もうもくと南の空にわき上がる雲

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.10)
(アルツハイマー)

もうもくと南の空にわき上がる雲。200910.jpg

埋立地から飛び立ったダイサギのシルエット、次々と東我孫子の丘の向こうへ。200910a.jpg

獲物を見付けたかアオサギ、葦の隙間に見え隠れ。200910b.jpg

『勤務はないの?』 (2020.9.10)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「あなた、勤務はないの?」「もう勤務していない。会社は20年も前にやめた」「私もやめたい」「あんたも仕事をやめたじゃない」「ここにいるのをやめていい? 朝寝、昼寝、夜も寝て、やることないんだもの。あなたは何処の施設に入っている?」「高野山の家にいる」「一人で?」「そう」「かわいそうに、自炊してるんだ。私が行ってやってやりたい」「ありがとうね。でも、あんたにはグループホーム寿にいてもらいたいな」「どうして?」「去年までは高野山の家に一緒に住んでいたが、あんたの介護を私ができなくなって、あんたとグループホーム寿を見学し申し込んだ。しばらく待って入居し、私の代わりに介護してもらってる」「家で一緒に住みたいが、介護を誰かに頼まないとダメか」「だからグループホーム寿に介護をお願いしてる」「あなたもここに住めないの?」「私は要介護認定の入居資格がない」「あなたも早く要介護になるといいね」「嫌だよ、私も要介護にしちゃうの?」「あはは、惚けたくないか。私はここにいればいいが、あなたの介護が心配だ」「心配しないで、私に判断力がなくなったら、AとLって立派な子どもたちが考えてくれる。自分の要望はちゃんとメモしておく。あんたがそこにいてくれるのが私への一番の助けだ」「あなたへの協力だね。論理的には分かるが心情的には嫌だね。なにも出来なくなったら子どもたちの力を借りるしかないか。そうして歳をとるしかない」「神戸のYさんからあんたに手紙が来た。今度の面会の時に持って行く」「ちょっと読んで」「開封してもいいの?」「いいから読んで」「公子さん、長い間ご無沙汰しています。・・・・・かしこ。Y」「うれしいな。Yさんは土方の出、中学、高校、大学と一緒で、私は佐倉小、Yさんは池新田小に赴任した。返事を書きたいから便せんを欲しい」「手紙と一緒に届けるよ。時間になった。CD鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」200910c.jpg
(昨日ほど機嫌がよくないのか、ちょっと鳴いては休んでばかりいるホオジロ。)

地平線をオレンジ色に染めた晴天の夜明け

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.9)
(アルツハイマー)

地平線をオレンジ色に染めた晴天の夜明け。200909.jpg

埋立地の杭から次々飛び立つダウサギやチュウサギ、5分ほどで半数ほどになった群。200909a.jpg

泥だらけの足で杭にとまったアオサギ、カメラ嫌いかレンズを向けたら飛び立った。200909b.jpg


『私の姉妹は何人?』 (2020.9.9)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「定期便ですかって言ったら定期便ですよって電話機を渡してくれた。私の姉妹は何人か数えていたら分からなくなった。私の姉妹は何人?」「岩滑の姉さん、浜岡の姉さん、西ノ谷の姉さん、あんた、横地の妹、生まれて数日で亡くなった妹、八王子と横浜の双子の妹でしょ」「あなたよく憶えているね」「何十遍も聞かされたからな」「8人なのに名前を並べると7人になっちゃう」「自分を数えなかったのか、生まれて直ぐ亡くなった人のどっちかを数えなかったな」「直ぐ死んだ子の名前は?」「聞いたことあるが忘れた」「女ばかりたくさん生まれたね。リヤカー乗せられで買い物に行ったとき、お宅だね子どもが亡くなったのはと言われたことを思い出した。菊川の駅の方へ埋めに行った。菊川のどこだか分からない」「菊川なら、私より先に男の子が生まれて数日で死んだからタカダッパラに埋めたと両親から聞いたことがある。生まれて直ぐ死ぬと墓に入れず、タカダッパラに埋めていたそうだ」「それ、それ、タカダッパラだ。お父さんが、犬が掘り起こさないように深い穴を掘ったのを思い出した。死んだ子を埋めるのだなと思った。家族みんなで行ったがお母さんだけは悲しくて行けなかった。遠くでお参り出来るとお母さんは一度も行かなかった。何だかわからなくてずっともやもやしていたことがやっと分かった」「AとLとあんたと私を写った写真、子どもたちの顔を忘れないように時々見てね」「あれ、何処にある?」「昨日はベッドの枕元」「あった。子どものころの事を考えると、私の姉妹と私の子どもたちの年代がごっちゃになって分からなくなる。あなたはお父さんだけど私のお父さんじゃない」「あんたの夫、忘れないで」「はい夫さま」「もう時間になった。CD鳴らしてから電話機返してきて」「・・・鳴った。・・・電話機持って行くの忘れちゃった。アハハ。・・・プープープー」、妻が事務所に辿り着く前に電話は切れてしまった。200909c.jpg
(気分がいいのか、いつになくよく囀るホオジロ。)

遊歩道を歩けば頭上の隙間から日の出前の空

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.8)
(アルツハイマー)

遊歩道を歩けば頭上の隙間から日の出前の空。200908.jpg

じっと水面を見詰め、突如振り下ろしたアオサギの嘴。200908a.jpg

ドジョウだろうか獲物を咥えたアオサギ、ダイサギもチュウサギもコサギもいなくなったビオトープの池で。200908b.jpg

『あなたは元気?』 (2020.9.8)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「昼寝で眠りそうになっていた。あなたは元気?」「元気」「午後やることがあるの?」「家の中のことあれこれやるつもり」「そこにずっと住むつもり?」「そう」「私はどうなるの?」「グループホーム寿にいてもらう」「家に帰って一緒に住みたい」「帰ってきても、私があんたの介護をできなくなったから、あんたはグループホーム寿で介護してもらっている」「そうね、歳だもの出来ないね。代わりに誰かの手助けがいるね」「だからそこに入居したんだ」「あなたが介護が必要になったら、私があなたの所へ通うおうかと考えた」「嬉しいよ。あんたも介護が必要で、私の介護は無理かもね」「自分では出来るはずないけど、助けてくれるグループに相談に行く」「それがいい。あんたが介護認定してもらったときは、天王台地区高齢者なんでも相談室に相談して、ケアマネージャにMさんを紹介してもらった。あんたはママMATE、デイサービスあびこなどに通うようになり、次はロイヤルケアセンターのデイケアに通った。わらくのショートステイも利用させてもらい、いまいるグループホーム寿に入るまでMさんにお世話頂いた。私の場合は子どもたち宛てにメモを書いてある」「あなたの面倒は私が見るつもり。頼りになる子どもたちがいてよかった」「ありがとうね。子どもたちと一緒になんでも相談室などに行って相談してね」「AやLと一緒に相談する所に行けばいいって分かって安心した。あんたが倒れたら誰が見付けてくれる?」「毎日ブログやフェースブックを書いているから、AやL、弟のNが見ていて、今日も元気だってチェックしてくれている。書き込みが遅れると、生きてるかって電話してくれる友だちもいるよ」「あはは。書くのが遅れるときは事前に言っておかなくてはダメね」「そうするよ。色々心配してくれてありがとうね。時間になったからCDを鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った。電話ありがとうね。返してくる・・・電話終わりました」200908c.jpg
(遊歩道から見た日の出、暑くなりそうな予感。)

見る見る赤く染まった雲

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.7)
(アルツハイマー)

見る見る赤く染まった雲、場所を変えて撮ろうとしたらもう色褪せた。200907.jpg

ビオトープの池から次ぎ次ぎ飛びたつダイサギ、岡発戸の丘の向こうに消えて行く。200907a.jpg

ダイサギが飛び立った跡では、漁場を巡り牽制し合うチュウサギ。200907b.jpg

『あなたの奥さんは?』 (2020.9.7)
昨日の妻との面会前、Oさんに子どもたちの名前を書き入れた写真、庭のシュウメイギクの写真を渡し、面会表記入。昨日妻が言っていた化粧品のことを確認すると全て妻の空想話と判明。最近混乱することが多く、退去する人の荷物搬出をみて何か勘違い、まだ仕事をしている積もりで、契約はどうなっているかと激高したことがあったと。混乱し本人も辛そうだとOさん。何日か前の電話で、グループホーム寿を研修所と思い込み、帰らされると思い込んだことと同じだったかも。駐車場に行くと渡した写真を持ってこっちを見ていた妻。「どこから来た?」「家から」「岩滑には誰がいるの?」「T君夫婦」「私のお母さんは?」「20年前に亡くなった」「岩滑のお姉さんは?」「亡くなった」「浜岡のお姉さんも?」「浜岡の施設に入ってる。亡くなったのはご主人」「西の谷のお姉さんは?」「元気だよ」「妹たちは?」「みんな元気」「あなたは家から来るのにどのくらい時間がかかる?」「5分弱」「そんなに近いの? ここは何県?」「千葉県我孫子市寿。家は高野山だから直ぐ近く」「高野山って?」「Aさんの家から坂を登ったところ」「何だ、その家か。家って言ったら岩滑しか頭になかった」「お父さん、あなた私のお父さんじゃないよね」「子どもたちがお父さんって呼ぶから。私はあんたの夫」「えっ、夫? あなたの奥さんは?」「あんたじゃない」「私? ああよかった。あなたのいる家に帰りたい」「高野山の家に帰っても、私は年を取ってあんたを介護出来なくなった。伝染病が治まったら、昼間家を見に帰って、夕方にはグループホーム寿に戻ることは出来るようになる」「子どもたちの写真見た?」「いま見た」と言って泣き出す。「忘れたらAとLの名前も書いてあるこの写真を見るよ。岩滑のこと、忘れたらまた教えてね」「いつでも話してあげる。今日はもう帰る。来週も来るよ」「来てくれてありがとう」と窓ガラスの向こうで手を振る妻。職員さんがカラス戸を開けてくれ、妻は泣き顔で手を振っていた。200907d.jpg200907c.jpg
(ひと声鳴いて気を引き、レンズを向ければだんまりなかなか鳴かないモズ。)

桃山公園の高台に立てば埋立地の杭にサギの群

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.6)
(アルツハイマー)

桃山公園の高台に立てば埋立地の杭にサギの群。一羽二羽と飛び立って5分も経たぬ間にまばらに。200906.jpg

遠くの日の出に一瞬染まった雲。200906a.jpg

年に一度おしゃれをする高台のサルスベリの木、雨に濡れ鮮やかになった花。200906b.jpg

『みんなでお化粧をした』 (2020.9.6)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今はお昼休み。みんなでお化粧をした。置いてある物を使ってお化粧したが、なんで自分の化粧品を使わせないのだろう。私が取った物ではうまくいかない。使ったことのない物だとうまく出来ない。使ったことのないものを使わせるのはおかしい」「去年あんたは化粧品をこっそり買って使い、かぶれて二度も皮膚科に行った。だから使ったことのない化粧品は使わないことにしていたね」「使いたくないと言ったが、これを使いなさいと指示された」「化粧品で何度かかぶれたことがあると言わないと分かってもらえないね」「やってみて、とてもいいねと言ってもらいたかったからみんなと一緒にやった。私はバカだね。部屋に戻って自分の化粧品でやり直している」と妻。化粧がうまくいかなくて空想の中での作り話を言っているのか、お化粧を楽しむ会があったのか分からない。化粧品で何度かかぶれたと申告するのを忘れていたことに気付いた。「あなた、今日は休み?」「ずっと休み」「なにやっている?」「食事を作ったり、掃除、洗濯をしたり、やることはあるよ」「明日私がやるから無理しないで」「ありがとう。でも伝染病が流行っているから外出は禁止だよ」「そうか。伝染病か。何で外に出るとダメ?」「人から人へ感染するし、誰が感染しているかも見ただけでは分からない。まだワクチンがないし、特効薬もない。高齢者が感染すると重症化するのでグループホーム寿にいる人に感染しないように外出や館内での面会を禁止にている。そうやってあんたも守られている」「そうか、ダメか。ネコの可愛い写真、何処のネコ?」「みるともも」「そうか、死んだよね。何処かに埋めに行った気がする」「茶室の前の庭石の脇に二匹とも埋めた。みるは私が埋めたが、ももは腰や肩が痛くて写真友だちのKさんに埋めてもらった」「長生したね。可愛がっていたから辛かった」「もう時間だ。CDを鳴らしてから電話機を返してきて。明日面会に行くよ」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」200906c.jpg
(二つ目の花が咲いた庭のシュウメイギク。面会のお土産にと思ったが切るのはやめて写真を持って行くことにした。)

天気予報は曇天だったが晴天の夜明け

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.5)
(アルツハイマー)

天気予報は曇天だったが晴天の夜明け。200905.jpg

昨日より半減していたサギの群。餌を食べ尽くしたか池の西寄りに移動し、ダイサギ減ってチュウサギが目立つ。200905a.jpg

遊歩道寄りに咲いているキクイモの花。初めて食したオーブンで焼いたキクイモ、50年ほど前のアメリカ出張時だったろう、現地駐在していた先輩が食べさせてくれた。200905b.jpg


『何かをなくした』 (2020.9.5)
昨日午後、いつもの時間に妻への電話、トイレ中だったから5分後にかけたらまだトイレ。また5分待って呼んだらやっとつながる。「もしもし」「は~い」「こっちに来ているの?」「こっちって?」「坂を上がった所の家」「その家にいるよ」「あなたは家があっていいね。私はその家へ行く道をよく憶えてるよ。家の前を通り過ぎて356に出て、中学の前を過ぎて左に曲がると天王台の駅。昨日はそっちへ行った気がする。私の名前が書いてある何かをなくした」「大丈夫、なくしていないよ」「どうして?」「伝染病が流行っているからグループホーム寿は外出禁止、だから天王台の方へ行ったのは夢か空想だよ」「そうか、夢か空想か。でもね、部屋の中を探してもないよ」「何がなくなった?」「えーとねぇ、ここに座って書き物なんかするもの」「ボールペン?」「そうじゃない」「何だろう?」「何だかわからない。何だか分からないってことしか分からない。何かがなくなったから探してって事務所の人に頼んだらおかしいよね。でも、ないものはない」「何がなくなったか分かったら私が買ってきてあげる」「それが何だかわからない」「なにもなくしていないと思うよ。なくしたと思うから焦っているな」「今日は何曜日?」「金曜日」「午後の予定はなんだった」「知らない」「何もなければあなたの所へ行くつもりだった」「伝染病が流行っているから外出は出来ない」「何とかしてよ」「無理言うな、私は神様じゃないぞ」「私には神様だもの」「困ったな」「ここへ来てバカをみたのは私。何処にも行けない。ねぇ、お父さん」「なんだい」「お父さんてば」「・・・」「怒ったな、返事をしない。アハハ。私はあなたしかこんなこと話せないでしょ。お父さん」「は~い」「あなたは優しいね」「私をからかっている間に時間が来た。ラジオの電源を入れて歌を鳴らして」「昨日もやったね。スイッチオン、CDボタン、矢印・・・鳴った」「じゃあ電話機返してきて」「・・・事務所の前です・・・あっ、いた。・・・電話終わりました」200905c.jpg
(揺れた木の天辺にホオジロ。しばらく眺めたが鳴きもせず、稲刈り前の田んぼへ下りていった。)

振り返ればまだ月が残っていたコスモス畑の上

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.4)
(アルツハイマー)

振り返ればまだ月が残っていたコスモス畑の上。200904.jpg

じっと見詰めていた水面、突然水面を叩いたダイサギの嘴に小さな魚。200904a.jpg

じっと獲物を待つダイサギ、また漁の場所を変えたチュウサギ。200904b.jpg


『今日は寒い?』 (2020.9.4)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「ダーリンからって電話機を渡されたが、あなたでしたか。私が他の人の歌のメロディーに適当な口から出任せの歌詞をつけて歌っていたら、それを聴いた他の人が本当の歌詞だと思って変な歌を歌ってると言った。鼻歌と同じで適当に浮かんできたメロディーにその時の思いつきの歌詞をつけて口ずさんだっていいじゃん。元々歌なんってそんなものでしょ」「何と言われたっていいじゃない。気にしない、気にしない。浮かんできた言葉を好き勝手なメロディで歌ったって楽しければいいんだ」「今日は寒い?」「暑いよ」「部屋に帰ってきたら寒いから布団かけて寝転んでる」「暑いから食事中に温度設定を直してくれたのかな。職員さんに頼んで調整して貰うといいよ」「そうか。・・・」と職員さんの所に行ったらしい。何しに行ったか忘れて電話機を渡したらしく、「電話代わりました。終わりました?」と職員さん。「部屋が寒いと空調の温度調整をお願いに行ったと思います」「直ぐ見ます・・・直しましたから代わります」「あのね、何かして帰っちゃった」「エアコンの温度調整をしてくれたんだよ」「そうか。今日は何曜日?」「木曜日」「私には寒い日曜日みたい。あっ、ドアが開いてる」「寒くなくなったら閉めてもいいよ」「閉めてくる・・・」「もしもし」「・・・」。電話機をどこかに置いたままらしい。事務所に電話して別の電話機で妻を呼び出してもらったら、「何が何だかわからなくなった」「もう寒くない?」「寒くない。あなたどこにいるの?」「家にいる」「もう帰ってきたの?」「何処にも行っていない」「あなたはもう仕事をやめたんだったね」「止めて20年くらいになるよ。もう時間になっちゃった。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「どうやって鳴らす?」「ラジオの電源ボタンを押し、CDボタンを押し、三角の矢印を押す」「こうだね。ときどき自分でもやってるよ。・・・鳴った。・・・電話終わりました」と電話機を返す。一旦混乱するとずっと治らない妻。200904c.jpg
(鼻歌みたいにちょっとしか歌わないホオジロ。)

遠くの日の出に照らされどんどん膨らむ対岸の雲

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.3)
(アルツハイマー)

遠くの日の出に照らされどんどん膨らむ対岸の雲。200903.jpg

上空を旋回してヒメガマの群落の向こうへ下りたチュウサギ。200903a.jpg

ビオトープにたくさん集まっていたダイサギ、チュウサギ、コサギ。ゴイサギが一羽飛来して岸辺の繁みへ。200903b.jpg



『ここから退散しないの?』 (2020.9.3)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「泣けて来ちゃう」「どうしたの?」「ずっと待っていた」「何を?」「迎えが来るという電話」「迎えなんか来ないよ」「ここから退散しないの? ずっとここにいるっていうこと?」「そう。ここはグループホーム寿、介護施設だよ」「ここで私の面倒を見て貰うように伝えてあるの?」「あんたと二人で見学して申し込んだところ。ちゃんと契約してあんたの面倒を見てくれることになっている」「今の段階では早くここを出たい気持ち」「家に帰っても私は介護出来なくなった。だからここにあんたのお世話をお願いしている。ここを出ると同じような介護施設を探すことになる」「ここには期限があるの?」「特に定めていない」「重い病気になったら?」「その時は入院して治療して貰う。治ったらまたここへ戻ってくる」「何処の病院?」「ここは布佐平和台病院の系列の施設、訪問診療も平和台の先生が来てくれている」「そうか。行く末のことを考えていたが、ここにいたら病院ともつながっているから安心、今の状態でここにいるよ。あなたは何処の施設にいる?」「高野山の自宅にいる」「施設には入らないの?」「要介護の認定がないから入れない」「今いるところは私たちが作った家?」「そう」「見に行くことは出来る?」「出来るけど、今は伝染病が流行っていて外出できないからダメ」「伝染病が治まったら?」「外出して家に来て、子どもたちも呼んで一緒に過ごし、夕方になったらあんたはここに帰り、子どもたちは自分の家に帰る」「伝染病が治まる前は?」「日曜日に予約を取って、あんたは建物の窓の所、私は駐車場にいて面会できる。面会のない日は電話する」「子どもや妹も面会できる?」「八王子や横浜に住んでいるから、伝染病が治まるまでは来られない」「電話してくれて声を聞けるだけでも嬉しい。それで明日を迎えればいい」「元気でいればその内何とかなる。時間になった。歌を鳴らして、電話機を返してきて」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」200903c.jpg
(まだ咲いていると自己主張しているしているようにコスモス一輪。)

花が増えた市民農園跡のコスモス畑

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.2)
(アルツハイマー)

花が増えた市民農園跡のコスモス畑、雨がぱらつきそうな空と沼。200902.jpg

ビオトープまで足を伸ばせばサギの群。ダイサギ、チュウサギ、コサギにアオサギ。200902a.jpg

畦道にキジの親子。子どもが田んぼに入れば立ち止まって待つ親。200902b.jpg


『何で我孫子に家を建てた?』 (2020.9.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「こんにちは。お昼の後一休みしようと横になった」「眠らなかった?」「眠る前」「だから明るくていい声なんだ」「あなたがいる家は近いよね、坂を上がるだけ。私たちが作った家だよね」「そう」「羨ましい。自分たちの家だよね。何で我孫子に家を建てた?」「私の勤務先が溝の口から我孫子になった。単身赴任するつもりだったが、同期入社のYさんが小机に家を建てた。Yさんの奥さんとあんたが友だちだったから家を見に行き、Yさんから会社の給料でも家は建てられると言われ、あんたはすっかりその気になった。あんたは走り出したら止められないものね」「それで家が出来てよかったじゃない」「まあね」「電話はいいね。電話だって言われ、あなたからだと思った。喧嘩したり仲良くしたり、いっぱい会話があったからあなたの声はしっかり憶えてる。我孫子に来たときは驚きがあったけど、それまでと違う生き方が出来るようになった。いい経験をしたと思うよ」「我孫子に来たらお外様、いつも飛び歩いていたね」「いろいろあったけど忘れた。どうにも分からないことがある。私たちには子どもがいる? 男と女、どっち?」「女の子二人。上がA、下がL」「そうだ、二人とも帝王切開だったから生んだ記憶がない。思い出そうとしているがまだ顔が浮かばない」「写真の裏に説明を書いて持ってこようか」「それがいい」「写真をあげても直ぐ見つからなくなる」「大事にしまうから」「私は子どもを抱いて階段の所にいる。顔が見えない。横須賀(掛川市)の道のようだ。向こうにあなたがいる。南に行けば海、西に行けば街」「お母さんの実家辺りだね」「千浜辺りの海や国安川も浮かんだが直ぐ消えた。地図につながらない。あなたの声を聞くと一緒に海へ行く道が浮かんだ。声を聞いて話しをすると嬉しい。心を許してしゃべれるからだね」「もう時間になった。CDを鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」200902c.jpg
(散歩中に葛の花を見付けると「高校の徽章は葛の葉だったよね」というのが妻の口癖だった。)

コスモス畑の向こうにいつまでも暗い曇天の沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.1)
(アルツハイマー)

コスモス畑の向こうにいつまでも暗い曇天の沼。200901.jpg

数日前から滝下広場のフヨウに気になるガ、友にメールで訊ねたら「形態からメイガの仲間、モンキクロノメイガに見えるが似たものが多い」と。200901a.jpg

二階の雨戸を開けていたら、畑をちょこまかと走るハクセキレイ。200901b.jpg


『もしかしたら帰るという噂』 (2020.9.1)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「もしかしたら帰るという噂があった?」「聞いてない」「何でか私の耳には入った。私はどこにいることになるの?」「何処にも行かない。グループホーム寿にいるよ」「ずっといるの?」「そう」「どうして」「去年体調が悪くて辛かった。私が十分に介護できないから、あんたは施設に入りたいと言った。グループホーム寿を見学して申込み、半年くらい待って空きが出来た。入居前の正月に膵炎が再発して取手の病院に入院した」「はっきりとじゃないが記憶がある」「一週間ほど入院したら記憶が消えて、退院後直ぐグループホーム寿に入居したからここへ来た記憶がない」「そういう話を聞くと、頭の何処かに記憶がないわけじゃない。あなたは誰と暮らしてるの?」「一人で」「かわいそうに、ごめんね。私の元気さはどのくらい?」「去年は目眩や吐き気や頭がガンガンしたし、膵炎で二度も入院した」「記憶にないけど、何かで読んだ気がする」「グループホーム寿に入居し、生活面の介護を受け、訪問診療の先生の診察で辛かった頭の具合も治ったし、膵炎の再発もしないで元気になった」「そうか、去年はそんなにひどかったのか。確信はないけど、ここに申し込んだことが頭の何処かにある」「あんたと二人で見学して申し込んだ。今は申し込んだところに住んでいる」「ここは我孫子だね」「そう。駐車場の先の広い道は、右に行くと手賀沼、左は直ぐ356との交差点。コナカの直ぐ裏だよ」「頭の中の地図が出来た。家は直ぐ近くだ、帰ってもいいと許可は出る?」「今は伝染病が流行っていて外出禁止だから行けない」「伝染病か」「伝染病が治まったら家に来て、子どもたちも呼んで食事したり話をしよう。夕方になったらそれぞれの住むところへ戻る」「私はここへ戻ればあなたも困らない。それが一番いいと思う。それまで元気でいなくちゃ」「時間になった。歌を鳴らして、電話機を返してきて」「・・・鳴ったから返してくる」と急に泣き声になった妻。200901c.jpg
(二階のベランダから沼を見た妻の古い記憶。斜面林沿いに家が建ち並び沼は見えなくなったと思ったら、僅かに残っていた狭い隙間。)

天気予報は晴れだったのに暗い曇天

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.31)
(アルツハイマー)

天気予報は晴れだったのに暗い曇天、「今朝は涼しくていいね」と犬の散歩に来た近所の人。200831.jpg

沼の水位が下がって獲物が見つかったのか、埋立地の浅瀨にダウサギやチュウサギ。200831a.jpg

今朝もたくさん咲いた滝下広場のフヨウの花。200831b.jpg


『写真を見ると思い出すよ』 (2020.8.31)
昨日の妻との面会、10分ほど予約時間より早く行き、面会票を記入し、プリントしてきた写真をSさんに渡す。裏の駐車場で車を日陰に入れて待つと、Sさんに連れられて窓辺に来た妻。私の車を見付けて手を振っている。車から降りると「どこから来た?」「高野山の家から来た」「高野山ってどっち?」「あっち」と指させば、「じゃぁこっちが手賀沼だ。この下の道を行っても市役所の前の広い道に出るよ。手賀沼の近くで手賀沼沿いに左に行って、坂を登ると家だね」「そう」「今朝も写真を撮りに行った?」「ビオトープの脇まで歩いてきた」「私はビオトープの方の景色は忘れてもう頭に浮かばない」「今度写真を持ってくる」「あの小屋の先に階段があったが、危ないから外して扉に鍵をかけた。私の好きな場所だった」「写真を見た?」「これ、片倉台団地だね。私たちは1階の右側。ドアの向かいがMさんだった」「あんたは奥さんと友だちだったね」「階段の人はみんなと仲よしだったよ。団地は愉しかった」「その写真は2003年に川崎に住んでいたLの所に行って、帰りに横浜に出て団地を見に行ったとき撮った」「写真を見ると思い出すよ。同じくらいの年の人が多くて友だちがいっぱいできたよ。こっちの花の写真は?」「うちの庭に今年最初に咲いたシュウメイギクの花。30年くらい前にあんたが友だちに苗を貰って、赤と白一本ずつ植えたのが増えた。蕾がいっぱいあるからこれから咲くよ」「いいなぁ、私も家に行きたいよ」「今は伝染病が流行っていて、中にいる人に感染しないように外出も、建物の中での面会も止めている。伝染病が治まったら、AやLが家に来て、あんたも来て一緒にご飯食べたり話をしよう。夕方になったら、Aは八王子、Lは横浜、あんたはグループホーム寿に戻る」「私が泊まるとあなたが困るよね」「何かあっても私は介護できないからね」「暑いから気をつけてね。交通事故に遭わないようにしてね」「来週にまた面会に来るし、そうでない日は電話する」「待ってるよ」と手を振る妻。振り返るとちょっと泣き顔。200831c.jpg200831d.jpg

(庭に咲いたシュウメイギクの写真を見て「いいなぁ、私も家に行きたいよ」と妻。)

ヒメガマの群落から次々飛び立ったダイサギ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.30)
(アルツハイマー)

埋立地のヒメガマの群落から次々飛び立ったダイサギ。200830.jpg

ぼつぼつ終わりが近い市民農園跡のコスモスの花、何処を撮っても枯れた花が目立つ。200830a.jpg

ふわりと飛んできて、枯れたコスモスの花に合体したトンボ。200830b.jpg


『ひとりぼっちになった』 (2020.8.30)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「あなたの声を聞いたら泣けて来た。ひとりぼっちになったかと思っていた」「ひとりぼっちじゃないよ。私がいる」「今の今まであなたが死んだのかどこかへ行ったと思っていた。あなたが生きていてよかった。嬉しい」「泣くのを止めて」「今どこにいるの?」「家にいる」「何処?」「駐車場の先の広い道を手賀沼の方へ下る。左に曲がって手賀沼沿いに行って、Aさんの家の前から坂を登ったところ」「何でかそこへ行かれない。行きたくても、どうしたらいいか分からない」「落ち着いて」「駐車場の先に市役所の方へ行く道がある。手賀沼の傍で左に曲がって、坂を登ると私たちの家。中学の校舎が見え、その先へ行くと左に天王台駅に行く道。右に行くと手賀沼に出る。何処かで坂を登ると私たちの家がある。歩いて確かめないと頭の中の景色がつながらない。今どこにいるか分からない」「グループホーム寿にいる」「そうらしい。駐車場の先の広い道を右に行き、手賀沼近くで左に行って、Aさんの家の前から坂を登ったら家。あなたはそこにいるのね。私は何でここにいる?」「去年まで家にいて、目眩や吐き気、頭がガンガンして苦しみ何度も病院に行った。私が十分に介護できないから、あんたは施設に入りたいと言って私と一緒にグループホーム寿を見学して申し込んだ。12月まで待って空きが出来て入れることになった。AやLが来て仕度を手伝ってくれた。正月に膵炎を再発して入院し、退院したら自分がどこにいるか分からなくなった。記憶が戻る前にここに入居したから、なぜここにいるか分からなくなった」「これで私の頭に入った」「私と一緒に住んでも私はあんたの介護をできなくなった。あんたはここで生活面の介護や訪問診療の先生の診察を受けている」「いいところにいるんだね」「そう。時間だから歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴ったよ」「明日は面会に行く」「嬉しい。・・・着いた。済みません、電話終わりました」200830c.jpg
(庭木に散水していたら、今朝咲いたシュウメイギク一輪。30年も前に妻が植えた一株が増えて庭のあちこちに。)

一羽だけ残って水面を見詰めるダイサギ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.29)
(アルツハイマー)

仲間たちはみんな出発したのに、一羽だけ残って水面を見詰めるダイサギ。200829.jpg

何度も水を被り大きく羽ばたいたカルガモ。200829a.jpg

水辺の杭に行者が立っているようにアオサギ。200829b.jpg


『いまから歩いて行くよ』 (2020.8.29)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「どこにいるの?」「家にいる」「歩いたら10分の近さだね。今から歩いて行くよ」「外出禁止だから外へ出られないよ」「どうして?」「グループホーム寿にいる人が伝染病に感染しないように面会も外出も止めている」「そうか、誰かが言っていた。テレビを見ていないし、新聞も読んでいないから私には情報がない。つまらないよ」「テレビがあった方がいいの?」「情報をキャッチするにはあった方がいい」「あんたあの部屋を出たところにテレビとソファがあって、みんながテレビを見ているでしょう。あんたも一緒に見ないの?」「テレビの所は知らない人ばかりでしゃべれない」「テレビを見るときはみんなおしゃべりはしないでしょ」「私はおしゃべりがしたいの。知らない人ばかりで共通のことがない。知らない人と話すことなんか出来ない」「自分の部屋にテレビがあればいいの?」「テレビがあっても使い方が分からない。一週間くらい来て私に教えてくれる?」「伝染病が流行っていてグループホーム寿に入れてもらえない」「ダメなら家に帰る」「一緒に家に住んでいたころ、私があんたの介護をできなくなって困ったからグループホーム寿に入れてもらった。そこにいれば食事、洗濯、入浴などの面倒は見てくれるし、訪問診療に先生も来てくれる」「私は人にやって貰うのを好きな人間じゃない。じゃあ自分でやれって言われたって出来ない。ここに押し込まれて監禁されてる。あんたは私をこんな所に押し込みやがって、アハハ」「そこで何をやったら楽しめるかな。思い出の写真だっていっぱいある」「何処に?」「鏡台の引き出しにあると思う」「後で探してみる。歌を歌うなら自分で出来るよ」「じゃあ歌おう。ラジオの電源入れて」「ラジオが鳴った。どこで選ぶか分からない」「歌なら、CDボタン押して、三角の矢印を押す」「・・・鳴った。・・・~春を愛する人は・・・~」「電話機返してきてから歌ってよ」「分かった。・・・電話終わりました」200829c.jpg
(自宅付近の住宅地に陽が射し、ふと浮かんだ妻が朝食の用意をしている姿。何年か前の撮影帰りの時に戻った感覚。)

早朝の散歩、振り返れば南西の空に朝焼


撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.28)
(アルツハイマー)

早朝の散歩、振り返れば南西の空に朝焼け。200828.jpg

可憐に咲いているのに、ヘクソカズラとはちょっとかわいそうな命名。200828a.jpg

鳴きながら羽繕いとは器用なホオジロ。200828b.jpg


『劇の中の生活』 (2020.8.28)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「急に起こされて半分目が開いた。何かに使う写真を撮りに来ている。脚で蹴飛ばして布団が乱れていたが、もっと崩して写らないようにしている。あなたは今日家にいるの? 誰か引き受けた人がいるの?」「引き受けたって?」「私を誰か迎えに来るの?」「誰も迎えに行かないよ。あんたはグループホーム寿に住んでいるから」「ああ、そうだった。私は家に帰らないなら岩滑に帰るの?」「何処にも帰らない。岩滑は甥のT君夫婦が住んでいる。あんたの両親も、お姉さん夫婦も亡くなってあんたが帰るところじゃない」「そうか。色々忘れてしまった。ここに住んでいるのは劇の中の生活、あなたが自分の家いるのは現実の生活、私は劇の中の生活が終わったら、あなたと一緒の現実の生活に戻るの?」「あんたがグループホーム寿にいるのは劇じゃなく現実だよ」「私は劇の中で演じているとばかり思っていた」「去年まで家で二人で暮らしていたが、私があんたの介護を十分にできなくなってグループホーム寿で介護をして貰うことになった」「それは聞いていた。残った日はここで暮らすの?」「ここにいたら生活面の支援や、健康面は訪問診療の先生が定期的に来てくれる。ここに入ってから膵炎の再発はないし、目眩や吐き気、頭ガンガンの苦しみもなくなった」「治ったよ。私の部屋はずっとここ?」「そう」「なんでここ?」「去年はあんたの体調が悪く、私も十分な介護ができなくて困った。あんたも施設に入りたいって言って二人でここを見学して申し込んだ。5ヶ月程待って入れることになった。入居の仕度をしているとき膵炎が再発して取手の病院に入院し、退院と同時にここへ入居した。その間に色々なことを忘れたので、ここへ入ったいきさつが分かり難いんだね」「私は何処かに連れて行かれるという意識はあった。劇の中のことかと思ったが現実だったんだ」「時間になった。歌を鳴らしたら電話機を返してきて」「・・・鳴った・・・終わりました」200828c.jpg
(「花の中にガがいる」「何処にカがいる?」「カじゃない、点々があるガ」「あっ、いた。羽に点々があるガ」と、朝から妻との電話のような友との会話。)

沼の向こう側から雲が湧き始め天気下り坂?

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.27)
(アルツハイマー)

沼の向こう側から雲が湧き始め天気下り坂?200827.jpg

埋立地のダイサギが群れて飛び去り、岸近くから出てきたカルガモの後を追うようにカイツブリ。200827a.jpg

葛の葉にアジアイトトンボ。帰宅して図鑑を見たが、最近衰えたイメージの残像時間。複数のイメージを見比べるのが苦手になって分からなくなる。加齢による衰えなのか認知症のサインかと気になる。200827b.jpg


『なぜ記憶がない?』 (2020.8.27)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今日はお休み?」「毎日がお休み」「いいなぁ。寝て起きたら草臥れた。起きてお昼を食べた。自分で作った覚えはない」「自分で作らなくてもご飯は用意してくれるよ」「あなたに会いたいなぁ。あなたは家にいるの? 声を出したら目が覚めた。私には何もやることがない。何で仕事がないの?」「あんたも仕事をやめたから」「あなたは家にいるの?」「家にいる」「私には家がない」「あるよ。今私が住んでいる家。二人で建てた家だ」「何で私は家にいないでここにいるかの記憶がない。なぜ記憶がない?」「アルツハイマーになって、理解したことも時間が経つと忘れちゃうの」「バカになった?」「そうじゃない。話をしている時は理解できるし、色々な判断も出来る。だけど理解したことを直に忘れちゃうだけだ」「あなたも厄介な人の相手をするね」「忘れてもいいよ。私が代わりに憶えているから。いま『認知症でも心は豊かに生きている』って本を読んでいた。書いた人は認知症の専門医で認知症のテストも作った人。その先生自身が認知症になって分かったことを書いている。あんたも考えたり頭に浮かんだことをうまく表現できるから、書いておいたら同じ病気の人への対応に役立つから書いたらとケアマネージャのMさんにすすめられ、あんたは他の人に役立つなら記録してと私に言い、公開してもいいと言った。本を書いた先生と同じような考え方だね」「自分のことを客観的に考えたと思う」「ボランティアでさんきゅう会をやって、支援の必要な人を見たからかな」「頭の何処かに自分の役割だと思うことがあったんだね。それも忘れちゃったけど、私の人生の一ページだね。教師になったとき男社会で同じ仕事をするなら対等に生きたいと思った。実際はそうじゃないから、ここが私の出番だなと瞬間的に分かるような勉強をした気がする」「昔の話をしていたら時間になった。歌を鳴らして、電話機を返してきて」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」200827c.jpg
(気になって、今朝も撮った滝下広場脇のフヨウの花。)

振り下ろした嘴に咥えたのは小魚か

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.26)
(アルツハイマー)

埋立地の浅瀨に舞い降りたダイサギ二羽、振り下ろした嘴に咥えたのは小魚か。200826.jpg

「なに撮ったの?」と散歩のおばさん二人。モニターを覗きそれぞれが「可愛い目」「怖い目」と。200826a.jpg

羽繕いしながら思い出したように鳴くホオジロ。200826b.jpg


『帰ったらどうなる?』 (2020.8.26)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「あなたはどこにいるの?」「高野山の自宅」「直ぐ隣だ」「駐車場の脇を通って広い道に出て右に行って、市役所の先を東に曲がって、手賀沼の傍を通ってAさんの家の前から坂を登ったところ」「言っていることを追い掛けて景色は全部分かるが、自分で言おうとすると何処の所を言っていいのか分からなくなる。何でも自分で出来ると思っていたがもう一人で帰ることは出来なくなって泣くしかない」「迷って泣いたって誰も助けてくれないよ」「アハハ、警察の前に行って泣けば助けてくれる」「そういう手があったか」「あなたは私たちが建てた家にいるのね。私もそうしたい。帰ったらどうなる?」「私が介護しきれなくなってあんたをグループホーム寿に入れて貰った。ここで十分な介護をしてもらっていて、家に帰ったら私は十分な介護ができないからあんたも嫌になっちゃう。もう一度戻りたいと言ったって、一度出てしまったら次の人が入ってもう入れてくれない。途方に暮れちゃうよ」「そういう話し、何処かにあったっで聞いたことがある。ここではやさしく、親切に面倒見てくれるよ。ずっとここのいていいの?」「ずっといていいよ。食事、洗濯、入浴など生活の面倒を見てくれるし、訪問診療に先生も来てくれる」「私には一番いいが、あなたはどうなるの?」「私は一人なら家で生活できる」「あなたも介護が必要になったら私が行って介護してあげる」「ありがとうね。でも二人とも介護が必要な人じゃ共倒れだね」「だったらここへ来たらいい」「私は入る資格がない」「まあ、なるようにしかならないな。子どもたちは元気? 会いたいな」「伝染病が治まったら、家に子どもたちも呼んで一緒に食事をしたり話をして、夕方になったらそれぞれが自分の寝場所に帰る会をしようね」「いつまで待てばいいの」「2年くらいかな」「それまでここで生きるよ」「時間になった。CDを鳴らして、電話機を返してきて」「・・・鳴ったよ。・・・電話終わりました」200826c.jpg
(花の数が増えた市民農園跡のコスモス。)

漁網を干す鉄パイプの上で羽繕いするカワセミ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.25)
(アルツハイマー)

漁網を干す鉄パイプの上で羽繕いするカワセミ。200825.jpg

久々に会ったシベリアンハスキー犬のジャック。お父さんに指示されてカメラに向かってポーズ、撮り終わったらお父さんの股潜りをしてご褒美のおねだり。200825a.jpg

昨日カルガモと一緒にいた遠くのシルエット、今朝近くまで来たら羽に怪我をしたカルガモとマガモの雑種。飛べないが元気。200825b.jpg



『私は何の病気?』 (2020.8.25)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「お昼を食べ終わって歯磨きしたところ。今日は何か勉強のためにここへ派遣されて来ていて、もう帰りたい気持」「何処へ帰るの?」「いつも住んでる寮みたいな所」「ここはグループホーム寿で、あんたは1月からずっとここに住んでいるよ。ここはあんたの部屋でしょ」「私の鏡台があるし、ベッドもある。私の部屋だ」「何で私はここにいるの?」「去年までは私と一緒に自宅で住んでいたが、あんたの体調が悪くなって入院したり病院通いが増えて、私も介護しきれなくなった」「あんたも82だから無理だよ」「あんたが施設に入りたいと言って二人でグループホーム寿を見学して申し込んだ」「それはある程度憶えている」「空きが出来て今年1月からここへ入居したが、その直前に取手の病院に入院していた間に色んなことを忘れてしまった。退院直後にここへ来たので記憶にないんだ」「私は何の病気? 何で直ぐ忘れちゃうの?」「アルツハイマーになったから」「年寄りが大勢なってるね。忘れるから入院したの」「忘れるのはいい、私が代わりに憶えているから。去年から目眩や吐き気や頭がガンガンして苦しかった。依田先生は体質が変わって背中に貼る薬の副作用が出たと疑って貼るのを一時中止し、薬の量を減らすことを試みようとしていたら、膵炎が再発して取手の病院に入院した」「それは少し憶えている」「退院してグループホーム寿に入るとき依田先生や取手の先生から訪問診療の先生に手紙を書いて貰った。訪問診療の先生の処方で膵炎も再発していないし、目眩や吐き気や頭ガンガンの辛いのも治ったね」「治ったよ」「ここにいたら食事、洗濯、入浴等の介護や訪問診療の先生も来てくれて、私には出来ない介護をしてもらっている」「私がここにいる理由がやっと分かった。私がここにいたらあなたも困らなくなるね」「分かってくれたから、歌を鳴らして、電話機を返してこようね」「・・・CDが鳴ったから電話機返してくる・・・終わりました」200825c.jpg
(花を見てふと思い出した30年ほど前の妻との散歩。悪戯っぽく「この花の名前知ってる?」と、友だちに教えて貰ったばかりのヘクソカズラの花を指さした妻。)

ヒメガマの群落から次々飛び立つダイサギ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.24)
(アルツハイマー)

埋立地のヒメガマの群落から次々飛び立つダイサギ、葦の隙間から覗けばまだ残っていたかなりの数。200824.jpg

しばらくぶりにまじまじと眺めたネコの木、なんとなく犬の顔に見えてきた。200824a.jpg

滝下広場に咲いていたフヨウの花。散歩の途中で出会ったEさんご夫婦、立ち話はパッと見てフヨウかムクゲかアオイの花かの見分け方。200824b.jpg


『片倉台団地か、懐かしい』 (2020.8.24)
昨日の妻との面会、玄関前で面会票を記入し、プリントした写真三枚を妻に渡すように頼み、裏の駐車場に着くとポツリポツリと雨。傘を差して待っていたら職員さんに連れられて来た妻、窓を開けて貰う前から私を見付け小躍りするように両手を振っていた。「私、明日帰るよ」「何処へ?」「家へ」「伝染病が流行っていて建物の中での面会も外出も出来ないよ」「テレビを見ていたが、ダメだって言わなかったよ」「東京も大阪も、世界中が大変な状況だ」「世界中も? それじゃダメか・・・」と、何か言っているが傘を打つ雨の音にかき消されて聞こえにくくなるなる。職員さんがジェスチャーで、車に入って、車の中から話すように言っているようだ。車を横付けにして窓を少し開け、写真を一枚撮る間にもたちまちずぶ濡れ。事務所に電話して、電話子機を妻に持たせて貰って話す。「ここは外出禁止だけど、あなたはどうしてる?」「家にいる」「食事の買い物は?」「人に近寄らないように気をつけてセブンイレブンでパンや野菜サラダを買い、夕食は宅配弁当。あとの物はパルシステムや通販で買う」「どうやって?」「パソコンで注文する」「パソコン出来てよかったね。ちゃんと食べることが出来る・・・」「雨の音でよく聞こえない。明日も電話するし、来週も面会に来る。今日はどうしようもないから帰るよ」「すごい雨。早く帰った方がいい。気をつけて帰ってね」と妻。帰宅して妻に写真の説明をしなかったことを思い出し電話、「写真見た?」「見た。私たちの結婚の記念写真、それと子どもたちの写真二枚だね。L、可愛いね」「子どもたちの写真は片倉台団地だよ」「片倉台団地か、懐かしい。3-4-104の前だ」「よく憶えているね」と昔話。どうしても次女のことを思い出しにくくなった妻だから、生まれたばかりの次女Lを妻が抱き、横に長女Aが立っている写真を選んでプリントした。「来週も面会に行くからね」「ありがとうね。今日は感動的だったよ」とはしゃいで言った妻。200824c.jpg200824d.jpg
(雨音にかき消される妻との会話、窓越しに電話でやっと話が出来た。)

散歩の人が来たら一斉に飛び立って桃山公園へ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.23)
(アルツハイマー)

コスモス畑脇の草苅跡にムクドリの群、散歩の人が来たら一斉に飛び立って桃山公園へ。200823.jpg

埋立地の杭に集まったダイサギ、一羽二羽と飛び去って天王台方向へ。200823a.jpg

久々に市民農園跡に戻ってきたホオジロ。200823b.jpg


『もう勤めに行かないの?』 (2020.8.23)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今どこにいるの?」「家にいるよ」「もう勤めに行かないの?」「仕事は20年前で終わった」「そうか、あなたは82だものね。年が経つのは早いよ」「その声、まだベッドに寝転がっている? 起きてベッドに腰掛けて」「寝てた方が楽だもの」「起きると頭がすっきりして目が覚めるよ」「そうか、起きるよ。ラジオの上にハンカチが乗ってるけど何でだろう。眠くて憶えていない。寝ぼけてて、誰か起こしてくれる人がいるのは幸せなことだ。窓の外を見ているとおもしろいよ。午後になって垣根の上に日が当たり始め、垣根の向こうの駐車所でブルーの車に陽が当たってきれいだ。これからだんだん東の方へ影が伸びるよ」「外を見たら目が覚めたね」「駐車場の先へ行くと広い道に出て、坂を下って行くと手賀沼に出るけど、ここからは見えない。市役所の先を東に行って坂を登れば家に行く」「ちゃんと憶えてるね。私はそこに住んでいる」「食事はどうしてる?」「朝はコンビニのパンと野菜サラダにトマトとハムを沿え、玉葱と玉子をチンして半熟の黄身をパンにつけて食べる。それにインスタントの味噌汁とヨーグルト。朝はたくさん食べるよ」「昼は?」「冷凍のレトルト食品中心、夜は宅配弁当に野菜を少し追加」「ちゃんと食べてて安心した。何にも出来なかった人が料理人になったね。私も一緒にそうやって静かに暮らしたい」「あんたも色んなことが出来なくなったし、私もできないことが多くなった。あんたはグループホーム寿にいたら、食事、洗濯、入浴や訪問診療の先生の診察をしてもらっている。二人で生活するのが難しいからあんたはそこに入れて貰った」「あなたも一緒に入れないの?」「私は入る資格がないからダメ」「隣に一緒にいる人がいないと淋しいよ」「明日は面会に行く」「嬉しい」「時間になったから歌を鳴らそう」「電源入れた・・・鳴ったよ」「電話機を返してきたら歌ってね」「分かった。・・・ありがとうございました。終わりました」200823c.jpg

(妻が手賀沼散歩を始めた37年ほど前、ここから見えた我が家の二階の窓。今は前にびっしり立ちはだかる住宅。)

香取神社の杜からから遅い日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.22)
(アルツハイマー)

香取神社の杜からから遅い日の出、出たら直ぐに雲の中へ。200822.jpg

薄日が射し始めた手賀大橋、今朝も来ていたゴムボートの人。200822a.jpg

群れて飛び去ったムクドリ。いつも餌探ししていた辺近くには釣り人のテント。200822b.jpg


『私泣いてる』 (2020.8.22)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「あなた、私泣いてる」「どうして?」「家に帰りたい。ここにいても私の居場所がない。いればみんなに迷惑をかけるだけ」「起きてベッドに腰掛けて」「いま腰掛けた」「今いるところはグループホーム寿だよ」「そうだと思う」「去年は膵炎で入院したり、目眩や吐き気、頭がガンガンして何度も病院に行った。夜に体調不良になっても私一人では病院にも連れて行けず、介護もしきれなくなった。あんたも施設に入りたいと言って、二人で見学に来て申し込んだ」「憶えている。いいところだと思ったが、入れてくれなかった」「空きがなかった。去年12月に空きが出来て、今年1月に入居できた」「家に帰りたい。私のことは自分でやるし、あなたに出来ないことは人に頼めばいい」「あんたも自分で出来ないことが増えたし、私も十分な介護をできなくなって、グループホーム寿に入れて貰ったんだ」「家を見に行くだけでもいい」「3月初め子どもたちやあんたの妹のMさんが来て家で会う計画があったが、伝染病が流行ってグループホーム寿は面会も外出も禁止、子どもたちやMさんも八王子や横浜から来られなくなって、伝染病が治まるまで延期した」「早く治まるといいね」「それまでは私が毎日電話するし、日曜日には面会に行く。あんたは広い部屋の窓の内側、私は駐車場にいて顔を見ながら話が出来る」「そんなの嫌だけどそれでもいい。あんたは誰と暮らしてるの?」「一人で家にいる」「ごめんね、一人にして。私が行ってあげる」「伝染病が治まるまでは外出禁止だし、帰ってきても私は介護できない」「私は自分の気持ちだけでただただ帰りたくなったが、帰るといっぱい問題があるし、ここにいればグループホーム寿で守ってくれることが分かった。泣くのを止めて、子どもたちに会うために生き残る方便を考える」「今度の日曜日も面会に行くね」「待ってる」「時間だ。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った・・・電話終わりました」200822c.jpg
(遠慮がちに開き始めた二日目の花、一つぽつんと蓮田の隅に。)