高台への小径の前方が開けたら白く明るい沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2021.3.1)
(アルツハイマーになった妻)

高台への小径の前方が開けたら白く明るい沼。210301.jpg

風が吹いて波立てば上空の雲を映し白く輝くような水面210301a.jpg

日の出は見られなかったが雲の隙間から光芒。210301b.jpg


『私の大好きな場所』 (2021.3.1)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「どこにいる?」「家」「ここからだと東の方、神社の近くを登った所ね。嬉しくてどこだって言葉が出てこない。頭の中にはちゃんと見えてる。頭の中の言葉がトンチンカンで、分かるように言えない。お父さんに電話をもらうだけになってしまう。ご飯だと言われたらご飯を食べるだけ。今まで自由に動きすぎたかもしれない。静かにしているとどこにいるか分からなくなる。お父さんが来た時に連れて行って貰うしかないと思う。居場所が分からないのは辛いこと、やっきりするよ。私みたいになって、この病気は治るのかもっと悪くなるのか、治らないならお父さんと縁を切って、お父さんは誰かと一緒に暮らした方がいい。治る病気か治らないか知りたい」「人間にとって絶対に治らない病気は歳を取ること。後戻りできない」「生きるってことは死ぬってことね。お父さんはいいことを言う」「いつでも今という時がある。今という時を大事にして、一つずつ積み重ねるのがいい生き方でしょ」「かつて高台から手賀沼を見下ろし、下に降りて手賀沼沿いに歩いた。私の大好きな場所。坂の上の私たちの家は生まれてから一番長く住んだところ。お父さんの声を聞いて色々思い出した。子どもたちが出て行って、私がこうなって、父さんは誰と住んでいる?」「一人で」「私も行きたい」「今はコロナが流行っていて外出も面会も出来ない」「帰れないけど、目をつぶるとその辺の場所が分かる。いちいち場所を言えなくてごめんね。最後を楽しく過ごすことが出来なくなって、お父さんの世話は私がするつもりが逆になった。一人でご飯作って食べてる?」「そう」「かわいそう。ごめんね」「公子と一緒に過ごして楽しいこと、嬉しいことがいっぱいあった」「私にもお父さんとのいい思い出がいっぱいある。段々忘れるのは辛い。人生の最後に神様が思い出を元に戻してくれるかもしれない」「そうだといいね。時間だ。CD鳴らして」「・・・鳴った。電話返してくる」210301c.jpg
(梅の花を眺めているようにムクドリ二羽、コロナも関係なしに仲睦まじく。)