菜の花畑に着いたら霞の中に登っていた日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.16)
(アルツハイマー)

菜の花畑に着いたら霞の中に登っていた日の出。200416.jpg

日の出とともに埋立地の前に次々現れるコガモたち。200416a.jpg

ジョギングの人が来たら岸辺の繁みに飛び込んだホオジロ、隠れたつもりでも隙間を探して覗けば丸見え。200416b.jpg


『待つしかないと自分に言い聞かせている』 (2020.4.16)
最初から妻は泣き声だった昨日午後の電話、「もしもし」「はいはい、いい天気だね」「いい天気で垣根の葉は真っ赤だけど私の心は安まらない。ノートを見ていた。外から見えることは文章になるが、心の中は文章にならない。読み直すと、こうだったのかと泣けてくる」「ノートに書いていた頃に比べたらずいぶんよくなっているよ」「診察に来た山本先生に目眩の薬を飲んでねと言われたと書いてあった」「薬を飲んで、目眩や吐き気、頭がガンガンするのが治って記憶力もずいぶん回復したようだ」「自分でもそう思う」「コナカの周りを歩いたとあなたが書いていて、その次にはあなたから電話が来たと私が書いていた」「伝染病が流行りだして面会と外出ができなくなって、毎日会いに行っていた代わりに電話するようになった時のことだね」「ノートに書いておくといいね。何も外のことが分からなくなって、垣根の葉が赤くてきれいだとしか書くことがなくなったから書くのを止めていた。また書くよ。書くことで外のことも分かって、辛いことを後世に記録として残すことにもなるし、人生の経験の一つ一つだから記憶も戻るかもしれない。家に帰る道を忘れないように繰り返して思い浮かべていたが、今は帰ってはダメだってこと、昨日から分かった。今はじっと待つしかないと自分に言い聞かせている。家までの道を忘れずに思い出していると、Aさんの家から坂を登ると家が見えて、家の形まで憶えている。家の前を通り過ぎると356に出る。中学の前に出る道も憶えている。早く家に行きたい。ごめんね、私がこんなになっちゃって。だんだんよくなってきたことを書いておくよ。廊下に出て戻ってくるとラジオから聞こえたし、テレビでもやっていたから伝染病のことも理解できた。あなたが来たら寝間着を三枚持って行って洗ってもらおうと仕舞っておいた。なかなか来られないね」「仕舞っておかずに、頼めば洗ってもらえるよ」「直ぐ頼むよ」「また明日電話するね」「電話ありがとう。切るよ」200416c.jpg
(散歩の途中で出会ったときは、妻の遊び相手をしてくれたシベリアンハスキーのジャック)

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