明るくなり霧が出始めた曇天の沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.1.8)
(アルツハイマー)

明るくなり霧が出始めた曇天の沼、刻々と薄らいで行く対岸の灯り。200108.jpg

霧が濃くなり始め遠くから消えてくる対岸風景。200108a.jpg

まだちょっと早いが、もう広場に集まり始めたラジオ体操の人たち。200108b.jpg


『お見送りには行けないけどここでご挨拶』 (2020.1.8)
昨日妻に面会に行くと眠っているようだった。そっと椅子に座るとうっすら目を開け、泣きそうな顔になって「来てくれて嬉しい」と言ってからしばらくじっと私を見ていた。「私はどうしてここにいるの?」「また膵炎が再発してお腹が痛くなり、取手の病院に入院したんだ。昨日手紙を書いておいたけど見た?」「見たけどはっきりとは思い出せない。Aさんと一緒に来たって書いてあったけど、Kさんも来たような気がするが、Kさんが来たとは書いてなかった」「手紙を書いた後でKさんが来てくれたよ」「利根川を渡ってきたの?」「そう」「窓から利根川が見える?」、そのとき来た看護師さんが「ここからじゃ見えませんよ」と言いながら血圧測定や血流チェックのセンサーを指に取付け、点滴のチェックをしてくれた。「昨夜も二度ほど点滴を自分で外してしまった」と看護師さんから聞く。パジャマの袖に少し血痕が付着していた。
帰ろうとすると、「お見送りには行けないけど、ここでご挨拶する」とベッドに座った妻、「寝ていてずっと考えていたの。あなたの方が年上、病気になったら私が面倒見るつもりでいたがこんなことになっちゃって。あなたには心身ともに負担を掛けてしまい申し訳ないと思っている。物理的にも精神的にも助けてもらって感謝してます」と言って深々とお辞儀をする。認知症でうまく働かなくなった頭でそんなことを考えていたのかと思うと悲しくなる。「さあ、早く寝て。寝てくれたらもう帰るから」と言って寝かそうとすると、点滴の管とセンサーのひもが体に巻き付いていて、それを治し病室のカーテンを閉めた。隙間からちらっと見えた妻はまだじっとこっちを見ていた。200108c.jpg