振り返れば霧に霞む住宅の上に月

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.10.2)
(アルツハイマー)

桃山公園の高台に立ったが沼どころか直ぐ下の市民農園跡さえ見えない濃霧。振り返れば霧に霞む住宅の上に月。201002.jpg

流れる霧が薄くなったら現れた対岸の鉄塔。スカイツリーの灯か水神山古墳の斜面脇に。201002a.jpg

水生植物園跡を通過する霧の塊、ケヤキの木の根元は霧に見え隠れ。201002b.jpg


『Aさんって誰?』 (2020.10.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「公子です。泣きべそをかいている。今どこにいる?」「高野山の家」「どこ?」「Aさんの家の前から坂を上ったところ」「Aさんって誰?」「あんたと一緒に近隣センターこもれび設立に尽力したり、一緒に香港や天津に旅行した人」「じゃあ一番近しい人じゃない。私、頭がバカになってて思い出せない。この狭い部屋から外は分からない」「窓の外に駐車場があるね」「ある」「その先に進んで広い道を市役所の方に行き、手賀沼の手前から東へ行く。Aさんの家の前から坂を上った所に住んでいる」「私たちが建てた家の近く?」「二人で建てた家。去年まで二人で一緒に住んでいた」「えっ、私たち結婚してたの? ご苦労様だねえ。家の前を通り過ぎて左に行くと新しい小学校が出来た」「高野山小学校だね。我孫子に来たころ、プレハブの仮校舎を建て、新校舎に建て替えていた。もう35年以上も前」「私の頭からその後が抜けている」「私の転勤で、横浜の片倉台団地から我孫子に引っ越すので、高野山に土地を買って家を建てた」「片倉台団地のことは思い出した。家を建てたのは手賀沼側から神社の近くの坂を上った所。何回思い出そうとしてもごちゃごちゃ。部屋の中と窓の外を見て自分がどこにいるか自覚した。鏡台は古くなって壊れ、テープで止めてある」「私があんたの夫だって分かる?」「数日前に思い出した気がする」「昼寝した後は忘れちゃうね」「鏡台も、ベッドもある。私はいつまでここにいられる?」「いつまでいてもいい」「鏡台の引き出しに外国の写真アルバムがある」「あんたと、妹三人のヨーロッパ旅行だね」「最後の方に凱旋門がある」「パリだね」「船で瀬戸内海を渡るのがある」「ライン川でしょ」「写真があると思い出す。お茶もやった。身につく財産だから惚けても体が覚えている。ここでもお茶を点てた」「目が覚めたね」「嬉しい。思い出した。もう電話機返さなきゃ」「CDを鳴らしてから返して」「・・・鳴った・・・電話終わりました」201002c.jpg

(霧に消えた岡発戸の丘、ときおり微かに見える滝前の住宅地。霧の中に湧き出るように日の出。)