高台に立てば地平線沿い高くまで雲

撮影ノート『手賀沼有情』 (2021.2.14)
(アルツハイマーになった妻)

高台に立てば地平線沿い高くまで雲。210214.jpg

雲の向こうに登る太陽、ときおり漏れてくる雲の隙間からの光。210214a.jpg

やっと雲の上に遅い日の出、出た途端暗転する沼周辺。210214b.jpg


『一人で行くのは怖い』 (2021.2.14)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今どこ?」「家」「ここから東へ行って坂を登った所? 私は惚けたのか色々なことがごちゃごちゃだ。お父さんは近くにいるのね。市役所の裏の方だから坂を登ったところ。地図は頭の中にあるが距離が分からない。土地勘がなくなってどこから登るかに疎くなった。東へ行って坂を登るとお父さんと建てた家がある。一人で行くのは怖い。行く時は迎えに来てね。私は自分の家が分からなくなった。明日は帰る日だと思っていた。私の家はどこ?」「私と公子の二人で作った家」「高いところ。それは了解した」「今住んでいるのはグループホーム寿」「それがここ?」「そう」「窓の外は駐車場。その先の方にお父さんがいる」「私はあんたと二人で建てた家にいる」「高台だね」「そう。家に行く道は、窓の外の駐車場の横を進むと広い道」「広い道?」「右に曲がると手賀沼大橋」「分かった」「手前の信号を左に曲がって東へ行く」「曲がった方向が東?」「そう。少し行くとAさんの家」「Aさんの家から神社の手前を登ったら家。行く見当は付くが、迷うと怖いから外へ出ない」「空想の世界で行くのなら迷っても怖くない。空想をやめれば戻っている」「そうね。あはは、実際に行くのは怖い。一人で行かずに迎えに来てもらう。何で私はここにいるの?」「一昨年まではあんたと私は二人の家に一緒に住んでいた」「家庭を持って二人の子どもを学校に行かせた。私は80、あなたは幾つ?」「82」「80まで生きたのは幸せなこと」「私も年で、あんたの介護を十分には出来なくなった。私の代わりにグループホーム寿であんたの介護してもらっている。あんたも、共倒れになるから施設に入りたいと言った」「お利口だったね公子さん。高台から手賀沼を見て、どこへ行く道か分かる。下に友だちの家」「Aさん?」「そう。Aさんの家も分かる。一つずつは断片的に思い出す。どれだけ歩くか、どこから登るかが分からない」「時間だ。CD鳴らして」「・・・鳴ったから電話返してくる」210214c.jpg

(鳴きながら畑を横切ったヒヨドリ。どこへ行ったか見回せば、ここにいるぞと鳴いてくれたアンテナの上。)