風に波立つ沼は暗く、上空は雲一つない快晴

撮影ノート『手賀沼有情』 (2021.1.30)
(アルツハイマーになった妻)

風に波立つ沼は暗く、上空は雲一つない快晴。対岸の地平線沿いに旋回する成田着便の灯が四機ほど。210130.jpg

日の出とともにセンダンの木の飛来したツグミ数羽、ヒヨドリが食べ残した細い枝先の実を啄む。210130a.jpg

快晴の空を染めて日の出、波立つ沼は暗いブルー。210130b.jpg


『死ぬ人は悲しまない』 (2021.1.30)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「仕事はお休み?」「家にいるよ」「仕事はもうやめたのね」「20年も前に」「それじゃ80?」「82」「私もずっと後をついて来ている」「あんたは80」「坂の上の家辺りの当番のことがうまくいかないと電話があった」「あんたの部屋には電話はないよ」「じゃぁ夢か。夢だね。嫌だよう、早く退職してこれは終わりにしたい」「何を終わりにする?」「もうOBだから電話しないでって言ったら?」「夢なら勝手に見るから止めようがない」「そうか、忙しかったのは空想の中か。夢の中で電話しても実際は誰の所にも掛からないね。夢の中で坂の上の方へ行ってお父さんに会って、お父さんから電話があるから早く帰らなきゃと言った。トンチンカンでおかしいね。あの世へ行く寸前だからかな」「誰だって夢の中ではトンチンカンことばかりだ」「惚けたらもう人間じゃない?」「人間だよ。生きてるから」「夢の話しをするのは笑い話だね」「若い頃、私が夢で見た話をしたら、あんたは夢を見たことがないと言っていた」「そのこと憶えてる」「それなのにこの頃はよく夢を見るね」「トンチンカンなことばかり言う惚けになったらもう死んだっていい」「嫌だよ。死んだら話が出来なくなる」「死んだら宇宙の中で話しをするか、知ってる人の所に飛んでって話しをする。先に死ぬから後から来てねと言ってもおかしくない歳になった。トンチンカンなことを言うのは死にかかっているから。そういう人がいっぱいいる。私なんか存分生きてもういいと言いながらトンチンカンなことを言って生きてる。夢の中で誰かと話したり出歩くのは、実際には出歩けないから。一方の相手が死んだら、悲しむ人はまだ生きている。死ぬ人は悲しまない。それは自分のために自然にそうなって、一人だけで死んで行く。いまは夢を見るが、死んだらずっと眠って夢は見ない」「ずいぶん長い話しで時間になった。CD鳴らして電話機を返してきて」「・・・鳴ったから返してくる」210130c.jpg
(妻の散歩コースだった道を遠回り、前方にまだ残っていたまん丸な月。)

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