風の通り道は波立ち上空を映してブルー

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.9.13)
(アルツハイマー)

地平線の空を染めて晴天の夜明け、風の通り道は波立ち上空を映してブルー。200913.jpg

市民農園跡前の埋立地にダイサギやチュウサギ、何に驚いたのか一斉に飛び立つ。200913a.jpg

首を伸ばして水面を見詰め、さっと振り下ろしたダイサギの嘴。頭を上げれば咥えていた小魚、咥え直し飲み込んだ一瞬の早業。200913b.jpg


『私は明日帰るの?』 (2020.9.13)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「久しぶりだね」「昨日電話した」「そうか、頭がふわんふわんしている」「眠ってた?」「いま起こされた。私は明日帰るの?」「何処へ帰るの?」「今ままでいたところ」「今どこにいるの?」「二日くらい前に来たところ」「1月からずっとそこにいるよ。そこはあんたの部屋でしょ。ベッドの上に寝転がって半分眠ってるな、起きてベッドに腰掛けて。起きないと目が覚めない」「起きてベッドに腰掛けた」「目が覚めた?」「ちょっと覚めた。窓の前にAとLが運んできてくれた鏡台がある。窓の外に駐車場がある。前にもここにいた気がする」「ずっといたよ。空想であっちこっちに出掛け、空想から覚めると戻ってきた気がするんだ」「大きな声で、こんなとこ嫌だと叫びたい」「やめてよ」「ここはよその家だからしないよ」「テーブルの上にラジオがある。岩滑のネコかな、可愛い子が二匹いる」「あんたが可愛がっていたみるとももだよ」「何処で?」「高野山の自宅で」「明日か明後日帰るの?」「帰らない。明日は私が面会に行く」「この部屋に来るの?」「建物には入らない」「駐車場に来て、私は窓から見るの? そんなの嫌だ」「伝染病が流行っているから、入居者が感染しないよう建物の中での面会と外出は禁止されている」「窓の外の駐車場の向こうに行くと市役所の方へ行く広い道、その先を東に行ってAさんの家の前から坂を登ると家。私とあなたが一緒に暮らした家?」「そう。横浜から引っ越してきたときはAとLがいて4人暮らし、子どもたちが独立してから二人で住んでいた」「早く来て、会いたいよ」「明日面会に行く」「窓から見るだけでもいいから来て」「明日行くよ。もう時間だ。まだ言いたいことがある?」「あるようなないような、言っても仕方ないことばかりだ」「CD鳴らしてから電話機を返してきて」「自分一人でも時々鳴らして聞くよ。・・・鳴った。~春を愛する人は~」「電話機返してきてから歌って」「分かった・・・電話終わりました」200913c.jpg
(遊歩道の片側に群れて咲いたキクイモの花。)