東我孫子の丘の上、薄雲の中に登る日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.4)
(アルツハイマー)

東我孫子の丘の上、薄雲の中に登る日の出。200804.jpg

ジャブジャブ池の水溜まりに今朝も来ていたハクセキレイ。200804a.jpg

獲物を咥えて左右に振り回すムクドリ、地面において咥え直したらまた振り回す。200804b.jpg


『失敗の巻きだよ』 (2020.8.4)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「あのねぇ、お昼食べて部屋に戻って窓を開け、暑い空気を外へ出したつもりだったのに窓は閉まっていた。開けずにぼーっとしてベッドの上で大の字になっていた。失敗の巻きだよ」「クーラーは?」「入れてあった」「だったら窓は閉めてあった方がいい」「窓から西日が入ってしまう」「窓は東向きだから西日は入らないよ」「またまた失敗の巻きだ。まだ西日は赤い垣根の上に射しているから間違えた。あなたは元気?」「元気だよ」「何処へ行って来た?」「依田内科」「何を診て貰った?」「心臓のエコー検査、徳永先生から心臓の人工弁の脇から少し血液が漏れているが人工弁の音はいいから大丈夫だって説明があった。その後に依田先生の診察、薬局で薬を貰って帰ってきてあんたに電話している」「お昼ご飯食べてないじゃないの」「電話終わったら食べるよ」「何処の病院に行った」「依田内科、いま話していたじゃない」「ご飯のことが気になったら忘れた。失敗の巻きばかりだ。大事にしていたフクロウの写真が何処かに行ってあっちこっち探したら、ちゃんと仕舞ってあった。出てきて嬉しかったからいま手に持ってる」「昨日面会のとき持っていった写真だね」「いやだ、昨日会ったの? 忘れてた。眠った後惚けていた。恥ずかしくて死にそう。でも死ぬほどのことじゃないね。ここへ戻って寝たのが悪かった。いま私が見ているのは西?」「東」「じゃぁ駐車場の先の道に出て右へ下ると市役所の前、その先を東に行って坂を登ると家。早く家に帰ってきてよ」「私は家にいるよ」「そうか、早く会いたいと思って損した。幾つものことがあるとこんがらがっちゃう。あなたは一つ一つよく憶えているね、私は一つ一つ忘れちゃう。アハハ。もう80だものね」「もう時間だ。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「あなたと話していると嬉しい。・・・鳴ったから行ってくる。電話ありがとうね。・・・今村です。終わりました」200804c.jpg
(こっちこっちと呼んでいるように、ゆっくりと開き始めた藕糸蓮の花。)

朝日を浴びて輝く手賀大橋、暑くなりそうな空

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.3)
(アルツハイマー)

朝日を浴びて輝く手賀大橋、暑くなりそうな空。200803.jpg

ジャブジャブ池のたまり水にハクセキレイ親子。200803a.jpg

開き始めた二日目の藕糸蓮の花。200803b.jpg


『子どもたちはどうした?』 (2020.8.3)
昨日朝の面会予約時間少し前、グループホーム寿に着くとOさんが出てきて面会票記入、プリントしたフクロウの写真を妻に渡すように頼んだ。いつぞや妻と話して、まだ子育て中の頃に自宅前の林で毎夜フクロウが鳴いたことを思い出した。妻の残り少ない記憶を大事にしてやりたくて、Facebook友だちHisaaki Ugaさんから写真を頂いて持参した。面会場所に現れた妻の手にはフクロウの写真、「これ、どうしたの?」「昔、夜になるとフクロウが鳴いたのを憶えてる?」「・・・」「子どもたちが小さい頃椎茸山で毎晩鳴いていた」「林が無くなっていなくなったのが生きてたの?」「それとは別のフクロウだけど。僕は撮れなかったから頂いたの」と話すうちに昔のことを思い出したらしく、「子どもたちはどうしてる?」「元気だけど、伝染病が流行っているから会社には行かず家で仕事をしている」「そう、そういうことを聞くと涙が出ちゃう。私だけに面会が来ると他の人が羨ましく思って悪いから早くおしまいにしよう」「来たばかりだよ。元気そうになったね」「前は元気じゃ無かった?」「去年は膵炎で入院したり、目眩や吐き気や頭がガンガンして辛かった。ここに来て訪問診療の先生に診て貰ってから元気になったね」「そうか、ここはいいところだ。私の好きなのはあっち」と駐車場脇の小屋を指さす。「階段があって下りられる」「その向こうは子の神大黒天、そこから下りるとカスミや夢庵がある。もっと行くと手賀沼」「外出解禁になったら連れてってね」「伝染病が治まったら散歩に行こう。明日また電話するね」「来てくれてありがとう」と泣き顔になって、フクロウの写真を椅子の上に置いて手を振った。帰宅後、妻の友Aさんから電話。妻へ手紙を届けに行ったら職員さんは誰も出てこず、奧から妻が出てきてびっくりし距離をとって後退りすると、後から出てきた係の人に「私の友だち」と嬉しそうにAさんを紹介した。「ご主人面会に来た?」と訊ねたら私との面会はもう忘れた様子だったと。200803c.jpg
(笑顔だった妻に見送られて、振り返れば泣き顔だった妻。)200803d.jpg

やっと梅雨明け、久々に目映い日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.2)
(アルツハイマー)

やっと梅雨明け、久々に目映い日の出。200802.jpg

朽ち板を取り替えてきれいになったベンチ。帰り道ケヤキの木を眺めたら、早速座っていた散歩の人。200802a.jpg

ちょっとずつ蕾の頭が開き始めた藕糸蓮。200802b.jpg


『しばらくぶりでした』 (2020.8.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「しばらくぶりでした。あれ、おかしい? いつ別れた?」「昨日電話したよ」「そういうこと、みんな飛んでっちゃう。今のことしか頭の中にないからだね」「今は何が頭の中にある?」「窓の外には陽が当たっている。垣根の上の葉が赤く輝いてきれい。その向こうには運動場のようなところ」「駐車場でしょ」「そう、車で来る人や出て行く人はどこへ行くのだろうか見ている。冬になると葉が落ちてもっとよく見えるよね。外を見ているのは本当にいい。ベッドに寝て天井を見ているのはつまらない。廊下に出て左に行くと・・・外へ出られる?」「左に行くと食堂。さっきお昼を食べたところ」「食堂から戻ると右側に私の部屋、部屋から出て右へ行くと外へ出られる? ちょっと見てくる」とドアを開ける音。「もしもし、おーい」と言っても返事がない。妻に話し掛ける職員さんの声、「外へ出るのはどっち?」と妻。「電話代わりました」と職員さん。「外への出口を見に行ったらしく戻りません」「いま部屋へお送りします」と聞こえて電話が切れた。事務所を呼ぶと固定電話機につながり、再度掛け直して、子機を持つ妻につながった。「何処から出られるか見に行っただけ。何処にも行かないから心配しないで。駐車場に来る人はどこから来るのかな。上の葉が赤い垣根は何処まで続いているかな、その向こうはどうなっている?」「その向こうはグループホーム寿の駐車場」「嬉しいね、こういう時にあなたと話しできて」「明日面会に行くよ。あんたは大きい部屋の窓の内側、私は駐車場にいて面会」「そんな面会は嫌」「じゃあ止める?」「いやだ、来て、来て」「じゃあ来る」「よかったよう、明日会いに来てくれるのは嬉しい。泣けて涙が出て来たからもう電話終わりにしよう」「歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・ラジオが鳴った」「CDを押してから矢印を押して」「鳴った」「明日行くからね」「明日は明日の風が吹く。・・・電話終わりました」200802c.jpg
(しばらく会わない間に言葉を忘れたか、囀り方が変わったホオジロ。)

ポツリポツリ雨の中、雲間に瞬時の日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.8.1)
(アルツハイマー)

ポツリポツリ雨の中、雲間に瞬時の日の出。200801.jpg

市民農園跡より後から発芽したのに、花の数が多い農家の田んぼのコスモス。200801a.jpg

着飾って艶やかに熟女の舞、明日は散り始める老女の舞と知ってか藕糸蓮の花。200801b.jpg


『しっちゃかめっちゃか』 (2020.8.1)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「昼寝し始めたらダーリンから電話ですって起こされた。元気のない声だけど大丈夫?」「元気だよ」「しっちゃかめっちゃかで疲れちゃった」「何があったの?」「あのねぇ、えーと、眠ったから分からなくなった。私はあなたに会いに行った」「あんたはグループホーム寿にいて、外出は出来ないから夢だよ」「大変なことになっていることをあなたに伝えに行った。市役所の方へ行って手賀沼から坂を登って家に行ったがあなたはいなかった。家の前から中学の方へあなたを探しに行ったが、それ以外は憶えていない」「誰だって夢から目が覚めると、直ぐに忘れて思い出せなくなる」「お昼の後はねやねやしていたが、昼寝したいから部屋に帰って寝た。今日はてんてこ舞いして疲れたから」「何がそんなに忙しいの?」「文化祭があるから」「何処で?」「ここで、あれ・・・ちょっと待って、外を見てくる。・・・いつもの通りの景色だった。垣根の上の方が赤くて、駐車場がある」「何処からその駐車場の先まで行った?」「屋根の下の廊下を通って別の建物を抜けて行った」「ここには建物は一つしかないよ」「おかしいな。家に行ったらあなたがいないから中学の方に探しに行った。いたと思って近寄って顔を見るとあなたじゃなかった。この坂を登るとあなたがいるかと思って登ったら崖が崩れていて、そこを抜けたら知らないところへ行った」「お昼を食べて部屋で眠ったら、電話だって起こされて夢の続きを空想をしたんじゃない」「ああ、そうか。夢か、やっと分かった。ここは自分の部屋、外へは行けない現実問題があるとやっと分かった。あなたを探し、見付けたと思ったら別の人、かわいそうだと思ってよ」「次ぎの日曜日に面会に行く。あんたは大きな部屋の窓の内側、私は駐車場にいて面会できる」「その景色、思い出したよ」「もう歌を鳴らして」「ランプは点いてる。・・・矢印を押したら鳴った」「電話機を返してきて」「電話ありがとうね。・・・終わりました」200801c.jpg
(市民農園跡の木の天辺でひと声鳴て、こっちに来いと誘うのか桃山公園目指して飛び去った。後を追えばいつもの枯れ木で鳴いていたヒヨドリ。空想の中で好き勝手に徘徊する妻のように。)