木立の向こうに泣いているような雨の沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2021.2.2)
(アルツハイマーになった妻)

暗い小径を抜ければ街灯に照らされた高台。木立の向こうに泣いているような雨の沼。210202.jpg

沼に雨を降らせ、上空を流れる黒い雲。小降りになったら撮ろうと傘を差し沼を眺める。210202a.jpg

また降り出して雨に霞んで消える対岸の丘。210202b.jpg



『お墓はどうする?』 (2021.2.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「もういよいよ明日は帰る日?」「どこへ帰るの?」「静岡県掛川市」「掛川のどこ?」「岩滑の実家」「誰のところへ?」「両親は死んだ?」「お父さんは30年前、お母さんは20年前に亡くなった」「岩滑に行っても両親はいないんだ。知らなかった。帰るのが決まったら連絡しようと思った。岩滑に行った記憶がある」「4年近く前、これが最後になるからお年忌に行きたいと言って、Aに連れて行ってもらった」「その時裏山のお墓に行った。もう岩滑に行く必要はないね」「Sa姉さんが亡くなって、今はT君夫婦だけ」「Su姉さんは?」「元気で浜岡の施設にいる」「死んだんじゃない?」「亡くなったのはご主人のSさん」「Su姉さんが生きてるだけで嬉しい。お父さんは坂の上の一軒目にいるのね」「そう」「知らない話を聞いてびっくりし、涙が出ていたのが止まった。私はまだ歩けるから歩いて家に行ける。私はお父さんを見送る仕事が残っているからまだ死ねない。逆になったら私を棺に入れて送ってね。お墓はどうする?」「あんたと一緒に一関の樹木葬墓地に行って場所を決めた。千坂さんが入り口近くのいい場所を探しておいてくれた」「その時のこと思い出した」「車で栗駒山が見える場所も見せてくれた」「栗駒を見たような気がする」「何であそこにした?」「子どもたちにお墓やお寺のことで面倒を掛けたくなかった。それに、墓石も骨壺も使わず墓標は花の咲く木だけ、環境破壊もしなくて済む」「それで大賛成した」「樹木葬墓地が出来るとき少し千坂さんのお手伝いをした。それで千坂さんから環境のことをいっぱい習った」「よかったね。あなたの両親は?」「佐倉のお寺の墓地は永代供養にして、50年分の費用も払って契約した。私ももう佐倉まで行けないし、子どもたちや私の兄弟に面倒掛けずに済むためにね」「私たちだけのお墓が決まっていて嬉しい。ほっとして肩の荷が下りた」「時間になった。CD鳴らして」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」210202c.jpg
(まだ現れないケヤキの下を通る犬の散歩の人。今朝はお休みだろうラジオ体操、誰もいない公園の広場。)