子ども6羽を連れ遠出したコブハクチョウ夫婦

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.12)
(アルツハイマー)

子ども6羽を連れ遠出したコブハクチョウ夫婦。200512.jpg

首を伸ばし、じっと何かを見詰めるアオサギ。200512a.jpg

昨日と同じ木の同じ枝で鳴くホオジロ。200512b.jpg



『ダーリンすか?』 (2020.5.12)
妻との昨日午後の電話、「もしもし」「は~い」「ダーリンすか?」「どうしたの?」「主人ですかって聞いたら、ダーリンからだと係りの人が言った。気さくに話し掛けてくれると楽しいね。お昼を食べて部屋に戻って、昼寝しようとひっくり返って、眠ったかどうか、瞬間のことは直ぐ忘れちゃう。今日は青空だから嬉しい。話すほど困っていることもない。ここから市役所の方へ下る車が見える。西日が射し始めたが窓は東向きだから陽は入ってこない。何もやることがないから、ここにいるのも厄介だ。贅沢なことを言ってごめんね。ここで電話するより手賀沼の方に行って話した方がいい」「外出はできないし、外へ行ったらその電話機は使えない」「ああ、そうか」「今日は電話ですねることがない」「電話ですねるの」「だって他の人と話すのにすねる訳にはいかないもの。西日だから窓の近くでも陽は入らないが、駐車場は陽が当たって眩しい。ぼんやり見ているだけで、何となく暇だよ。私もこんなになる積もりはなかった」「自分からなろうと思ったんじゃないから気にしなくていい」「もうじき80になるから仕方がないか。70でこうなる人もいるからね」「伝染病が治まったら、また一緒に散歩しようね」「その言葉を聞くと涙が出て来る」「こんな話しは嫌だった?」「そうじゃない、嬉しくて出る涙だよ」「あはは、泣かないでよ」「家の前の道を思い出すと辛い。家は更地じゃないね。前のまま?」「何んにも変わっていない」「私たちが建てた家?」「そう、今は私が一人で住んでいる」「涙が止まらないよ」「電話で泣くの?」「よその人に話して泣いたらおかしいでしょ。あなたと話すからよ」「音楽を掛けよう」「ランプを点けたけど、次は忘れた」「壁に貼ってある絵を見て」「そうか、CD押した」「その下の矢印」「鳴ったよ」「電話機を返してきて」「返したら話せなくなる」「他の人も使うから返してきて。戻ったら歌を歌って。頭が活性化するリハビリだよ」「分かった。・・・今村です。終わりました」200512c.jpg
(遊歩道脇にアカバナユウゲショウの花。「かわいい花ね、何という名前?」と妻、何度教えても同じ質問を繰り返した数年前の散歩。)

6羽いた遊歩道脇のコブハクチョウの雛

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.11)
(アルツハイマー)

6羽いた遊歩道脇のコブハクチョウの雛、父さん母さんがマコモやヒメガマを引き抜き噛み砕いて子どもたちに与える。200511.jpg

昨日も一昨日も同じ木で鳴くホオジロ、隙間を探して見上げれば一昨日と同じ枝に。200511a.jpg

突然羽ばたいて飛び立ったカワウ。水面すれすれに低く飛んで、行った先は古い於朶の杭。200511b.jpg


『人の好意は嬉しくなる』 (2020.5.11)
居眠りして妻に電話するのが遅れた昨日午後、「もしもし」「はいはい。居眠りして電話するのが遅れちゃった。ごめんね」「私も昼寝しよとして眠り掛けたら電話が来た」「お昼前にAさんがグリンピースのご飯、魚の煮付け、サラダなど持って来てくれて早めに昼ご飯食べた。おいしかったよ」「よかったね。人の好意は嬉しくなる。いつも私たちのこと、気に掛けてくれているね。人と人の間にはいいこともあるし悪いこともある。私が何か頼まれたり、スタッフの人にありがとうねって言われると気に入らない人がいるって分かったの。わざわざ横を向いて通ったり、なんとなく私を意識して動いているみたい。ここ二三日、どの人がそうだなってことに気がついたの。できるだけそう思われないように気をつけているが嫌だね」「気にしない方がいいよ」「気にしないようにするけど、女同士にはそういうねたみみたいなことがあるの。何で私には言ってくれないであんたなのって感じ。喧嘩するつもりはないし、そっと気がつかないようなふりでやり過ごすようにしている」「いま、家族とも面会できないし、連絡も少ないからストレスが溜まっている人が多いと思う。その人も淋しいんだろうね」「そうだね。そういうときに私に声を掛けてくれる人がいると余計に苛つくのだろうね」「今日は電話するのが遅くなって、他にも電話を使いたい人がいるかもしれないから、話しはまた明日にしようか。今日はCDが鳴っていないね」「赤いランプが点いた。次は、見えないから眼鏡掛けてくる。二番はCD、音が出ないよ」「三番の三角の矢印を押した?」「まだ。・・・押したら鳴ったよ」「じゃあ電話機を返してきて」「電話機って?」「今、手に持って私と話しているでしょ」「これとラジオも一緒に?」「ラジオはCDを鳴らしたままそこに置いておいて、電話機だけ事務所に返して」「分かった。・・・本日の業務は終わりましたって書いてある」「じゃあ、スタッフの人の声がする方へ行って返して」「・・・今村です。まだつながってるけど返しに来ました」とスタッフの人に代わる。「もしもし、まだお話になりますか?」「終わりました。ありがとうございました」200511c.jpg
(キジの雄が鳴いて羽ばたいても現れない雌、ベンチに登って辺りを見回し、鳴いて羽ばたいた後ろにちらりと雌の姿)

小雨の中を泳いでいた鯉のぼり

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.10)
(アルツハイマー)

市民農園跡から高台を見たら、小雨の中を泳いでいた鯉のぼり。200510.jpg

菜の花畑の刈り跡の、広い畑を走り回るハクセキレイ。200510a.jpg

コブハクチョウ母さんの羽の間から覗いたの雛の頭。200510b.jpg



『もっと若いかと思った』 (2020.5.10)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今どこ?」「家にいる」「広い道に出て、市役所の傍から手賀沼を歩いて坂を登ったところ?」「そう」「あなたが撮った手賀沼の写真のパンフレットと二人が写っている写真が届いた」「昨日、夫の顔を忘れたって言ったので思い出せるように二人で撮った写真と手賀沼風景のパンフレットを送った」「二人の写真、どこで撮った?」「あんたの部屋」「ここへ来たの?」「2月末までは毎日面会に行ったよ」「記憶にないな。私の顔はこんなだった? もっと若いかと思った。どうして面会に来なくなったの?」「伝染病が蔓延していて、外出を控えみんな家にいなくてはならないし、グループホーム寿にいる人たちが感染しないように面会できなくなった」「横浜にいる妹のNからの手紙に、今はどこにも行けないと書いてあった」「あなたは手賀沼に行ったり、いろいろ活動してるの?」「朝早く、人がほとんど来ないときに遊歩道を散歩して写真を撮ってくる。日中はずっと家にいて、三日に一度セブンイレブンにパンなどを買いに行くだけ」「カーテンを開け、窓の外を見ていると、私は広い道に出て市役所の方へ行き、手賀沼の傍を歩いてAさんの家の前から坂を登って家の前に行く。その先へ行くと356に出て、東に行くと中学校がある。道は分かってるけど、途中で他のことがあると分からなくなる。実際には、もう一人では道を歩けないかもしれない。ここにいて、ご飯を食べて、自分でトイレに行くこともできて、伝染病が消えるのを待つしかないね。そうなったら一緒に散歩してね」「そうしようね。じゃあCDを鳴らしてから電話機を返してきて」「電源ボタンを押したら赤いランプが消えた」「じゃあ、もう一度電源を押して」「ランプが赤く点いて、CDと矢印のボタンを押したらCDが鳴った」「昨日は寝ぼけていて分からなかったが、今日はできるね」「昨日のことは全然憶えていない」「電話機を返してきてから歌を歌ってね」「分かった、行ってくる」200510c.jpg
(仲よしのカルガモペア、小舟の上で羽繕いして、さあこれからどこへ行く。)

雲を染め、輝く雲の向こうに日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.9)
(アルツハイマー)

雲を染め、輝く雲の向こうに日の出。200509.jpg

母さんの羽の下から出てきた三羽の子ども。遊歩道脇の埋立地で抱卵していたコブハクチョウ。200509a.jpg

ニセアカシヤの花を潜ってシジュウカラ、ちょっとでいいからじっとしていて。200509b.jpg

『ちょっと眠っただけだ』 (2020.5.9)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい」「夫殿ですか?」「そう」「お昼の後で昼寝しちゃった。昨夜眠りが浅くて眠くなった。電話だって起こされてびっくりした。訳のわからないことばかりで何が何だか分からない。今何時?」「1時15分」「ああよかった。ちょっと眠っただけだ。私はどこにいるの?」「グループホーム寿」「何でここにいるの?」「二人とも年を取っていろいろ出来ないことが増えてきて、一緒に住んでいたら共倒れになるから、あんたにはそこへ入所した。二人で見学して申し込んだ」「そんな気がする」「あんたが二度も入院したり、体調が悪くなって困っていたとき、ここに空きが出て入所できた」「入院したことなど憶えていない。別々に住んでるって、夫婦じゃないんだ」「夫婦だよ」「やだよう、それも分からないってバカになった。私は誰と結婚したかのか、夫の顔も思い出せない」「二人で撮った写真があるじゃないの」「どこにあるか分からない」「じゃあもう一度送るね」「女の子二人をあなただったか誰かが紹介した。AとLでAは八王子、Lは・・・、どこだっけ」「横浜」「思い出せない」「Lの横浜の家には孫に会いに何度も通ったよ。二人ともあんたと私の子どもだよ」「頭がごちゃごちゃで何にも分からない。あんたは怒ってる?」「怒っていないよ」「何も分からなくて怒られるのが怖い」「怒らないよ。昼寝してまだ目が覚めないだけだ」「岩滑から城東中学の辺りに行くと道がごちゃごちゃで分からない。西の谷へ行くとトンネルを通って岩滑に行く。岩滑から356に出て中学までまで行くと道は分かる」「掛川市から我孫子市にワープしちゃった。まだ目が覚めなくて半分夢の中だね。目が覚めるよう歌を歌おう。ラジオの電源を入れて」「ラジオって?」「テーブルの上」「これか。・・・ラジオが鳴った」「CDボタンを押して」「押したら音が消えた」「次は矢印」「押した。鳴ったよ。」「電話機を返してきてから歌ってね。目が覚めるよ」「行ってくるよ。・・・電話終わりました」200509c.jpg
(天を仰ぎ囀り続けるホオジロ、何を言ってるのか分からないが、賑やかなこと賑やかなこと。)

斜面林の上に出ればもう眩しすぎ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.8)
(アルツハイマー)

日々早まる日の出。斜面林の上に出ればもう眩しすぎ。200508.jpg

肌寒い遊歩道を歩けばホオジロの声ばかり。200508a.jpg

ちらりと動いた茂みの中、隙間を探して覗けば蜘蛛を咥えたシジュウカラ。200508b.jpg


『いま頭が眠ってる』 (2020.5.8)
元気そうな声だった昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「お昼食べて戻って来て、洗濯に出すものを整理して昼寝しようと思ったら電話が来た。私の方から報告することはないよ」「言いたことがないのはいいこと。辛かったり淋しいときはいっぱい言いたくなる。今日は気分が良いんだ」「言うことを考える暇がないからだよ。ベッドに上がるのに靴を脱いで、脚を上げるのに四苦八苦、やっと上がれた。元気?」「元気だよ」「私も元気。しょげているかというとウソになるし、そうでないと言えばウソ」「そうか、まあまあか」「いま頭が眠ってるからうまく言えない」「そうなの、その内に目が覚めるよ」「今日だって一人でいると泣けてくる。頼りになる人が遠くにいると辛い。自分一人でやらなきゃと思うことが重荷になる」「家にいるから直ぐ近くだ」「歩いてくれば見える程だが、来てくれなきゃ見えない。電話が来るとほっとするよ。ここには遠くから来た人もいるから、辛いのは自分だけじゃない。辛いと言うより心細いから泣けてくるんだな。いくら近くても声が届く距離じゃない。電話だと遠いようで近い、近いようで遠い」「面会に行けないから、毎日電話で話しているよ」「でも、次のことがあると私は前のことを忘れちゃう。だから毎日電話で話したかは分からない。とんでもない頃になって思い出すこともある。頭の中が絶えず満杯、あれもこれもと考えるから疲れる」「そうか」「一緒にいて、一緒にやってもうるさいと思うこともあるし、何を持ってよしとするか分からない。窓の外を見ていて、もしかしてあなたが来てくれるかと思っていても、夕方になって来てくれない日になる。ここには二階はないけど、待っているのはいつも何処かの二階になる」「私が朝の撮影から戻るのを、雨戸を開けて見ていた頃のことかな」「分からない」「自分でラジオを点けたの?」「そう」「今日は元気ないい声だ。CDを鳴らし、電話機を返してきたら歌ってね」「待ってて・・・歌が出たよ。送受機を返してくる。電話の声を聞いて嬉しかった」200508c.jpg

(頭上で鳴くホオジロを探していたら飛んできて、電線に止まったコムクドリの♂二羽)

遊歩道脇に咲き始めたニセアカシアの花

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.7)
(アルツハイマー)

遊歩道脇に咲き始めたニセアカシアの花。200507.jpg

友に会い鳥がいないとぼやいたら、直ぐ横の枝で鳴いたホオジロ。200507a.jpg

びっくりするじゃないか、目の前で突然鳴いて羽ばたいたキジ。慌てて撮ったら脚が切れた。200507b.jpg


『火木土には行くの?』 (2020.5.7)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい」「だんな様ですね」「はい」「私の置かれてる状態がおかしいので聞きたかったが、昼食の周りの席の人は何も知らないし関心がない。私たち、6日まで連休で、7日から火木土には行くの?」「それはロイヤルのデイケアのこと?」「そう」「去年12月末でロイヤルは止めて、今年からグループホーム寿に入所したの。だから通うところはないの」「いまは伝染病でダメだけど、いつ家に帰れるの?」「いつになるか分からないが、外出が許されるようになったら、午前中に迎えに行って、夕方になったらグループホーム寿に戻って自分の部屋に寝るの。そういう方法でときどき家に帰ってもいいの」「どうして泊まれないの?」「私もあんたも年を取って出来ないことが増えた。夜、急に体調が悪くなっても私一人じゃあんたを助けられない。そこにいたらスタッフの人が夜も見回りに来てくれるし、あんたは環境が変わると睡眠障害になりやすいから、寝るのは今いる自分の部屋って決めたんだ」「なんでここに入った?」「二人とも年を取って、二人で生活したら共倒れになりそうで、あんたも施設を探してって言った。ケアマネージャのMさんが紹介してくれて、二人で見学し、ここならいいと申込書にあんたも署名した」「それは憶えている。広い部屋の方だったね」「その後も膵炎で二度入院したし、目眩や吐き気で動けなくて救急車を頼んだりタクシーで病院に行った。私一人では動かせなくてタクシーの運転手が助けてくれたこともあった。そんな頃、ここに空きができて、今年からここに入所した」「私だけの気持ちで言っちゃダメだね。あなたのことも考えなくちゃ。絶えず幻覚で市役所から手賀沼を通って坂を登って家に行き、頭の中で帰れても、実際に帰れないのは仕方がない。片方じゃなくて両方元気でないと会えないものね」「分かってくれてありがとう。CDを掛けてから電話返してきて、それから歌ってね」「分かった。・・・鳴ったから電話返してくる」
事務所の人に泣き声で電話を返す妻。慰めてくれる職員さんの声。辛い気分で電話を切る。
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(~でんでんむしむしかたつむり おまえのめだまはどこにある つのだせやりだせめだまだせ~)

雨に濡れまだ残っていた桐の花

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.6)
(アルツハイマー)

桃山公園の広場に差し掛かれば、雨に濡れまだ残っていた桐の花。200506.jpg

ヒヨドリ5~6羽が集まった桐の木、じゃれているのか花を散らして追いかけっこ。200506a.jpg

餌を啄む間にも、舞い落ちる桐の花を見上げるムクドリ。200506b.jpg



『頭が混乱している』 (2020.5.6)
いつもの時間に電話したら妻はトイレ中、10分後に掛けると、「もしもし」「はいはい、何してる?」「トイレから戻ったら電話が来た」「さっき掛けたらトイレ中だったから暫く経って掛け直したの」「今日は何かあったの、わざわざ電話くれて」「毎日掛けてるよ」「へぇ、そんな風には思えない。あなたは元気?」「元気だよ」「よかった。頭の中ではどんなかなって思っても、まだ聞いていなかった」「昨日も元気かって聞かれて、元気だって答えたよ」「テレビでも伝染病のことばかり言うし、あなたが罹らないか気になっているからだね。トイレから戻って下はまだパンツだけだけなの。何が何だか分からない。ご飯食べて戻ったらベッドの上に上着が広げてあった」「ズボンを履くのでしょ」「分からない」「トイレに行く前に何を履いていた?」「分からない。頭が混乱している。いま家でしょ、近いから直ぐ来てくれる?」「伝染病が流行っていて面会できないから行けないよ」「そうか」「ズボンを履こうとしていたのでしょ」「ズボンの裾がほつれて片足長くなってる」「他のズボンを履いたら」「探してもない。探すから電話かけ直して」「じゃあ電話機を事務所に返してきて。他の人も使うから」「パンツじゃ行けない」「片足長くなっていてもいいからズボンを履いて」「ちょっと待って、左がほつれているから右足を通した。今ズボンを履いたよ」「CDを掛けて歌を歌えば混乱が治るよ」「どうやって掛ける? 電源押したらラジオが鳴った」「CDボタン押して」「ない、どこだ、押した」「横三角の矢印を押して」「押した。鳴ったよ」「電話は終わりにして、電話機を事務所に返して。戻ったら歌を歌ってね。頭がすっきりするよ。電話返すとき事務所の人に代わってね」「もしもし、代わりましたOです」「ズボンの裾がほつれたことばかり気になっているようです」「大丈夫、ズボン履いてます」と言って切れた。長女に確認し、先日ズボンの予備を送ってあることを聞きOさんに電話で伝えると、すでにスタッフの方が裾を修理してくれてあるとのこと。すばやい対応に感謝感謝。200506c.jpg
(雨に濡れ、風が止んで垂れ下がった元気のない鯉のぼり)

藤棚の下に差し掛かれば霧の中にケヤキの木

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.5)
(アルツハイマー)

藤棚の下に差し掛かれば霧の中にケヤキの木。200505.jpg

畦道で鳴いて羽ばたいたキジの雄、声を張り上げ霧に見えない雌を呼ぶ。200505a.jpg

声はすれども姿が見えず、通り過ぎて見上げれば細い枝先に鳴くホオジロ。200505b.jpg


『CDと一緒に歌うと楽しい』 (2020.5.5)
元気な声だった妻との昨日の電話、「もしもし」「はいはい」「懐かしい声だ。いま、昼休み中だから部屋に戻ってCDを掛けて一緒に歌い始めたところ」「四季の歌だね」「~岩をくだく波のようなぼくの父親~」「・・・もしもし」「この歌を歌うとこの辺の知ってる景色が出て来るよ。一人ならCDを点けて歌を歌う。淋しいときは、オーイおとっちゃんと言うときもある」「CDは自分で点けたの?」「そうだよ。壁に貼ったCDの聞き方の絵を見て点けた。部屋から出たら他の人との交流もあるけど、部屋に戻ったら一人になる。椅子に座ると前にAとLが持って来てくれた鏡台がある。ベッドがあって、テーブルの上にCDラジオがある。電源を入れて、壁の絵を見てボタンを押すと鳴りだす。カレンダーは3月、今日は何日?」「今日は5月4日」「えっ、4月が過ぎて5月になったの。一ヶ月以上も抜けちゃった」「いま何月だと思ってた?」「カレンダーを見て3月だと思ってた。今はフリーの時間。一人で歌ってるとつまらないけど、CDと一緒に歌うと楽しい」「今日はよく声が出て元気そうだ。天気が悪くなって心配したが、元気でよかった」「自分一人の世界で歌を鳴らすと頭の中に景色が出てきて、知ってる景色になるから一緒に歌う。惚けちゃって知らない景色が出てきて音楽を聞いてももつまらない。知ってる景色を見て歌うのがいい。CDを掛けるといつも同じ順序で鳴るから、同じ曲ばかりでおもしろくない。最後まで聞いたらいっぱい入ってるのに」「今度、途中から鳴らす方法の絵を作るね」「この歌、あなたと一緒に手賀沼にいるよ。手賀沼に行くときはいつも市役所を中心にして考えるの。ダメならもう一度市役所に戻って出直すの。外の道は分かるけど、この建物の中にいると、どこにいるのか分からなくなる」「ぼつぼつ電話を返す時間だ」「残念けど返しに行く。ご飯食べてる?」「食べてるよ」「いい子だね。長くなったから電話を返してくる。・・・近いからもう着いた。今村です、お返しに来ました」200505c.jpg
(道草したコガモの雄をおいて先に行ってしまった雌、雌を探すのか岸に戻っていった雄。雌が戻って来て右往左往すれば岸から出てきた雌。いつものように埋立地へ泳いでいった仲よしペア。)

コロナのことをしばし忘れて沼を望む

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.4)
(アルツハイマー)

小雨降る桃山公園の高台に立ち、コロナのことをしばし忘れて沼を望む。200504.jpg

雨に濡れ電線に止まっていたヒヨドリ、沈思黙考しているごとく動かない。200504a.jpg

仲間たちが群れて斜面林を越えて向こうに下ったのに、ただ一羽広場の芝生で餌探しするムクドリ。200504b.jpg


『よそ行きの顔でいるよ』 (2020.5.4)
妻に電話した昨日午後、いつもと違う保留音。「もしもし」「はいはい」「どなた?」「私の声が分からないの?」「私のだんな様じゃないの。テレビのところにいるからドラマのことかと思っちゃった」「どこにいるの? 自分の部屋じゃないの?」「いまから何かあるみたい。大きいホールに集められてテレビの前に座っていたら電話だって呼ばれたの」「ボランティアの人が来て歌を歌ったり体操する部屋?」「そう。スタッフの人がお話ししたり、外の人が来たときここへ来る」「いつもはデイサービスの人が使う部屋だね」「知らない。食堂からも、玄関からも入れる。お昼ご飯を食べたらここへ連れてこられた。もう一つの入り口は玄関の方で、トイレもある。ここからも外が見える。雨が降りそうで、部屋の時計は13時21分、玄関の入り口の外は何処かへ行くときの道だ。その道には行ったことのある家もあるよ。あなたはどこにいるの?」「家にいる」「久しぶりに参加した集会だから不安なの、あなたが傍にいたら心強いのになぁ」「泣いちゃダメ。近くに人がいるんだろう。笑われちゃうぞ」「泣かないよ、よそ行きの顔でいるよ」「みんな何してる?」「テレビを見ている。子どものマンガみたい。ときどき威張った役者みたいな人が映ってる」「じゃぁ、みんなと一緒にテレビを見てね」「テレビはどうでもいい。今日は家に帰るか分からない」「家には帰らないよ」「どうして?」「伝染病が流行っているから」「そうか、テレビでも家にいるようにって言っていた。帰れないよね。あなたは元気? ちゃんとご飯食べてる?」「ちゃんと食べてる」「元気でいるか心配ばかりしている。ご飯の仕度をしてやれないのは辛いよ。自分でご飯の仕度をしてる?」「自分で作っている」「男だってそうでなくちゃダメだな。偉い偉い」「みんなと一緒にテレビを見た方がいいね」「電話ありがとうね、スタッフの人に返してくる・・・終わりました」とスタッフの人に返している様子。「まだいいのよ」「もう終わりました」と会話が聞こえ切れた。200504c.jpg
(雨交じりの南風に向かって泳ぐ鯉のぼり、遠く過ぎ去った時空の向こうに置き忘れていた風景を思い出す。)

威風堂々水生植物園跡のケヤキ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.3)
(アルツハイマー)

全ての枝に若葉が出揃い、威風堂々水生植物園跡のケヤキ。200503.jpg

キジを撮ろうと踏み出した一歩に、驚かせてしまった食事中のムクドリ。通り過ぎるのを待つつもりか枯れ木に避難。200503a.jpg

声を頼りに見上げた木の天辺、天を仰いで鳴きつづけるホオジロ。200503b.jpg


『ああ、一緒にいたいよ』 (2020.5.3)
妻の元気な声が聞こえた昨日午後、「もしもし」「はいはい」「お昼寝に入りました」「もう眠っていたの?」「午前中体操して、ベランダへ出たかな、忘れちゃった。お昼ご飯が終わって部屋に戻り、ベッドに入ったら、ご主人から電話ですよって起こされてパッチリ目が開いた。窓の外の垣根の上が赤くてきれい。その向こうは駐車場、その先はどうだったか見えないから分からない」「何度も一緒に散歩に行ったよ」「洗濯物を出しておけと言われて出しておくと持って行って洗ってくれる。自分でやりたいのに管理されてる。誰かが持って来たラジオがあるよ」「私が持って行った」「夕方など、音楽が鳴るから聞いている。さっき昼寝してたら電話だって起こされ、あんたからだって直ぐ分かった。よその人はそんなことしてくれないもの」「今日は元気そうで、気分も良さそうだね」「外は垣根の上の方が赤くてきれい。ひらひらと透き通って輝いている。その向こうの駐車場は誰が使ってるの?」「近所の人が使ってる月極の駐車場だろう」「そうか、私のいるところは別だよね」「裏に駐車場があるよ」「外に出ないから忘れちゃった。外は静かで明るい」「いいね、落ち着いていて」「今日は体操があった。ここでの時間のやりくりは一人ではできないからおまかせだ。たわいもないことで時間が経つ」「お昼は何を食べた?」「おいしかったよ。何だっけ、どこかから取ったお弁当みたい。忘れちゃうから書いておかないとダメだね。何で外へ出ちゃダメなの?」「世界中に伝染病が流行っていて、あんたたちが感染しないように外出禁止にして、面会もできなくしている」「私は身を守る仕組みの中にいるのね。暇になると市役所の傍から手賀沼を通って坂を登って家に行くの。あなたは家に住んでるけど、私は戻らなきゃならないから泊まれない。プンプンだ。そんなことばかり考えている」「ぼつぼつ電話を終わる時間だ。明日も電話するね」「ああ、一緒にいたいよ。電話返してくるね」200503c.jpg
(待っても待っても鳴かぬキジの雄、鳴かぬはずだよ直ぐ後ろ、草に隠れて雌がいた。)

長く伸び花房の先まで開いた藤棚の花

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.2)
(アルツハイマー)

長く伸び花房の先まで開いた藤棚の花。200502.jpg

鳴いて羽ばたき尾羽を広げたキジ、広げた尾羽の先に雌が見え隠れ。200502a.jpg

遊歩道脇で何かを啄んでいたムクドリ、撮ろうとレンズを向けた途端に逃げられた。200502b.jpg


『昨日は掛川へ行ってきた』 (2020.5.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はいはい」「お昼食べた後にベッドで昼寝していた。昨日は寝込む程はないが頭が痛かった。今日は痛くはないが重い。あなた元気?」「元気だよ」「昨日は掛川へ行ってきた。同窓会に出て遅くなる前に帰ってきた。疲れて直ぐ寝てしまった」「掛川に行った?」「行ったよ」「誰に会った?」「困ったね。名前が出てこない。新幹線に乗って日帰りで戻った」「お金持っていたの?」「お金はない。そうか、行かなかったのかな。やっぱり行ったよ。いままで寝ていたから訳が分からない。何でそう思うのかなぁ。行ってきたけど想像かなぁ」「そこは外出禁止だから想像か夢だろう」「逆川や西高に行った。楽しかったよ。会った人は憶えていない。考えてみたら行かれないよね。あはは。困っちゃったな。掛川に行ったことを否定するものは頭の中にない。帰ってきたら早く寝た」「私も夢を見るが、夢は辻褄の合わないことばかりだ」「掛川で降りて、掛川で乗った。ついでに岩滑に行った。母が倒れたかと思って行った」「お母さんは生きてたの?」「会わなかったが嬉しかった。中方辺りで誰かに会って、母に会いに行ってきたと話した」「楽しくてよかったね」「やだよう、行ったつもりで満足して寝た気がする。あなたに黙って行ったから報告しようと思ったのに、夢だったんだ。CDを掛ける絵、壁に貼ったよ」「昨日職員さんが貼ってくれたよ。何処かに仕舞い忘れて、鏡台の引き出しに入っていたのを職員さんが探し出してくれた」「鏡台の引き出しか」「CDを掛けてみて」「電源入れた。次は?」「CDボタン」「どこにある?」「絵を見てごらん」「眼鏡を掛けなきゃ見えないよ。見えた。これだ。次は?」「矢印、横の三角印」「鳴ったよ。眼鏡を掛けたら見えたよ」「電話機を返してきてから歌ってね。楽しくなるよ」「どこへ返す?」「事務所」「どこ?」「部屋を出て玄関手前の左側」「分かった・・・。電話終わりました」200502c.jpg
(ふと目にとまったコバンソウ、蘇った子ども時代のふる里の道端)

緊急事態宣言後は更に忙しそう

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.1)
(アルツハイマー)

朝早くから荷物の積み卸し作業、緊急事態宣言後は更に忙しそうになった早朝の事業所。自粛の生活を裏で支えてくれる運送業。200501.jpg

昨日と同じ木の、同じ枝の同じ場所にホオジロ。200501a.jpg

ヒヨドリが飛び去ったら、木の下へ何かを啄みに来るスズメ。200501b.jpg


『今日はおバカさんだね』 (2020.5.1)
妻と電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい。昨日ファックスで送ったラジオでCDを掛ける方法の絵を見た?」「そんな絵は知らない」「昨日受け取ったはずだけど」「らちの明かない電話でごめんね。何の絵?」「ボタンの名前を言われても分からないから絵に描いてと頼まれて、昨日送った」「まだ事務所にあるかもしれない、行ってくる」「もしもし、もしもし・・・」「主人がファックスを送ったけど、着いていますか? 主人と話して下さい」と職員さんに代わる。職員さんが部屋に同行して探してくれ、鏡台の引き出しから出てきた。職員さんが操作して音楽が聞こえてきた。「もしもし、何だかわからないからしまっておいたみたい。何で送ったの」「一昨日の電話で、押すボタンの順序とボタンの場所の絵を描いてと頼まれ、昨日は電話が終わったら送るって話した」「そんなに毎日電話で話した? 知らない。私の頭はだんだんバカになりつつあるね」「歌って楽しく過ごせば頭の回転もよくなるよ」「一人で歌うの? つまんない」「CDで歌ってるのに合わせればいい」「そうすれば一人じゃないね。早速やるよ。分からなくなったら説明に来てよ、近いんだから」「伝染病が流行ってるから、面会はできない。職員さんに教えてって頼みな」「技術者を呼んでもらうの?」「職員さんなら誰でもわかる」「みんなが分かって私だけが分からないって言うの? 泣きたくなっちゃう」「泣かないでよ」「あんたを困らせては悪いから泣かないよ」「昨日はお利口さんだったのになぁ」「今日はおバカさんだね。ここにいると不安だよ。もうここにいなくてもいい?」「家にいると、二人とも年を取ってできないことが増え、共倒れになっちゃう」「それはそうだ」「そこにいれば食事も、生活の支援もあるし、訪問診療のお医者さんも来てくれる。そこにいれば安心だよ。伝染病が治まったら面会に行って、一緒に散歩もできるよ」「その日を楽しみにするか」「また明日電話する」「事務所に電話返してくるね」200501c.jpg
(一羽が潜れば一羽が浮上、また潜ればもう一羽が浮上。いつも一緒なのに、今日はタイミングが合わないカイツブリのペア。)

今朝は間に合った市民農園跡の日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.30)
(アルツハイマー)

今朝は間に合った市民農園跡の日の出。200430.jpg

水を張り始めた田んぼに十数羽、桃山公園から舞い降りてきたムクドリ。200430a.jpg

田んぼからムクドリに追い出され、遊歩道脇の木に逃げたホオジロ。200430b.jpg


『歌を歌っているから気分がいいの』 (2020.4.30)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はいはい」「直ぐ近くから聞こえる、近くにいるの?」「家にいる」「手賀沼から坂を登ったところだね。久しぶりに行きたいな。今日はずっと歌を歌っているから気分がいいの。あなたは?」「普通だよ」「体調は?」「普通だよ」「普通だけじゃダメ、元気だよって言われないと嬉しくない。私が住んでいるここは何?」「グループホーム寿」「市がやっているの?」「平和台病院系列の施設だよ」「入るには何か理由がいるの?」「入りたい人が申し込む。待っている人が多くて直ぐには入れない」「私はどうだった?」「運がよく、急に空きができて早く入れた」「運がよかったのね。窓の外は西日が当たって垣根の上の方だけが赤く輝いている。透き通った感じ。その先に行くと市役所の方に行く道に出て、手賀沼に沿って歩いてAさんの家の前から坂を登ると家。そのまま進むと駐車場や店がある」「セブンイレブンとガストだね」「そう。近くにお寺のお墓があって、集会所がある。何度も利用したよ。あなたが撮った高野山の写真が並べて飾ってある。東へ行くと自動車学校や中学校があって、その先から利根川沿いに行ったのは何だった?」「ロイヤルと和楽園だね」「1号室があった」「和楽園のショートステイだ。1号室が好きだったね」「まだ道は憶えているよ。だけど大分忘れちゃったから、外に出てもよくなったら、一緒に行ってここは何って教えてね」「面会や外出禁止が解除になったら一緒に散歩に行こうね」「ここはいいところだよ。おいしいご飯が出るし、落ち着いているし、喧嘩もない。ここは最高。だけど他所を知らないから比べようがないか。でも、離れるつもりはないよ。あなたが近くにいるから」「あれ、何日か前はここにいるのは嫌、帰りたいって言ったのに」「いまは帰れないって分かったから」「CDが鳴ってるけど自分で点けたの?」「そう」「電話が終わったらボタンの位置を書いた絵をファックスで送るね。じゃあ、電話返してきて」「分かった。またね」200430c.jpg
(繋がれたボートにイソシギが一羽、去年も撮った同じボートの上のイソシギ)

遊歩道脇に咲いたハナミズキ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.29)
(アルツハイマー)

滝下広場の遊歩道脇に咲いたハナミズキ。200429.jpg

カメラを向けた瞬間気付かれて、飛び立って逃げてしまったアオサギ。200429a.jpg

遊歩道を見下ろして鳴くホオジロ、おでこに点けた糸くずが気になる。200429b.jpg


『誰かに騙されている気がして心細い』 (2020.4.29)
昨日午後、電話機を渡された妻、「もしもし」「はいはい」「家にいるんでしょ、元気?」「元気だよ」「誰かに騙されている気がして心細い。私の身の回りに取り付いている感じ」「何が取り付いている?」「分からない。気持ちが悪いよ」「いつから?」「夜中から」「もしかしたら天気が変わるからかもしれないね」「それでこういう気持ちになるのかな。私を半端にする人がいるような気がする」「あんたは天気が下り坂になるとき、淋しくなったり、辛くなったり、泣きたくなるみたいだね。天気が回復すれば治るさ」「天気で私の頭が不安に思うようになるのはなぜだろう。道は分かっているから、ここを抜け出して家に行ったらどんな罰を受ける?」「伝染病に感染して肺炎になって苦しむことかな。他の人を感染させる罪を犯すことにもなる。だからそこでは面会も外出も止めている。国中の人が外出を控えて家にいるよ。不安な気持ちになるのは天気のせいだけじゃなくてみんな同じだと思う」「あなたの居る家に行きたいけど、いまは行くことができない。あなたは一人で家にいて、食料の買い物も困るだろうとずっと考えていた」「夕食は宅配弁当、朝のパンだけはセブンイレブンにマスクを掛けて行くけど、もうスーパーに行っていない。パルシステムに加入したし、アマゾンなどの通販も使っている。外出しなくても生活には困らないよ」「ここに縛られていたくないけど、ここは私の保護地区? 会いたくて泣けてくるよ」「そこにいたら専門家の職員さんがいるから家にいるよりずっと安全。辛いだろうが我慢してね」「分かったけど分かりたくない。伝染病だからいつ治まるか分からない。私は何をしていたらいいの?」「歌を歌おうか。ラジオの電源を入れて」「ちょっと待って、入れたよ」「CDボタンを押して」「押したら字が変わった」「矢印を押して」「鳴った」「じゃあ電話機を返してきてから歌ってね」「やり方を絵に描いて」「分かった。書くよ」「電話ありがとう。電話返してくるね」200429c.jpg
(私が来るのに合わせて出てきてくれたように、昨日と同じ場所からコガモのペア。)

戻って来れば陽はすでに眩しく雲の上

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.28)
(アルツハイマー)

日の出を撮ろうとシャッターを押せば、メモリーが入っていないとモニターに表示。慌てて家まで引き返し、戻って来れば陽はすでに眩しく雲の上。200428.jpg

浮上して道草する間に先に行ったカイツブリの相棒、鳴きながら慌てて後を追い掛ける。200428a.jpg

オオバンの雌を巡る争いか、羽ではたき脚を上げてのぶつかり合い。200428b.jpg


『あなたは結婚してるの?』 (2020.4.28)
天気下り坂でも元気な声だった昨日午後の妻、「もしもし」「は~い」「あなたの知っている人かなぁ、電話受け取って持って来てくれた。いつもにこやかに持って来てくれるよ」「私は事務所に掛けているから、職員さんだよ」「元気ですか?」「元気だよ」「どこにいるの?」「高野山の家」「近いじゃん、浜岡にいるかと思った。近いから歩いて行けるけど、いまはダメだね。ここにいるとよそ行きの顔をしていなきゃならない。よそ行きの顔じゃないようになりたいけど、急いでもできないからにこやかにしている。あなたは自分の家にいるって羨ましい」「一緒に住んでいたのが一人になると大変だよ。炊事、洗濯、掃除、買い物、全部一人でやるんだから」「私がやりに行ってやりたい」「二人とも年取って、出来ないことが増えて、二人で暮らすのが難しくなったし、あんたの健康を維持するためにあんたはそこに入所した。私は自分一人なら手抜きしながら、何とかなっているよ。トイレの電気を消し忘れたり、失敗はあるけどね」「トイレの電気は昔からじゃないの。私はここを出て、帰ったら何処かに働きに行かなくっちゃ」「80の婆さんを雇ってくれるところなどないよ」「あはは、まだ50くらいかと思っていた。働かないでどうやって暮らすの?」「私だって20年前に仕事をやめてから年金生活者じゃないの」「そうか、厳しいね。あなたは結婚してるの?」「してるよ。あんたとね」「私とか、あはは。一緒に住んで、話がしたい」「一緒に住んでいた頃は、あんたはお外様。さんきゅう会のボランティアや近隣センターづくり、コーラスや茶道で忙しかったじゃないの」「そんなことはもう全部忘れた。私はここに住んで、ときどき家に帰りたい。いつになるの?」「分からない。伝染病が相手だから。CDを掛けて、電話を終わりにして歌を歌って」「分かった。電源点かない。あっ、コードが抜けていた。電源入ったよ」「CDボタンを押したらその下の矢印ボタンを押す」「えーと、こうだな。鳴ったから電話を返してくるよ」200428c.jpg
(今朝もまた、仲睦まじいカルガモのペア。コロナの蔓延なかりせば、面会に行けただろうに寂しがる妻に。)

薄雲の向こうに登った日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.27)
(アルツハイマー)

薄雲の向こうに登った日の出、花房の根元から開き始めた藤棚の花。200427.jpg

テリトリーへの侵入者を見付けたのか、水面を叩く羽音を残し飛び立ったコブハクチョウ。200427a.jpg

撮ってくれと言わんばかりに立ち止まったツグミ。200427b.jpg


『知ってる道でも迷子になるのが怖い』 (2020.4.27)
元気な声だった昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はいはい」「昼休みが終わったところ。天気はいいけどちょっと疲れた。食事が出た。サッサと食べて急いで部屋に戻ってしまった人が多かった。自分の分を後片付けしたら、まだどうしたらいいか分からなくて残っている人がいた。初めての人は食べ終わっても自分で片付けることに慣れていないから手伝ってきた。部屋へ戻ってベッドに横になろうと思っていたら、ご主人から電話ですって持って来てくれた」「今は部屋にいるんだね」「そう。カーテンを開けて外を見ると、西日に照らされて明るいけど、この部屋は東向きだから暗い。垣根の上の方が赤くてきれい。西日の当たってる先へ行ったら市役所の方へ行く道に出ると思う。手賀沼まで行けば斜めに坂を上がったら家だと分かってる。あなたはどこにいるの?」「家にいるよ」「職場が近いからそっちに行っているかと思った」「会社はずっと昔に退職して仕事はしていない」「ああ、そうか。私はどこにいるの?」「グループホーム寿」「市役所の方から慈恵医大の方へ行く道?」「あはは、迷子になったな。コナカの後ろ、消防署のところの十字路の近く。二人で見に来て申し込んだところだよ」「申し込んだのは憶えているけど同じところかは分からない」「同じだよ」「そうか、356に出て東へ歩いてお寺の近くで曲がって手賀沼の方に行く。店が二つあった」「ガストとセブンイレブン」「そこから入ると家があって、通り過ぎると神社への道」「そう」「知ってる道でも迷子になるのが怖い。一緒に歩いて教えてね」「面会と外出が解禁になったら一緒に散歩しよう」「いつ?」「伝染病に訊かないと分からないな」「早く家に行きたいよ」「気長に待って」「泣いても解決しないからもう泣かない。ぼやーっとしていて、あなたと電話するときに好き放題言うしかない」「参ったな」「いいじゃん」「ぼつぼつ電話返してきて」「うん、行ってくる。事務所に誰もいないよ」「食堂に職員さんがいるだろう」「いたいた。今村です。終わりました」200427c.jpg
(岸辺から並んで泳ぎ出したカイツブリのペア)

枯れ穂の向こうに登った日の出は眩しすぎ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.26)
(アルツハイマー)

水に映った日の出を撮ろうとしていたら、「ここがいいな」と近寄って来た若者4人。マスクも掛けず、スマホで日の出を撮ろうとしているらしい。仕方がないから10mほど下がれば撮れなくなった水に映った日の出。枯れ穂の向こう登った日の出は眩しすぎ。200426.jpg

水路の向こうの埋立地の木、何かが動き咄嗟に撮れば、木に止まっていたキジの雄。200426a.jpg

浮上して埋立地の杭に登ったカワウ、何を探すのか右を見たり左を見たり。200426b.jpg


『歌ったら気持ちが楽になった』 (2020.4.26)
昨日午後、電話に出た妻はちょっとハイ、「もしもし」「はいはい」「電話してくれて嬉しい。天気はいいけどすごい風が吹いてるね。天気予報を見たら、こっちは嵐みたいに風が吹いて雨が降るみたいだ」「明日までは晴れても、月曜日頃から雨みたい」「他にやることはないから天気予報を見たよ。いま家にいるの?」「そう」「何してるの?」「食事の用意をしたり、たまには掃除をして、今朝は洗濯したよ。あっ、干すのを忘れてまだ洗濯機の中だ」「脱水してあれば大丈夫だから電話が終わったら干しな。ちゃんと干せる? 近いから帰ってやってやりたいけど、今はダメだね」「あんたがやるのを見ていたからできるよ」「自分の仕事を作ろうと思っているから、そこまで行ってできたらいいな」「CDは聞いた?」「今日はまだ聞いていない」「聴いたらいいのに」「今電源を押した。その次はどうする?」「CDボタンを押す」「どこにある?」「字の出ている窓の左下」「押した。次は?」「矢印を押す」「鳴ったよ」「昨日やり方をメモしただろう」「何処かにあった。これだ、一番電源ボタン、二番CDボタン、三番矢印ボタンって書いてある。忘れたら来て教えて」「今はダメ」「そうか、テレビで家にいなさいって言っていた。~秋を愛する人は心深き人 愛を語るハイネのような 僕の恋人~」「歌うのは電話が終わってからにして」「どこに電話があるの?」「いま話してるじゃない」「そうか、あなたと話してるのね。歌ったら気持ちが楽になった。本当は外に出て体の運動がしたい」「いまは外に出てはダメ」「あなたは82、こんな私でももうじき80、後を追い掛けるためには歌を歌ったり、運動するしかないね」「面会できるようになったら一緒に散歩しようね」「その散歩って言葉が出てこなかった」「今日は元気でよかったよ」「ぼつぼつ切る?」「電話機返してきて」「この部屋のじゃないね、返してくるよ。 ・・・済みません。終わりました。ありがとうございました」と電話機を返す妻。いつになく陽気だった。200426c.jpg
(仲睦まじく岸から出てきたコガモのペア)

昨日刈り取られた水生植物園跡の菜の花畑

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.25)
(アルツハイマー)

昨日刈り取られた水生植物園跡の菜の花畑、代わりに咲き始めた藤棚の花。200425.jpg

藤棚の向こうに日の出。日に日に伸びて膨らむ藤の花房。200425a.jpg

葉が茂る桜の木に飛んできたホオジロ、見上げて隙間を探していたら目の前に。200425b.jpg


『~春を愛する人は~』 (2020.4.25)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい」「ラジオを点けようと思ったらうまくいかない。ガーガー言うようになっちゃった」「そういうときは職員さんに教えてもらうといいよ」「事務所に訊きに行こうと思ったが、訊いてもいいか迷っていた」「ラジオかCD、何を聞きたいの?」「今は歌」「電源ボタンを押して消して」「どこにある?」「上の左の方」「あった。これね。消えた。あなたお元気ですか?」「元気です」「私のだんな様でございますね。私なんかつまらない時間を過ごしています。時間つぶしです」「どうしたの?」「電話機を持って来てくれてからかわれちゃったから」「CDを聞きたいの?」「そう」「電源ボタンを押して」「押したら点いた」「窓枠の左下にあるCDボタンを押して」「窓の下は壁だけだよ」「その窓じゃない。ラジオの、文字の出て来る窓」「ああ、これか。どれだろう。CDがあった。押したら字が変わった」「その下の方の矢印と二本棒のあるボタンを押して」「押した。歌が鳴りだした。もう一回最初からやってみる。順に言って」「電源ボタンを押して」「消えた」「電源ボタンを押して」「字が出てきた」「CDボタンを押して」「どこだどこだ、はい押した。字が変わった」「矢印を押して」「できた。鳴ってる」「よかったね」「もう一度やってみる。あれ、忘れちゃった。メモするから言って」「一旦消して。一番は電源ボタン、二番はCDボタン、三番は矢印」「じゃあやってみる。点いた。CD、CD、どこにある。あった。矢印って字のボタンがないよ」「記号だよ」「矢印と縦のイコール? 鳴りだした。~春を愛する人は・・・~」とCDに合わせて歌い出した。一番だけ歌うと、「おさらいするよ。電源を切った。ただ今から音楽の時間を始めます。一番は電源、二番はCD、三番は矢印。嬉しい、自分でできたよ」「もう電話は終わりの時間。続きは明日ね。鳴らしたままで電話返してきて、そのあと歌を歌ってね」「もう事務所に来たよ。まだつながっているけど」とOさんに代わって、たぶん忘れるから、忘れたら教えてやって下さいとお願いした。200425c.jpg
(遊歩道からネコの木を望めば水面から湧き出る霧。さてさて今日はどんな日か)

日の出も見られそうにない曇天の沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.24)
(アルツハイマー)

日の出も見られそうにない曇天の沼。地平線が赤らみ沼を染める。200424.jpg

網を干す鉄パイプを掠めて飛んだハクセキレイ。モニターで見れば嘴に獲物。200424a.jpg

葉が茂りなかなか撮らせてくれないヒヨドリ。200424b.jpg


『自分の気持ちを発散させる術がない』 (2020.4.24)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい」「元気?」「元気」「元気ですって言われても姿を見に行けないから辛い。あなたが元気じゃないとき何にもしてあげられなくて申し訳なく涙が出る。あなたの状態は?」「何も悪いところはない。一人で頑張ってるよ」「2~3ヶ月ぶりにお昼を食べた」「毎日じゃないの?」「中学の方へために行ったがいつだったか分からないから適当に言った。お昼ご飯が済んで歩いて部屋に戻った。ノートやあなたが作った『公子と詮の新聞』を見てこんなことがあったのかと手が震えて涙が出てきた。今は体力的にはよくなったが、泣けてきて涙が出る」「いい天気だが夕方から天気が崩れるから悲観的なモードになったね。天気回復だった昨日ははしゃいだ気分になっていたよ。電話中にCDに合わせてふるさとを歌って三番が終わるまで待たされた。またすぐに治るさ」「今は自分の気持ちを発散させる術がない、窓から見ると今日はいい天気、大きな雲がが浮いている。西日を浴びた道が見える。手賀沼に出る道だなと思う。想像できるところにいるのは幸せ、できないところにいたらもっと辛い。歩いて帰られるほど私は元気なのに帰れない。ラジオを聞くことで救われている。夜眠れないときにはラジオを聞く」「昨日のようにCDに合わせて歌うといいよ」「外へ出られないのは辛い。治らないと退院できないの?」「ここは病院じゃない、グループホーム寿だよ。あんたと一緒に見学して申し込んだ施設だよ。食事や生活面の支援をしてくれ、訪問介護のお医者さんも来てくれる。二人とも年を取って出来ないことが増えて、それを助けてくれる施設だよ」「何人入っているの?」「9人が定員、大勢の職員さんが交替で支援してくれている。夜も何回か見回りに来てくれている」「そうか、それで鍵を閉めておいても開いているのか。私ばかり楽をして悪いね」「あんたが元気でいてくれれば嬉しいよ。電話が長くなったから、また明日話そうね」「じゃぁ電話返してくる。いま廊下を歩いています。着いたよ・・・。済みません、電話終わりました。ありがとうございました」200424c.jpg
(遊歩道に鳥が見つからない朝。鳴き声で見上げた木の天辺にホオジロ。天気回復、泣くのか歌うのか今日の妻)

水生植物園跡の緑が濃くなったケヤキの木

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.23)
(アルツハイマー)

水生植物園跡の緑が濃くなったケヤキの木、半分刈られて小さくなった菜の花畑。藤棚の花房が少し開いて紫色に。200423.jpg

花壇の周りでちょこまかと餌を探し歩くツグミ。200423a.jpg

昨日からヒヨドリが集まり始めた木、今朝も5~6羽が出たり入ったり。200423b.jpg


『兎追いしかの山~』 (2020.4.23)
昨日午後、天気が回復してさて妻の様子はどうかと電話。職員さんから電話子機を渡され、「そのまま、そのまま話せばいいの」と職員さんの声。ボタンを押そうとしたらしい。
「もしもし」「はいはい、元気そうだね」「今、家にいるの?」「そう」「わざわざ電話下さって何のご用?」「いつもの電話と同じで、あんたの元気な声を聞くため」「いつもっていつ?」「毎日だよ」「知らない、久しぶりじゃないの。直ぐ近くに住んでいて、歩いてくれば直ぐなのに電話してはもったいないじゃないの」「伝染病が流行っていて、家から出てはいけないからだよ」「声が小さくて聞こえにくい」「どこを耳に当ててるの?」「真ん中の辺り」「もっと上の方」「あっ、聞こえてきた。ラジオを自分で点けられたよ。点けてみるね。聞こえる?」「聞こえた」「一番目と二番目のボタンを押すと声が出る」「ボタンの名前は?」「AMとFM」「CDは掛けられないの?」「どのボタン?」「こっちからは見えないから分からない。CDってボタン探して」「これかな、窓の中の数字が動き出した。歌が出てきた」「できたね」「私の好きな歌だ、歌っちゃお。兎追いしかの山~小鮒釣りしかの川~」「もしもし、オーイ」と叫んでも応答はなく、電話子機をマイクに仕立てて歌い、三番が終わるまで待たされた。「歌はいいなぁ、気持ちがよくなる」「毎日CDを聞いたらいいよ」「どのボタンを押したんだろう?」「CDのボタンを押して、次は矢印を押す」「どこにある?」「見えないから分からない。どこにあったか忘れたよ」「忘れるのは私じゃないの。近いから教えに来て」「面会できないからダメだね」「いろいろ押してみる。自分でやれて嬉しい」「毎日聞くといいよ」「ボタンが分からなくなったら?」「職員さんい教えてって頼みな。明日も電話するから練習しておいてね」「分かった。またね。あれ、どこを押すのだろう」と言いながら歩く気配。
家に帰りたいとは一度も言わず、CDラジオや電話機のボタンを押すことに熱中していた妻。珍しい日。200423c.jpg
(仲良く並んで泳いできたカイツブリ、同時に潜り同時に浮上。)