微かに色づき始めた南から東に延びる薄雲


撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.2.15)
(アルツハイマー)

薄霧に霞む対岸、微かに色づき始めた南から東に延びる薄雲。200215.jpg

岡発戸の丘の上に日の出。日の出の位置が丘に登ればもう他のカメラマンは来なくなる。200215a.jpg

自宅前の葱畑の脇、今朝も何かを啄みながら走り回るハクセキレイ。200215b.jpg


『ちゃんと分かってるじゃないか』 (2020.2.15)
昨日午後、いよいよ手持ちが底をつきそうになってきたマスク、一枚を手に握って玄関を入ったら出迎えてくれたSさん、「マスク、お困りだったら言ってください、お分けしますから。来週には少し出回るそうですね」と、まだマスクを掛けていなかった私を見て声を掛けてくれた。Sさんが妻の部屋のドアを開けると鏡台の前の椅子に腰掛けていた妻。「来てくれたね。今日は来てくれないかと思ってた」「今日はベッドに潜り込んでいなかったね」「寒いからベッドに入りたかったけど、眠っちゃうと起きた時に妄想の世界に行っちゃうから起きていた」と言う。確かに廊下より寒い。エアコンを作動させたとき冷房になっていたようだ。職員さんに暖房にしてもらいやっと落ち着く。
「ここはどこ?我孫子?」「そうだよ」と答えても少し経つと同じ質問。名戸ヶ谷病院や市役所分室から自宅までの道は正確に言えるのに、名戸ヶ谷病院の手前にある我孫子東邦病院は前日同様取手にあるとと思っている。グループホーム寿はその近くだから我孫子ではなく取手だと思えるらしい。色んなことを直ぐ忘れるのに、このことだけはまだ引き摺っている。CDラジオで日本の歌を掛けてやると、「♪うさぎ追~いし かの山 小鮒釣~りし かの川―」と、目をつぶって指で拍子をとりながら歌った妻。ふる里の小川の橋の上を思い出しているのかと思えば、歌い終わって「家はどこだった?」「岩滑(妻の実家)かい?」「私たちが建てた家」「それなら高野山だよ」「子どもは誰か住んでる? あなたは?」「私が一人で住んでるよ」「食事や洗濯、掃除はどうしてるの?」「私が自分でやってるよ」「一人で?」「そうだよ」「私がこんなになっちゃって家にいないから申し訳ないと思ってる」と泣きそうな顔になる。「泣かないで。夕食は宅配弁当が来るし、洗濯は一人分だからまとめてたまにやるだけ、掃除は綿埃が舞い始めたらやるだけ」と言ったら笑い出して、「そうか、ちょっと帰ってやってやりたいと思ったが、勝手に帰ったら脱走だよね。みんなに迷惑を掛けちゃう」と言って笑う。ちゃんと分かってるじゃないか。200215c.jpg