曇天に隙間が出来て広がり始めた手賀沼上空

撮影ノート『手賀沼有情』 (2021.2.6)
(アルツハイマーになった妻)

曇天に隙間が出来て広がり始めた手賀沼上空。210206.jpg

コブハクチョウのペアが沼を渡ってきたら、岸から現れた4羽の子どもたちの父さん。羽半開きの威嚇のポーズで迫り侵入者を追い払う。210206a.jpg

テリトリーを守り飛び戻ってきた父さん。市民農園跡の岸辺に集まって待っていた子どもたちや母さん。210206b.jpg


『子どもはいた?』 (2021.2.6)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「お父さん?」「そう」「懐かしいね。今勤務先はどこ?」「仕事はやめた」「もう自由になったの。いいことがあった?」「退職して20年、自由気ままに写真を撮れた」「私も20年びっしりやったが、それが何だったか分からない。身体の中にあって、それを言わないと心が晴れない。手賀沼の横から坂を登って私たちが作った家まで行くと消えてしまう。何かやり残したことがそこにある。何だか分からなくて悩んでいる」「近隣センターとかお茶のこと?」「近隣センターはもう行かないしお茶はやめた。私たちの間に子どもはいた?」「二人」「子どものことは何も頭の中にない。あなたと暮らした記憶はあるが、そこでの記憶はない」「何を憶えている?」「小学校の辺りで下から来た人が私を捕まえ、私が何も出来ないのでここへ入れた。何でという思いがある」「私たちは横浜の片倉台団地から我孫子の高野山に引っ越してきて家を建てた」「神社の横から坂を登った所?」「そう」「手賀沼の見えるところ?」「そう。そこへ家を建て、あんたと私、二人の子どもが住んだ」「小さい二人の姿がない。どうしたという思いがある」「それがいつも頭に残っていて悩んでいたことかな」「いついなくなった?」「二人とも結婚して家を出た。Aは八王子にいて、大学生の娘がいる。Lは横浜にいて今度大学に入る長男と中学生の次男がいる」「二人で建てた家まで来ると子どものことが消える。何でかと思った。結婚したのかな、死んだのかなと思った」「二人とも元気だ」「新横浜からバスに乗って、降りたら左に行くと私たちの家があった」「横浜の片倉台団地だね」「もう一つは神社の横から坂を登った所に建てた家。二つは遠いが、片倉台団地と岩滑は近い」「神奈川県と静岡県で離れているよ。そうだ、我孫子に来たら故郷が遠くなったと言っていたね」「なんで私はここにいる?」「時間になった。明日続きを話そうね。CD鳴らして」「・・・鳴ったから電話返してくる」210206c.jpg
(残り少なくなったセンダンの実を、枝から枝へ飛び移って啄むツグミ。)