眠れぬ夜が明ければ雨の朝

撮影ノート『手賀沼有情』 (2019.7.14)

アルツハイマーを病む妻を連れ近くのグループホームの見学に出掛ける日。先週長女と見学し、妻が拒否しない限り申込書を提出する事にしていが、見学した妻が「何も分からなくなる前にここに入所できるといいね」と呟くように言った。「よろしくお願いします」と申し込み書を差し出したが、先に何人かが待っていていつ入れるかは定かでない。
あと一ヶ月少々で結婚して五十五年、新たな進路を決め動き出した朝は雨だった。今のままでは共倒れになるからいずれ決断しなくてはならない、一方では自分から妻の介護を放棄するのかという心の中の揺れに、珍しく眠れぬ夜を過ごした。
一昨年、昨年、今年と梅雨の時季になると症状が急に悪化する。じわじわと悪化するのではなく、まさに階段状だ。今年の梅雨は今までに最大の下降、朝目覚めた時に自分がどこにいるのかさえ分からない事が出てきた。古い記憶をたどっていたら今に戻れなくなったと訴えた妻。5分間くらいならかなり正常な会話ができても、10分経ったら記憶から消えている。そんな日々でも、残った一緒に過ごせる日々を大切にしたいと思う。まだ先々のことは、雨に煙る沼の対岸のようにおぼろげにしか見えてこない。190714.jpg

降りしきる雨の中、ビッグ親子も、ラッキー親子も、バロン夫婦も力強く生きている。今朝も会えて沈んだ心が多少なりとも癒やされた。190714a.jpg190714b.jpg190714c.jpg