高台からしばし眺めた曇天の沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.3.31)
(アルツハイマー)

目が覚めたら腰が痛くて立つのも座るのも容易ではない。杖をついて近所の桃山公園に辿り着き、高台からしばし眺めた曇天の沼。200331.jpg

市民農園跡を見下ろせば、まだ咲いている桜の向こうのに咲き始めた菜の花。200331a.jpg

桃の花が咲く公園の広場を、何周もジョギングしていた近所の人。200331b.jpg


『外が大変だってやっと分かったよ』 (2020.3.31)
昨日午後の妻との電話、「もしもし、今どこにいるの?」「家だよ」「家って高野山の家?」「そう」「近いから会いに行きたい」「いまは外に出られないよ」「何があったか分からないがみんな行動を拘束されてるみたい」「コロナウイルスの伝染病が流行っているからだ」「日本中?」「世界中。中国だけじゃなく、アメリカもイタリアもスペインも大変なことになっているよ」「ここから出られないことの脅しかと思っていた。甘く見ていたのは間違い?」「志村けんさんがコロナウイルスで肺炎になって亡くなったとテレビで言っていたよ。あんたがそこにいたら、ウイルスが入って来ないように面会や外出を止めて守ってくれているし、平和台病院の先生が訪問診療に来てくれるから、病院に行って感染する心配もない。薬も薬剤師さんが届けてくれる。最近、目眩や吐き気、頭がガンガンすることや頭の中に仕切板が入ったような不快感もなくなったね」「頭の気持ちが悪いのはなくなって元気になったよ。だからちょっとだけ家に帰りたい」「伝染病が流行っていて外へ出ちゃダメなんだ」「ああそうかぁ。ここは私が入ることになっていたところだよね」「そうだよ。見学して、乗り気になって自分で申込書にサインしたよ」「それは憶えているけど、ここに入った時のことを憶えていないから、ここが同じところだとは分からない」「1月3日から9日まで膵炎再発で入院している間に訳がわからなくなった。退院したときはいろいろなことを忘れてしまい、1月12日にここに入居した時も混乱していた。半月以上経っていろいろ思い出し、会話もはっきりしてきた。ここにいたらバランスのとれた食事が出るし、夜も見回りに来てくれる。体調もずいぶんよくなったよ」「ここは私にとっていい環境なんだね。でも、帰れないのは辛いよ」「伝染病が治まったら外出して家を見に行ったり手賀沼を散歩しようね」「いつまで待つのか分からないけど、生きてるために我慢するよ。外が大変だってやっと分かったよ」「今日も元気な声を聞いて嬉しかった。明日も電話するね」「電話機、どうすればいい?」「事務所に返して」「分かった。電話ありがとうね」と、物わかりのいい妻を演じていたが、明日はまた忘れているだろう。200331c.jpg
(沼へ下りる階段の前に桃の花が咲いたと話したら、「その階段は怖くてもう降りられない。頭の中の散歩ではピョンピョン跳ねて降りているよ」と言った妻)

"高台からしばし眺めた曇天の沼" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント