へ下る道、知ってる道だよ」「外出禁止になる前に私と一緒に散歩した道だよ」「景色を憶えていたから気持ちが外へ出ていると騙されたのか。明日は解散になって、家に帰れって言われる?」「研修会に来ているんじゃないよ。あんたはグループホーム寿に入居しているから帰らなくていい。私の代わりにあんたの生活支援や健康管理をお願いしている」「何であなたと一緒に家にいないの?」「去年までは一緒に住んでいたが、目眩や吐き気や頭がガンガンして何度も病院に行った。膵炎になって二度も入院した。私はあんたを介護しきれなくなって、あんたも施設に入りたいと言った。一緒にグループホーム寿を見学して申し込んで、今年1月に入居した。直前にJAとりで総合医療センターから退院したばかりで以前のことを忘れてしまった」「そうだったの」「ここへ来てから訪問診療を受けるようになって、膵炎は再発しないし、目眩や吐き気、頭がガンガンするのも治った」「治ってる。私だけがいい思いをしてるの、ごめんね」「あんたがここにいてくれるから、私は自分の生活ができて助かってるよ。私が面倒見られなくてごめんね」「私があなたを助けたいのに出来なくて辛いよ」「泣かないで。今度の日曜日には会いに行くから。もう時間だ、歌を鳴らして電話機を返してきて」「CD押した」「矢印を押して」「・・・鳴った・・・電話終わりました」200805c.jpg
(ひと声鳴いたホオジロ、背伸びして辺りを探せばコスモスの上に。

東我孫子の丘の上、薄雲の中に登る日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.4)
(アルツハイマー)

東我孫子の丘の上、薄雲の中に登る日の出。200804.jpg

ジャブジャブ池の水溜まりに今朝も来ていたハクセキレイ。200804a.jpg

獲物を咥えて左右に振り回すムクドリ、地面において咥え直したらまた振り回す。200804b.jpg


『失敗の巻きだよ』 (2020.8.4)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「あのねぇ、お昼食べて部屋に戻って窓を開け、暑い空気を外へ出したつもりだったのに窓は閉まっていた。開けずにぼーっとしてベッドの上で大の字になっていた。失敗の巻きだよ」「クーラーは?」「入れてあった」「だったら窓は閉めてあった方がいい」「窓から西日が入ってしまう」「窓は東向きだから西日は入らないよ」「またまた失敗の巻きだ。まだ西日は赤い垣根の上に射しているから間違えた。あなたは元気?」「元気だよ」「何処へ行って来た?」「依田内科」「何を診て貰った?」「心臓のエコー検査、徳永先生から心臓の人工弁の脇から少し血液が漏れているが人工弁の音はいいから大丈夫だって説明があった。その後に依田先生の診察、薬局で薬を貰って帰ってきてあんたに電話している」「お昼ご飯食べてないじゃないの」「電話終わったら食べるよ」「何処の病院に行った」「依田内科、いま話していたじゃない」「ご飯のことが気になったら忘れた。失敗の巻きばかりだ。大事にしていたフクロウの写真が何処かに行ってあっちこっち探したら、ちゃんと仕舞ってあった。出てきて嬉しかったからいま手に持ってる」「昨日面会のとき持っていった写真だね」「いやだ、昨日会ったの? 忘れてた。眠った後惚けていた。恥ずかしくて死にそう。でも死ぬほどのことじゃないね。ここへ戻って寝たのが悪かった。いま私が見ているのは西?」「東」「じゃぁ駐車場の先の道に出て右へ下ると市役所の前、その先を東に行って坂を登ると家。早く家に帰ってきてよ」「私は家にいるよ」「そうか、早く会いたいと思って損した。幾つものことがあるとこんがらがっちゃう。あなたは一つ一つよく憶えているね、私は一つ一つ忘れちゃう。アハハ。もう80だものね」「もう時間だ。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「あなたと話していると嬉しい。・・・鳴ったから行ってくる。電話ありがとうね。・・・今村です。終わりました」200804c.jpg
(こっちこっちと呼んでいるように、ゆっくりと開き始めた藕糸蓮の花。)

朝日を浴びて輝く手賀大橋、暑くなりそうな空

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.3)
(アルツハイマー)

朝日を浴びて輝く手賀大橋、暑くなりそうな空。200803.jpg

ジャブジャブ池のたまり水にハクセキレイ親子。200803a.jpg

開き始めた二日目の藕糸蓮の花。200803b.jpg


『子どもたちはどうした?』 (2020.8.3)
昨日朝の面会予約時間少し前、グループホーム寿に着くとOさんが出てきて面会票記入、プリントしたフクロウの写真を妻に渡すように頼んだ。いつぞや妻と話して、まだ子育て中の頃に自宅前の林で毎夜フクロウが鳴いたことを思い出した。妻の残り少ない記憶を大事にしてやりたくて、Facebook友だちHisaaki Ugaさんから写真を頂いて持参した。面会場所に現れた妻の手にはフクロウの写真、「これ、どうしたの?」「昔、夜になるとフクロウが鳴いたのを憶えてる?」「・・・」「子どもたちが小さい頃椎茸山で毎晩鳴いていた」「林が無くなっていなくなったのが生きてたの?」「それとは別のフクロウだけど。僕は撮れなかったから頂いたの」と話すうちに昔のことを思い出したらしく、「子どもたちはどうしてる?」「元気だけど、伝染病が流行っているから会社には行かず家で仕事をしている」「そう、そういうことを聞くと涙が出ちゃう。私だけに面会が来ると他の人が羨ましく思って悪いから早くおしまいにしよう」「来たばかりだよ。元気そうになったね」「前は元気じゃ無かった?」「去年は膵炎で入院したり、目眩や吐き気や頭がガンガンして辛かった。ここに来て訪問診療の先生に診て貰ってから元気になったね」「そうか、ここはいいところだ。私の好きなのはあっち」と駐車場脇の小屋を指さす。「階段があって下りられる」「その向こうは子の神大黒天、そこから下りるとカスミや夢庵がある。もっと行くと手賀沼」「外出解禁になったら連れてってね」「伝染病が治まったら散歩に行こう。明日また電話するね」「来てくれてありがとう」と泣き顔になって、フクロウの写真を椅子の上に置いて手を振った。帰宅後、妻の友Aさんから電話。妻へ手紙を届けに行ったら職員さんは誰も出てこず、奧から妻が出てきてびっくりし距離をとって後退りすると、後から出てきた係の人に「私の友だち」と嬉しそうにAさんを紹介した。「ご主人面会に来た?」と訊ねたら私との面会はもう忘れた様子だったと。200803c.jpg
(笑顔だった妻に見送られて、振り返れば泣き顔だった妻。)200803d.jpg

やっと梅雨明け、久々に目映い日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.2)
(アルツハイマー)

やっと梅雨明け、久々に目映い日の出。200802.jpg

朽ち板を取り替えてきれいになったベンチ。帰り道ケヤキの木を眺めたら、早速座っていた散歩の人。200802a.jpg

ちょっとずつ蕾の頭が開き始めた藕糸蓮。200802b.jpg


『しばらくぶりでした』 (2020.8.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「しばらくぶりでした。あれ、おかしい? いつ別れた?」「昨日電話したよ」「そういうこと、みんな飛んでっちゃう。今のことしか頭の中にないからだね」「今は何が頭の中にある?」「窓の外には陽が当たっている。垣根の上の葉が赤く輝いてきれい。その向こうには運動場のようなところ」「駐車場でしょ」「そう、車で来る人や出て行く人はどこへ行くのだろうか見ている。冬になると葉が落ちてもっとよく見えるよね。外を見ているのは本当にいい。ベッドに寝て天井を見ているのはつまらない。廊下に出て左に行くと・・・外へ出られる?」「左に行くと食堂。さっきお昼を食べたところ」「食堂から戻ると右側に私の部屋、部屋から出て右へ行くと外へ出られる? ちょっと見てくる」とドアを開ける音。「もしもし、おーい」と言っても返事がない。妻に話し掛ける職員さんの声、「外へ出るのはどっち?」と妻。「電話代わりました」と職員さん。「外への出口を見に行ったらしく戻りません」「いま部屋へお送りします」と聞こえて電話が切れた。事務所を呼ぶと固定電話機につながり、再度掛け直して、子機を持つ妻につながった。「何処から出られるか見に行っただけ。何処にも行かないから心配しないで。駐車場に来る人はどこから来るのかな。上の葉が赤い垣根は何処まで続いているかな、その向こうはどうなっている?」「その向こうはグループホーム寿の駐車場」「嬉しいね、こういう時にあなたと話しできて」「明日面会に行くよ。あんたは大きい部屋の窓の内側、私は駐車場にいて面会」「そんな面会は嫌」「じゃあ止める?」「いやだ、来て、来て」「じゃあ来る」「よかったよう、明日会いに来てくれるのは嬉しい。泣けて涙が出て来たからもう電話終わりにしよう」「歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・ラジオが鳴った」「CDを押してから矢印を押して」「鳴った」「明日行くからね」「明日は明日の風が吹く。・・・電話終わりました」200802c.jpg
(しばらく会わない間に言葉を忘れたか、囀り方が変わったホオジロ。)