小雨に煙り泣いているような沼の夜明け

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.14)
(アルツハイマー)

小雨に煙り泣いているような沼の夜明け。200914.jpg

埋立地から飛び立って旋回するダイサギ、まっすぐ飛んだ仲間たちはゴミのようにもっとひどいブレブレ。200914a.jpg

雨に濡れまだ咲いていたブットレアの花。200914b.jpg


『この子どもは誰?』 (2020.9.14)
玄関先で面会票記入、妻に渡すものを入れた袋を職員さんに手渡す。裏の駐車場で待っていたら職員さんと一緒に窓側に来た妻、「この手紙は?」「この間電話で読んであげた神戸のYさんからの手紙」「中学、高校、大学と一緒だった人。後でゆっくり見る」「返事用の便せんを頼まれたから、袋に入れてあるよ」「私が頼んだ?」「頼まれた」「この子どもは誰?」「子どものころのAとL、岩滑の玄関前で撮った」「私の生まれた家に行きたい。この家まだある?」「建て替えて新しい家になった。もう代替わりしてT君夫婦しかいない」「お父さんさん、お母さんは死んだ?」「お父さんは28年前、お母さんは20年前に亡くなった」「お姉さんは?」「お姉さん夫婦も亡くなった」「浜岡のお姉さんは?」「介護付きの老人ホームに入っていて元気」「西之谷のお姉さんは?」「元気」「妹たちは?」「三人とも元気」「この子どもは誰の子?」「あんたが産んだうちの子」「なんで岩滑にいる?」「会社が休みの時、岩滑と浜岡に行った」「頭の中がごちゃごちゃして何処が何処だか分からない。こっちの写真は私たちの家の前?」「そう。去年の正月の写真だ」「一番右は私みたい。コートは私のものだもの。私の横は?」「Lだよ」「背が高いんだね」「そうね」「一番左がA?」「そう」「前の人は?」「Aたちの娘のAだよ。もう大学生」「その後ろは?」「Aの夫のM」「分からない。見たことのない人が入ってるとごちゃごちゃしちゃう。家に帰りたい」「伝染病が流行っていて外出できない。治まったら家を見に行って、子どもたちも呼んで一緒に過ごし、夕方になったらここに戻ることが出来るようになる」「それまで頑張る。なんで私はここにいる?」「私があんたの介護を出来なくなって、グループホーム寿にあんたの介護をお願いしたから」「ここはいいところだよ。みんな親切でやさしい」「今日は帰るけど、また来週面会に来るね」と、車に乗り込むと職員さんと一緒に手を振っていた妻。今日は直ぐに泣き出し、ついに笑顔が出なかった日。200914c.jpg200914d.jpg
(泣くのを堪えた顔で手を振って、窓越しに見送ってくれた妻。)