6時ころは小雨だと我孫子の天気予報

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.31)
(アルツハイマー)

6時ころは小雨だと我孫子の天気予報、降って来そうは空模様。200731.jpg

キツネノカミソリが気になって、覗きに立ち寄った木立の下。200731a.jpg

まだしばらくは咲きそうな藕糸蓮の花。200731b.jpg


『電気が点くのは何?』 (2020.7.31)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「びっくりした」「どうして?」「昼ご飯の後に眠って、目が覚めて窓を開けた。ベッドをきれいにしたり靴を履いたりして、何をしていたか憶えているが、言葉が出てこない。電気が点くのは何?」「CDラジオ?」「違う」「電気スタンド?」「それそれ、スイッチを入れても点かないの。今は昼だから困らない」「コードはコンセントにつながっている?」「引っ張ったら線はベッドの下の方に入っている。ラジオの電気を入れたら鳴った。悪いのはスタンドだけだ」「もしもし」「故郷の歌が始まった。~兎追いしかの山・・」「もしもし。お~い」「~・・・忘れがたき故郷~ 歌詞はちゃんと憶えているよ」「もしもし、お~い」「外の景色を見ながら歌ってる。あれ、あなたどうした?。声が聞こえないと思ったら電話機置いてあった」「呼んでも気がつかないから歌を聴いていた」「あはは。自分でも訳のわからないことをしている。自分が嫌になっちゃう。一人で歌っていると歌が聞こえるから部屋に入ってくる人がいる。一緒に歌いませんかというと歌う人もいる」「電気スタンドはどうなった?」「夜は天井の灯りが点くから困らない」「職員さんに見て貰ったら?」「廊下の突き当たりの事務所に行って分からないことを聞くと親切に教えてくれるよ。余分なことは言わずに帰ってくるが嬉しいよ。あなたが来たとき電気スタンドを見て」「今は中へ入れないからダメ」「伝染病で来られる状態じゃないのか。自分の部屋にいる限り外は見えるし困ることはない」「歌ってると楽しい?」「歌ってると自分の世界にいるし、歌詞を見なくたって歌える。私のいい相手だよ。歌うとき床に脚を伸ばして膝にCDラジオを乗せて歌うよ。泣かないで自分のことだけやっている。あれ、涙が出てきちゃった」「時間だから電話機を返してきて。電気スタンドを見て貰うから職員さんに代わって」「・・・済みません、代わってって」と職員さんに代わり調べて貰ったらコンセントが外れていた。200731c.jpg
(お化粧に熱中しぎてバランスを崩したヒヨドリ、あわてて羽ばたきまたお化粧。)

散歩する人の姿が見えないケヤキの周り

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.30)
(アルツハイマー)

散歩する人の姿が見えないケヤキの周り。藤棚の下にも遊歩道にも、対岸の自転車道にも。200730.jpg

いつもの枯れ木にヒヨドリ。パッと逃げたら入れ替わりにハシブトガラス。200730a.jpg

公園の広場に数羽しか来ていなかったムクドリ、伸びた芝生の上を闊歩して餌探し。200730b.jpg

『私はもう治ったの?』 (2020.7.30)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「元気な声で嬉しい。治って会えるようになったらいいなと思う。よくなったと思うが、どういう状態か病院で診察してもらいたい」「グループホーム寿にいれば、訪問診療の先生が来て診てくれる」「誰を?」「あんたを」「知らない」「毎月平和台病院の先生が来て診察してくれている」「私はもう治った?」「グループホーム寿に入る前は、目眩や吐き気、頭がガンガンしたり、膵炎になって入院もした。そこに入って、辛かった症状はなくなって、膵炎も再発していない」「私はどうすればいい?」「毎月先生と看護師さんが来て診察し薬をくれる。グループホーム寿に入るとき、依田先生とJAとりで総合医療センターの先生から手紙を貰って平和台病院に渡し、訪問診療の契約を結んだ。だからあんたは何もしなくてもいい。薬を変えたり調整してくれてよくなった。自分でもよくなったと思うでしょ」「よくなったと思う」「また再発しないようにちゃんと診てくれている」「どうして分かる」「診療明細書が送られてくるからそれを見ている。薬が変わったのもそれで分かった。食事の後で薬を飲んでいるでしょ」「分からない」「グループホーム寿にいると、食事や洗濯だけでなく、薬を忘れず飲むこともちゃんと見てくれている」「よくなったら家に戻って一緒に暮らせる?」「一緒に住んでも、私が年をとってそこで面倒見てくれるよな介護は出来ない」「自分で昔のように出来たらいい?」「80の人が70の時と同じように何でも出来るようになる?」「そんなの無理だ」「伝染病が治まったら、時々家に来て昼間を過ごし夕方にはそこに戻ることは出来る」「いつ」「伝染病相手だから分からない」「分かった、分かったけど悲しいよ」「毎週予約して面会に行くよ」「窓の外とででしょ」「それでいいとして」「みんなで守ってくれるのは分かる。家に戻れるまで頑張る。涙でいっぱいだよ」「歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った。 ・・・ごめん下さい。終わりました」200730c.jpg
(帰ろうとすれば、見送りに戻って来てくれたのかヒヨドリ。ゼロポイントの出口で鳴いて引き留める。)

今朝もまたいつまでも暗い曇天の空

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.29)
(アルツハイマー)

今朝もまたいつまでも暗い曇天の空、こっちは撮らないのかと頭上で鳴くヒヨドリ。200729.jpg

木立の陰にひっそりと咲くキツネのカミソリ。200729a.jpg

数羽ずつ飛来して、埋立地の杭に集まったダイサギ十数羽。200729b.jpg


『今日は何日?』 (2020.7.29)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「時々部屋を覗いて話しをする人が電話機を持ってきてくれた」「事務所にいるOさんだね」「私と話す前にあなたと色々話しをするの?」「いつもは挨拶だけ、たまに提出する書類について話すことはあるよ」「あなたをよく知っている人かと思った。電話機を渡すときあなたのことをダーリンって言って笑わせるもの。今日は何日?」「7月28日」「えっ、7月?」「何月かと思ったの?」「ノート挟んであった紙は2月13日、別の紙には6月22日、グループホーム寿に泊まるって書いてあるが何のことか分からない。その紙に、化粧水、洗濯物って私の字で書いてある」「もう一ヶ月以上前のものだね。古いメモを見て今日のことだと思ったの?」「私はその時その時が楽しければいいの。あなたは午前中に何した?」「昨夜急にテレビの電源が入らなくなった。KSデンキで聞いたら8年以上前のものは部品がなくて修理できないこともあると言われ、新しいものの値引きをしてもらったが、在庫を運ぶトラックがなくて納入は8月12日過ぎになると言われた。買うのは止めて、あんたのベッド脇にあった小さいテレビを一階に運んで入れ替えた」「使わなくなったテレビがあってよかったね。あなたはどこから電話してる?」「自宅?」「自宅って東我孫子の方?」「近隣センターこもれびじゃないよ。Aさんの家の前から坂を登ったところ」「表に車を置くところがある私たちの家?」「そう」「窓の外を見ると垣根の向こうは駐車場、あなたの友だちの家の前を通り過ぎると広い道。坂を下って市役所の先で東へ行って、Aさんの家の前から坂を登ったところ。目を瞑ると景色はちゃんと憶えてる。部分部分は思い出すが広い範囲になると分からなくなる」「もう時間だ。また明日も電話するね。CDを鳴らしてから電話機を返してきて」、鳴りだしたら歌いながら部屋を出る音。「あれ、何処だろう?」と戸惑う様子。Oさんの声がして「代わりました。玄関へ出ようとしてました」200729c.jpg
(誰か来ないかとお化粧して待っていたのか藕糸蓮の花、誰もいない農家の野菜売り場の脇に。)

霧に霞むネコの木、微かに見える対岸

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.28)
(アルツハイマー)

霧に霞むネコの木、微かに見える対岸。200728.jpg

沼を見下ろす高台に愛宕大権現の碑。200728a.jpg

公園の広場に戻ってきた常連のムクドリたち。200728b.jpg


『やっと目が覚めた』 (2020.7.28)
昨日午後、Oさんに起こされて電話に出た妻、「もしもし」「は~い」「私のお父さんじゃないけどお父さんだ。午前中忙しくて、昼ご飯食べたが眠い。配って回る活動に参加していて、みんなのいるところ行こうとしていた。お父さんから電話があって、疲れているからベッドに寝そべっている」「起きてベッドに腰掛けないと眠っちゃうよ」「眠ることはないと思う。自分が誰だか分からずに人に合わせて話してる」「何言ってるか分からないよ」「呼び出しがあって、迎えに行きましょうとか、お供しましょうと言われて一緒に行く。自分が誰だか分からないが、今村さんですねと言われるとそうですって言える。今どこにいるか分からない。城東中か佐束か何処に呼び出されるか分からない。岩滑の公民館の方へ歩こうとしたが、どう指図されるか分からない」「掛川の田舎にいるの? 夢見てるんだ」「あれ、窓の外は駐車場だ。あなたは直ぐ近くで電話してるんだ。市役所の先にいるから行こうと思う」「あんたがいるのはグループホーム寿、伝染病が流行っているから外出できないよ」「あっ、伝染病でダメだったんだ」「外の人は誰も入ってこない。誰かに指図されるって夢なんだ。頭に浮かんできた空想なんだ」「やっと目が覚めた」「城東中へ行くっておかしいでしょ」「おかしいと思う」「頭に何かの活動が浮かんで、それをやらなくちゃと思ったんだね」「今日はダメだけど、明日は家に帰る?」「帰れない。二人一緒に住むと私じゃ十分にあんたを介護できなくなった。代わりにグループホーム寿にあんたの世話をしてもらっている。伝染病が治まったら外出して家に行き、夕方にここに戻ることは出来るようになるよ」「現実問題としてここでやって貰っていることに乗っかって、あなたは時々会いに来てくれる。伝染病がなくなったらちょっとだけ帰る。それまで生き抜きましょう」「そうだね。時間になった。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」200728c.jpg
(頭上でヒヨドリの鳴き声、見上げれば4日ぶりに戻ってきた枯れ木の天辺。)

たった一羽コブハクチョウが漁協前に

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.27)
(アルツハイマー)

沼に鳥がいない朝、たった一羽コブハクチョウが漁協前に。200727.jpg

船取線の下を潜れば壁面いっぱい、我孫子の鳥のオオバンのイラスト。200727a.jpg

我孫子高校の正門脇、隙間から覗いていたアサガオの花。200727b.jpg


『写真撮るならいい顔する』 (2020.7.27)
早朝の撮影時にはザアザア降りで、午後からの妻との面会が心配になった昨日朝。Facebook友だちの投稿を見たら青空だった国立西洋美術館上空。外を覗けばいつの間にか我孫子にも日差し。面会予約時間の5分前にはグループホーム寿の裏の駐車場着。間もなくSさんに連れられて窓際に近寄って来た妻。窓ガラスの向こうで私を見付け両手を振って小躍り、Sさんが網戸の前のカーテンを開けるのも待ちきれず窓際の椅子に座る。写真を撮ろうとしたが、窓枠の手摺りが邪魔だし、網戸の網も邪魔。「写真撮る間立ち上がって網戸を開けて」と頼み、3m以上の間をとる。「写真撮るならいい顔する」とすまし顔、おかしさがこみ上げてきたのか笑い出す。「あなたどこから来た?」「高野山の自宅」「何処だった?」「Aさんの家の前を通って坂を登ったところ」「私たちが建てた家?」「そう」「ちゃんと思い出せるよ。会いに来てくれて、今日は仕事に行かないの?」「20年前に退職したよ」「じゃぁ毎日が日曜日で写真を撮ってるだけ?」「家に一人で住んでるから、食事や洗濯や掃除は全部自分でやってるよ」「そうか、私がいないから全部自分でか。私がいなくてごめんね。私がよくなったら家に帰れる?」「ここへ入居した時は退院したばかりで色んなことを忘れていたが、ここに来てから見違えるように元気になったね。伝染病さえ治まったら、時々家に行って夕方にはここに戻ることは出来るよ」「いつになるか分からないね。私がここに来た頃、そこの小屋の横から下へ下りられた。一人ではダメだけど、玄関から出てその下の道を通ってバス停のベンチに腰掛けた」「面会や外出が解禁になったら一緒に散歩しようね」「雨が降って来た。私の顔に当たった。また来てくれる?」「来週の日曜日は午前中に来る。今日は帰るけど、明日は電話する」「来てくれてありがとう」と手を振ってサッサと奥へ戻った妻。玄関で面会票を記入、次次回の予約をして帰る。また雨が降って来た。200727c.jpg
(「もう帰る」と言ったら笑顔がだんだん泣き顔に。)200727d.jpg

雨に濡れ堂堂と立つ水生植物園跡のケヤキの木

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.26)
(アルツハイマー)

小降りになって高台に向かえばまたザアザア降り、雨に濡れ堂堂と立つ水生植物園跡のケヤキの木。200726.jpg

鳥のいない公園の広場。マユミの実を撮っていたら、雨宿りに来たのかハシボソガラスが一羽。200726a.jpg

親水広場に向かえば、伸びた芝の間から大きな獲物を咥えて振り回すハクセキレイ。200726b.jpg


『私は幾つなの?』 (2020.7.26)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今から来てくれるの?」「行かないよ。トイレに入っていたから電話を掛け直した。多分電話が来るよって言われ、私が来ると思ったんだ。明日は面会に行く」「何処で?」「広い部屋の窓の内側にあんたがいて、窓の外に私がいての面会」「女子の場合は中に入れないの?」「男女は関係ない。伝染病の感染防止のため」「そうか、伝染病でか。つまらないなぁ。明日は掛西高の制服着て待ってるの?」「えっ、女学生じゃないよ。何で80の婆さんが高校の制服着るの?」「来てくれると聞いて授業参観かと思ったら、まだ高校の頃かと思った。私は幾つなの?」「もうすぐ80」「嫌だよう。私は学校の教師だった?」「最初は佐倉小学校、その次は立会小学校」「立会は静岡?」「大井町だよ」「なんで東京?」「私と結婚して武蔵小山に住んだから」「私はあなたと結婚したの?」「結婚した」「へぇー」「二年経ったら等々力に引っ越してAが生まれた。公団住宅が当たって横浜の片倉台団地に引っ越してから教師を辞め、Lが生まれ、二人が小学校に入ったら頼まれて産休の教師を3校くらい勤めた。私の勤務が我孫子になったから高野山に家を建てて住んだ」「私は若いと思っていたらもう80か。我孫子じゃ色々やったよね」「お外様で、家にはほとんどいないほど色んなことをやったよ」「あなたは高野山の家にいる?」「そう」「なぜ私はここ?」「目眩や吐き気、頭がガンガンして病院通いが多くなり、膵炎で二度も入院した。私も歳で十分な介護ができないからあんたはグループホーム寿に入った」「私に介護が必要?」「自分で出来ないことを支援して貰っている」「なんで?」「アルツハイマーになったから」「そうか。その前は、私は車であなたを駅へ送ったり迎えに行った」「ずいぶんやって貰ったね」「だけど免許を返納して運転できなくなった」「もう時間だ。明日は面会に来るよ」「来てね」「歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「涙が出ちゃった。・・・鳴ったから返してくる」と事務所に向かった妻。200726c.jpg
(ザアと来てまた暗くなってきた手賀大橋上空。広い沼を見回しても一羽の水鳥もいない沼。)

高台に立てばまた雨か遠くの方から白くなる

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.25)
(アルツハイマー)

ザアザア降りの雨が通り過ぎ、高台に立てばまた雨か遠くの方から白くなる。200725.jpg

雨水で川のようになった広場への小径、何処にも鳥の姿がない朝。200725a.jpg

いつも立ち寄るのは枯れ木の天辺、雨風をしのぐつもりか下の方の枝にヒヨドリ。200725b.jpg


『楽しかったよ』 (2020.7.25)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「お父さん本人だ。坂の上の自分の家にいるの?」「そう」「今思うといい家を作ったね。借金して作った?」「住宅ローンと残りは退職金で返済した」「私はあまり気にしなかったけど大変だったね」「職場が我孫子に移転したとき単身赴任するつもりだったが、同じ団地にいた同期のYさんが新築した家を二人で見に行き、Yさんから会社の給料でも何とかなると言われ、あんたは家を建てたいと言い出した。二年先輩のAさんが我孫子に土地を買ったら、あんたの夢は止めようがなくなった」「ここに家を作っていてよかったよ。私のいるところとすぐ近くだもの」「そうかね」「我孫子に来てもしばらくはずっといるところとは思わなかったが、ここ以外にないところになった」「その割りには、来てしばらくしたら故郷から遠くなったって文句言っていたね。来て間もなく子どもの学校のPTAの活動で友だちも増えた。その友だちと我孫子にラブホテルを作らせない活動を始めた」「それは遊びみたいだったが、友だちがたくさんできた」「近所で茶道を習い始めたし、読書会やコーラスも始めた。我孫子にいる外国人への日本語教室なども忙しかった」「友だちがいっぱいできて楽しかったよ」「私が天津と一関の単身赴任から戻ったら、ボランティアのさんきゅう会を一生懸命やっていたし、高野山に近隣センターを作る活動にのめり込んでいたね。その合間は茶道に熱中していたよ」「我孫子に家を建てたからやりたい放題できたんだね。ありがとうね。楽しかったよ。今ここにいて何も出来なくなったって文句言っちゃ罰が当たるね」「家中あちこちに収納してある茶道具を見るとどうするか悩むよ」「活用してくれるところに寄付してもいいし、売ってもいい。もう使わない」「Lに考えて貰おうか」「あの子に頼むのが良さそうだ」「時間になった。歌を鳴らしたら電話機を返してきて」「・・・鳴らない」「矢印を押した?」「・・・鳴った。・・・電話終わりました」200725c.jpg
(何を沈思しているのかツバメ、雨の中じっと動かず電線に。)

しばらく見ぬ間に遅くなった日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.24)
(アルツハイマー)

しばらく見ぬ間に遅くなった日の出。200724.jpg

久しぶりにカッパの頭に戻ってきたカワウ。200724a.jpg

市民農園跡の木の天辺に戻ってきたホオジロ。200724b.jpg


『あなたは何をした?』 (2020.7.24)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「眠っていて、ダーリンから電話ですって起こされた。今日あなたは何をした?」「資源ゴミの当番だったから、朝早くから分別用の袋や廃油の缶とか廃棄電池の箱を並べた。後でペットボトルの袋を出し忘れたと思って見に行ったら誰かが出してくれてあった」「そっちに行って私がやってあげたいが行かれない。アハハ。私だってやりたくないからちょうどよかった」「もう慣れた」「一年に何回順番が回ってくるの?」「年に1回か2回」「そうか。手伝えなくてごめんね。これはお世辞だけど。アハハ。やっと目が覚めた。雨は降っていないね」「ちょっと降ったけど止んだ。天気がよくても何処にも行けない。今年は色んなイベントがなくなった」「何がなくなった?」「近所では班の会議や自治会の会議もなくなった。国の行事だってなくなったよ」「何が?」「オリンピック」「来年やるんでしょ」「来年も出来ないと思うよ」「じゃあ外出もそれまで解禁されないの?」「そうだね」「ここにいて、年取って介護が必要になったら私はどこへ行くの?」「グループホーム寿にいるから、食事や洗濯などの生活支援、訪問診療などもやって貰っている。だからずっといていいんだ」「あなたはどうするの。ここへ来て一緒に住めばいい」「私は入れてもらえない」「何で私だけ」「アルツハイマーになって、要介護と認定されたから」「いいところだけど何でここ?」「あんたと二人で見学に来ていいところだったから申し込んだ。去年暮れに空きが出来て今年1月に入居した」「申込に来たことは憶えてる。いいところに入ったと思うけど、あなたと暮らせないのは嫌だ。家で一緒に住めないの?」「私があんたの介護を十分に出来なくて、代わりにグループホーム寿にお願いしている」「私がよくなって、何でも出来るようになればいいよね」「そうなるといいね。時間になった。歌を鳴らしたら電話機返してきて」「何を鳴らす?」「CDラジオ」「・・・鳴った」と言って歌い出す。「先に電話機を返してきてから歌って」「・・・終わりました」200724c.jpg
(水生植物園跡近くの蓮田に開き始めた藕糸蓮の花。)

そのうち雨になりそうな空模様

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.23)
(アルツハイマー)

そのうち雨になりそうな空模様。資源ゴミ収集日の当番だから、降り出す前に回収袋をや廃油回収缶などを並べ、自宅近くの桃山公園へ。200723.jpg

十数年前古墳調査をして埋め戻した木立の下、飛び込んできたムクドリたち。広場に散歩の人が来たのだろう。200723a.jpg

頭上で鳴くヒヨドリの声、見回せばいつもと違う木の天辺に。200723b.jpg


『これからも仲良くしよう』 (2020.7.23)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「昼寝していたら電話機を持ってきてくれた。たくさんは寝ていないから寝ぼけてはいない。それは人様が判断することだね」「ベッドに腰掛けたら目が覚めるよ」「起きて半分腰掛けた。外に駐車場があって、垣根の上の方が赤い。あなたは何をしていた?」「トイレの掃除をさぼったら黒いカビが出てきたので、二階と一階のトイレを掃除した」「近いから私が行ってやってあげるのに。簡単に行けそうでも今は外出はダメか。ここでこんな経験をするのは、自分一人じゃ出来ないこと。なぜ私がここにいてこんな経験をするようになったの?」「あんたは今グループホーム寿にいる」「なぜ?」「去年は目眩や吐き気や頭がガンガンして何度も病院に行った。私も歳で介護が大変になったし、あんたも施設に入りたいと言って、二人でグループホーム寿を見学して申し込んだ。その後、急性膵炎になって直ぐ近くの東邦病院に緊急入院した。その間に色んなことを忘れてしまった。少しずつ記憶が戻って、今年1月にグループホーム寿に入れることになった。正月に食べ過ぎて膵炎を再発しJAとりで総合医療センターに入院し、また色々なことを思い出せなくなった。退院直後にグループホーム寿に入居したがそのことも憶えていなかった。グループホーム寿で専門の人の介護や、訪問診療の先生の診察を受け、膵炎も再発しないし目眩や吐き気、頭がガンガンしてふらつくのも治った」「そうか、大変だったね。よくなって退院できたらまた一緒に住める?」「私も年取って十分な介護は出来ないし、一緒に住んだら共倒れしそうだ」「そうだね。無理して一緒に住むより、時々会って仲良く過ごした方がいい」「窓越しの面会だけど、今度の日曜日も面会に来るよ」「何年か分からないが残った時間をこれからも仲良くしようね」「そうだね。もう時間だ。歌を鳴らして」「・・・鳴った。・・・あれ、何を返すんだった?」「電話機、耳に当ててるでしょ」「分かった・・・終わりました」と電話機を返す妻。200723c.jpg
(斜面林の間から眺めた水生植物園跡のケヤキの木。何となく力強く見えた今朝。)

前進と後退を繰り返すゴムボートの人

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.22)
(アルツハイマー)

カッパの傍まで漕いできて、見上げるのでもなく、前進と後退を繰り返すゴムボートの人。200722.jpg

鳥がいない手賀沼周辺、親水広場で見たのはムクドリとスズメ。雨水が溜まったジャブジャブ池にはカルガモ二羽。200722a.jpg

市民農園跡の埋立地、数日前から来るようになったダイサギとカワウ。200722b.jpg


『しばらくでした』 (2020.7.22)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「あっ、お父さん。しばらくでした。違う?」「昨日も電話した」「知らない。寝てたのかなぁ。あなた元気?」「元気」「元気ならいい。病気なら私が行ってやらなくちゃ。買い物はどうしてる?」「宅配弁当、パルシステム、通販、近所のセブンイレブン。極力外出しないようにしている」「あなたの声が明るくて直ぐ近くから聞こえる。電線はぐるぐる回り道してるのにね。元気そうで嬉しい。病気しないでね。病気になったら行ってやるから。あっ、今はダメか」「外出も面会も出来ないよ」「ここで一緒に住めないの?」「私は入れてもらえない」「なぜ私はいいの?」「アルツハイマーになって、要介護と認定されたから」「病気になった方が得なのかな?」「病気にならない方がいいが、グループホーム寿に入って、専門の人の介護を受け、訪問診療のお医者さんにも診て貰っている」「いい所に入ったがあなたとは住めないし会えない」「最近は予約して面会できる。あんたは窓の内側、私は窓の外側で話が出来る」「窓越しじゃ実感が湧かない」「今の伝染病は人から人へ感染するから、予防のために窓越しの面会なんだ」「中国から来た病気でしょ。中国は悪い国だね。隠していたんでしょ、だったら中国人だけが死ねばいい」「中国の政府が悪いからと言って、一般の中国人は何も悪くない。友だちもいっぱいいるでしょ」「私たちが行ったときは病気がなくてよかったね」「天安門事件はあったけどね」「病院はどうしてる?」「コロナが怖いから、順天堂から手紙を出して貰って、全部依田内科で診て貰っている」「それなら安心だ」「伝染病の薬はあるの?」「まだ出来ていない。罹ったら自分の免疫で治るのを助けることしか治療出来ない」「一緒に生きていて会える日を待ちたいから元気でいてね」「気をつけて病気にならないようにするよ。時間になった。歌を鳴らしてから電話機を返して」「・・・鳴ったよ」「泣いてるの?」「・・・」「電話機返して貰いました」と職員さん。いつになく物わかりがよくて、色んなことを思い出していた妻だった。200722c.jpg
(野菜を売っている農家の蓮田、今朝も咲いていた藕糸蓮の花。)

誰もいない斜面林の間から見えるた自転車道

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.21)
(アルツハイマー)

小雨がぱらつく桃山公園、誰もいない斜面林の間から見えるた自転車道。200721.jpg

「おはよう」って言って、いつもの爺ちゃんが来たから急いでムクドリを撮る。ムクドリがいると追い払うように広場を横切るから。200721a.jpg

親と別行動かコブハクチョウの子ども、今朝は二羽だけが母さんと一緒。200721b.jpg


『私はどこにいるの?』 (2020.7.21)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「しばらくぶりね。元気?」「昨日面会したよ」「知らない。あなたに会った認識はない。あなたと思わなかったからでしょ」「私の顔を忘れたと言うからマスクを外したら、声はお父さんでも顔は思い出せない。お父さんだって嘘つかないでと言った。カメラを構えたらやっと私を思い出した」「憎たらしいことを言う人だねえ。部屋から駐車場の前を通って行くと広い道、市役所の先を東に行って坂を登ると家。あなたはそこにいなかったの?」「今は家にいるよ」「私はどこにいるの?」「グループホーム寿」「それって何処? 分からなくなった」「いま頭の中はどこにいるの?」「手賀沼の近く。右に行けば若松、左に行けば坂を登って家」「そこから手賀沼と反対の方に広い道を登って、コナカの裏を左に行ったらグループホーム寿」「やっと地図が戻ってきた。私が立っているのは何処か今も悩んでいる。断片的なことを辿るからおかしくなる」「ノートに地図を書いてあるよ」「ノートがあった。半分までしか書いてない。・・・地図があった。後で私のいるところを探すよ」と話しは一段落したかと思った。話題を面会のことに戻したのが混乱の始まり。「昨日会って元気な顔を見て嬉しかった」「何処で?」「体操したり歌を歌う大きな部屋の窓の前」「そんな部屋は分からない」と。話しが一段落したと思って話題を変えたのが私のミス。次ぎ次ぎ問われるままに答えると、頭の中で妻が立っている場所は次々何処かへ飛び、ますます混乱する。「今どこにいるの?」「手賀沼の方」「市役所の入り口の方に行ける」「行けた」「坂を登ってコナカの裏を左に入る」「分かった。駐車場がある。鏡台もある。あなたはご飯の仕度をしてちゃんと食べてる?」「食べている」「いい子ね。電話くれて嬉しかった」「歌を鳴らしてから電話機を返して」「涙でボタンが見えないから出来ない」「電話機を返して、職員さんにお願いするから」、職員さんに電話機を返し、CDを鳴らすようにお願いした。200721c.jpg
(撮ろうとしたらパッと逃げたヒヨドリ。レンズを見て逃げたのかと思えば、入れ替わりに枯れ木に止まったハシブトガラス。間の悪いことばかり、今朝の撮影。)

何日ぶりか、ケヤキの木の向こうに日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.20)
(アルツハイマー)

何日ぶりか、ケヤキの木の向こうに日の出。200720.jpg

ハス群生地のハスが消滅してから鳥がいなくなった手賀沼。広い沼に見付けたのはカイツブリ一羽だけ。200720a.jpg

近所の蓮田に咲いた藕糸蓮の花。蜂が一匹、開き始めた花に入ったり出たり。200720b.jpg


『あっ、お父さん』 (2020.7.20)
グループホーム寿に予約時間の4分前に到着した昨日午後。まだ妻は窓辺の椅子に来ていない。玄関側の写真を撮って面会場所に戻ると椅子に座っていた妻はどこかかよそよそしい表情。「ずいぶん久しぶりね」「二週間前にも面会に来たよ」「知らない」「昨日電話でも話したよ」「忘れた」と、昼寝から覚めたばかりの感じ。「お父さんの声みたいだが、顔はお父さんだか分からない。顔を忘れちゃった」「マスクをしているから分からない?」とマスクをずらすと、「声はお父さんだけど、嘘ついちゃダメだよ」と覗き込む。「網が邪魔だな。ちょっとだけ網戸を開けて」と言って後ろに下がったら、Sさんが網戸を開けてくれた。まだ少し疑っているのかまじめな顔でVサイン。写真を撮ろうと構えると、「あっ、お父さん」と言って立ち上がる。「AやLに見せるから笑ってよ」と言ったら笑顔になってやっと打ち解けた様子、「やっぱりお父さんだ。私の髪、ぐちゃぐちゃ?」「すこしね」と言えば手櫛で整え「これでどう?」「いいよ。この前の面会で撮った写真、AとLがいい表情だって言ってたよ」と言えば満面笑み。「AとLはあなたの子ども?」「そう。あんたと私の子どもたち」「なんであなたは私のお父さん?」「子どもたちが私をお父さんって呼ぶから、あんたも一緒になってお父さんって呼んでいた」「お母さんはどうしてる?」「誰のお母さん?」「私のお母さん」「もう亡くなって20年も経っているよ」「そう、亡くなっていたの。私の頭がおかしくなっていて忘れちゃったのかな。そんなに真剣に考えていなかったからだよね」「あれ、涙が出てきちゃったの? また来週の日曜日にも面会に来るね」「どうして来られるの?」「予約すれば日曜日に面会できるようになった」「来週の日曜日は何かある?」とSさんを振り返った妻、「何もないですよ」とSさん。「じゃあ来てね」「明日は電話する。もう帰るよ」「来てくれてありがとう」と手を振る妻。玄関に回って面会票を記入して帰宅する。200720c.jpg
(だんだん忘れられて行く私。それでもカメラを構えた私を見て「あっ、お父さん」と言って立ち上がった妻。いいよいいよ忘れても、私の方でちゃんと憶えているから。)

霧に霞み見えるのは鷲野谷新田辺りの対岸だけ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.19)
(アルツハイマー)

妻が好きな沼を眺める高台に立つ。霧に霞み見えるのは鷲野谷新田辺りの対岸だけ。200719.jpg

市民農園跡のコスモス畑にコブハクチョウ親子。一羽二羽とコスモスの陰から出て来て、4羽いた子どもたち。200719a.jpg

散歩の人か来ればさっと逃げ、通り過ぎたら直ぐ戻ってきたムクドリたち。200719b.jpg

『見合いだったんだ』 (2020.7.19)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今どこ、家?」「そう」「自分の家でいいな。ここは自分の家じゃないから家に行きたい」「伝染病が治まったらね」「それまでは近くても遠いところだ」「明日は面会に行くよ」「嬉しい。虐められるわけじゃないけど、自分の家じゃない。人様々で違うから誰かに相談することもなく孤立する。家に行った時、私が泊まるのは私の体力じゃ無理?」「私が年をとって、あんたの体調が悪くなっても病院に連れて行ったり介護するのが難しくなったから」「あなたにご飯の仕度をしてやりたい。直ぐ涙を流すのは我慢して止め、本当に流す時までとっておく。自分がこうなったのは自分のせい。腹を据えて、帰れるように体力をつけるから待っててね」「わかった。頑張って元気になったら嬉しいよ。昨日質問された、初めてあんたに会った時のことを話すね。会社に入って3年目、斉藤先生に呼ばれて先生の家に行ったらあんたを紹介された」「私も先生に呼ばれた。見合いだったんだ」「先生が強引に話を進め結婚することになった。結婚前に静岡で会って日本平に行った。大きな食堂で私が食券を買いに行っている間にあんたが上着を脱いでセーター姿になって何処にいるのか見失った。そしたら食堂の真ん中辺りであんたが手を振っていた」「ああ、思い出した。いま私は昔のあなたの姿を見て話している。私もしわくちゃなおばあさんではないよ」「あんたは東京の教員採用試験を受けて合格し、大井町の立会小勤務に決まった。私は寮を出て武蔵小山のアパートに引っ越した」「私が手続で東京に来た時アパートに寄ったらあなたは会社に行って留守だった」「帰宅したら運んできた荷物だけが置いてあった。佐倉小は一学期で退職し、夏休み中に慌ただしく結婚式をすることになったね」「話を聞いたらまだ思い出せる」「続きはまた話そうね。歌を鳴らしてから電話機を返してきて。明日面会に行くよ」「・・・鳴ったから返してくるよ・・・終わりました」200719c.jpg
(妄想の中で施設を抜け出して、沼辺を通って自宅を見に来れば誰もいず、沼を眺めに来るという高台。帰り道はワープして気がつけばベッドの上だと。)

雨だから散歩の人も通らない遊歩道

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.18)
(アルツハイマー)

雨だから散歩の人も通らない遊歩道。コスモス畑にコブハクチョウ母さんと子ども二羽。相棒は出てこないのか沼上空を旋回するハシブトガラス一羽。200718.jpg

沼を見下ろす高台の木の天辺で鳴くヒヨドリ。200718a.jpg

犬の散歩に逃げたムクドリやスズメ、戻ってきたのはムクドリたった二羽。200718b.jpg


『家に帰りたい』 (2020.7.18)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今、やっとこさっとこ布団を直して寝ようとしていた。何の用事?」「いつものように電話したよ」「明日家に帰るの?」「帰る予定はないよ」「ここを出て行けと言われたら私はどうするの?」「そこはグループホーム寿、出て行けとは言われない。去年、何度も病気したり入院し私一人じゃ介護しきれなくなった。あんたも何処か施設に入りたいって言った。二人でグループホーム寿を見学して申し込んだら今年1月から入居できた」「部屋を改修してあなたも一緒に住むの?」「そこは借りている部屋だから改修できないし、私は入れてもらえない」「私は一人でずっと住むの?」「私も年をとってあんたの介護をしきれなくなった。あんたはそこで生活面の支援や介護、訪問診療で健康面の面倒見て貰っている。私と一緒に家に住むと私はあんたの介護を十分にできなから共倒れになる」「そうだね。あんたは私より二つも大きいんだから。私はここから出なくていいのね?」「ずっといていい」「でも会えない」「2月末までは毎日面会していたが、伝染病が流行って面会禁止になった。それからは毎日電話している」「電話じゃ会えない」「7月から、予約して日曜日に面会できるようになった。7月5日には東側の大きい部屋の窓を挟んで、あんたは内側、私は外にいて面会した」「忘れた」「今度は19日に面会に来る。その次は26日も面会を予約してある」「家に帰りたい。昼間だけでいい。時々でいい」「伝染病が治まったら、子どもたちも呼んで家で食事したりお話しをしよう」「子どもたちは幾つになった?」「Aは50過ぎ、Lは40後半。子どもたちは仕事も家庭もあるから時々しか来られない。私一人じゃ無理だから、子どもたちの都合がいい時、時々家に集まろうね」「嬉しい」「泣いちゃダメだよ」「私はどうやってあなたと一緒になったの?」「もう時間だから明日話そうね。歌を鳴らしてから電話機を返して」「・・・鳴ったから行ってくる。・・・終わりました」200718c.jpg
(妻が植えたのだろう、我が家の庭にもヤブカンゾウの花)

桃山公園の高台に着くとポツリポツリと細かい雨

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.17)
(アルツハイマー)

桃山公園の高台に着くとポツリポツリと細かい雨。200717.jpg

昨日見付けたムクドリたちの隠れ場所、じっと眺めていたら一斉に飛んできたムクドリの群。200717a.jpg

コスモスの背が伸びたから子どもが見えないのかと思った昨日、今朝もまたコブハクチョウの子どもは一羽だけ。200717b.jpg


『夫どのですか?』 (2020.7.17)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「夫どのですか? 電話機渡す時に夫どのからって言われたからそう言った」「夫ですよ」「どこにいるの?」「家にいる」「どうやって電話機を届けたの?」「事務所に電話して、事務所の電話機を持ってきてくれた」「ああそうか。いま、ノートを見ていた。2月26日はあなたが家に帰る道の地図を書いてくれた。私が家に帰る道を憶えていたって書いてあった。その後に私の字で、夜8時50分になってほとほといやになった。理由は冷静になってから書くと書いてあった」「理由は何と書いてあった?」「何も書いてない。あなたはいつの間に来て書いたの?」「2月28日までは毎日面会に通っていたから時々書いた。伝染病が流行って29日から面会と外出が禁止され、それからは毎日電話してるよ」「そうだったのか。今日はノートを見て元気になった」「眠らなかったから話しがはっきりしていてよく分かる」「さっきまでは立つとふらふらして、耳の中がガーンと鳴って声が小さくなった。靴を履いたら治ってふらふらしない。座っていると困らない。明日は帰れるの?」「明日は帰らない」「いつまでここにいるの? これじゃ一緒に暮らせない」「去年あんたはいっぱい病気をして、何度も病院に連れて行ったり入院した。私一人では介護しきれなくて困った。あんたも施設に入りたいと言って、Mさんが探してくれてここを見学し、申し込んだ」「それは薄々憶えてる。会いたいよ。帰るとあんたが困るから無理は言わない。ちょっとだけ家に行きたい」「外出許可を貰って家に行き、子どもたちも呼んで一緒に過ごすことを計画したが、伝染病が流行って出来なくなった。伝染病が治まったらそうしようね」「夕方にはここに戻るし、それまで我慢するよ。だから会ってね」「19日には面会に行くよ」「どこで?」「東側の大きい部屋の窓の所」「私は中にいてあなたは外だね」「そう」「それで十分」「じゃあ歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「何を鳴らす?」「CDラジオ」「・・・鳴ったよ。・・・終わりました。ありがとう」200717c.jpg
(何も訊ねていないのに、枯れた木の天辺でしゃべり続けるヒヨドリ。)

雨は上がってもいつまでも暗い沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.16)
(アルツハイマー)

雨は上がってもいつまでも暗い沼。200716.jpg

沼を眺めていればスズメ二羽、ちょっとずつ近寄ってくる柵の上。200716a.jpg

散歩の人が通り過ぎたら戻ってきたムクドリたち。フェンスの向こうの大きな木、やっと見付けたムクドリたちの隠れ場所。200716b.jpg

『あなたは他人になった』 (2020.7.16)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「半泣きしていて起こされた」「寝ぼけているな」「寝ぼけたから目を拭いてるよ」「目が覚めた? 寝ころがっていると目が覚めないよ」「起き上がった。何でこんなことを考えたんだろう?」「何があったの?」「もうあなたは他人になったと誰かが言った。私は行くところがない。高野山の人に聞いたら、あんたは手賀沼の向こう側に行って、高野山にはいないと言った。探しに行こうと思って洋服などを準備したのに別なものに変わっていた」「私は高野山の家にいるよ」「私は明日帰るの?」「伝染病が流行っていて外出できないの」「伝染病で行けなかったんだ。寝ていたから何が何だかわからない。あなたが何処かに隠れてしまったかと思った。いてくれてよかった」「あんたの茶室の傍に白いムクゲの花が咲いた」「その家は手放したんじゃない?」「その家に私が住んでいる」「手賀沼から坂を上がったところ?」「そう。去年まであんたと一緒に住んだ家だよ。あんたは今グループホーム寿にいる」「グループホーム寿にいるのは分かってる。あなたは手賀沼の上の家にいる。ああ、何だかわからない。窓の外が明るい。AとLが運んでくれた鏡台がある。電源を入れて歌を鳴らすのがある。声を聞いていても顔を見ないと分からないから、知らない人にあなたの夫だと言われても分からない。市役所から坂を登ったところに私はいる。話していてあなたと分かったからこれでいい。会いたいよ」「19日に面会に行くよ」「・・・・・」また保留ボタンを押したのか無音になった。事務所に電話して見て貰い、再度電話した。「何をしたか分からないけど直してくれた」「19日に面会に行くよ」「どこで?」「東側の大きい部屋の窓の内側にあんた、窓の外に私がいて面会できる」「係の人が連れて行ってくれるね」「そう」「待ってるよ」「歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴らした」と、歌いながら事務所に向かった妻、職員さんに代わってから電話を切った。200716c.jpg
(葉のしける頭上の木から聞こえる鳴き声に、ちょっと撮らせてよ念ずれば、アンテナに止まってこっちを覗うヒヨドリ)

雨が沼を渡ってくるのか霞んでしまった対岸

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.15)
(アルツハイマー)

雨が沼を渡ってくるのか霞んでしまった対岸。200715.jpg

ネコの木が霞んできたらザアと通り雨。200715a.jpg

雨が止んだら広場に出てきたムクドリたち。散歩の人が通ればさっと逃げ、またすぐに戻ってくる。200715b.jpg


『何人かで出掛けたよ』 (2020.7.15)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「どこにいるの?」「家。家しか居場所はないよ」「その内私もそうなるかな。そうなったら一緒に散歩も出来るね。今日は何人かで出掛けたよ」「建物の中で?」「近くだけど外」「伝染病が流行ってるから外出禁止だよ」「誰にも見つからずすり抜けちゃった」「じゃあ出掛けたのは夢の中だ。夢の中じゃ職員さんにも分からない」「そうか、夢か。行ったけどな。お昼ご飯食べたから午前中に行った。お昼ご飯の後は部屋に戻って寝た」「寝てる間に夢を見たんだ」「そうかもね、目が覚めたらベッドで寝てた。出掛けたけど帰ってきたのは憶えていない。夢だったんだ。大きな部屋を与えられていいところだよ。だけどどこにも出掛けられないから、歩くのには狭すぎる。閉じ込められていたんじゃ楽しくない。出られないなら死んでもいいか」「まだ早い」「あなたは生きていたい欲はあるの?」「あるよ。生きている間にやらなくちゃならないことがある」「死んだらやらなくてもいい」「やらずに死んだら残った人たちに迷惑をかける」「残った人だってその内に死ぬ。ただ寝ているだけでここにいるのは何のため? 外に行って、家に行ったり、あなたに会ったりしたいよ」「伝染病が流行っていて、治まったらそう出来るよ」「いつ?」「いつ伝染病が治まるかは分からない」「ちゃんと治まるようなことをやってるの?」「どうするか国中が大騒ぎだよ」「世界中で?」「そう」「世界中なら仕方ない。狭いところに閉じ込めて、ベッドの手摺りは逃げ出さないようにあるのかねぇ。一生懸命生きてるのに、閉じ込めて片っ端から殺してるみたい。いつまでも生きて待っててと言われたって、いつまでもは待てないよ」「ずいぶん怒ってるね」「あなただから言いたい放題言うよ」「時間が来た。歌を鳴らして、電話機を返してきて」「鳴らす順序を言ってみて」「電源、CD、矢印の順に押す」「見えていなくてもよく出来たね。・・・鳴ったから言われたとおり返してくる・・・終わりました」200715c.jpg
(庭に白いムクゲの花が咲いた。30年以上も前、妻と植えた赤と白一本ずつのポットの苗。大きくなったが、妻がグループホームに入って間もなく枯れた赤い花の木。)

沼を渡りザアと来た雨、見る見る霞む対岸

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.14)
(アルツハイマー)

沼を渡りザアと来た雨、見る見る霞む対岸。200714.jpg

振り返れば雨に煙っていた水生植物園跡のケヤキの木。200714a.jpg

小降りになって幌場に出れば、また降り始めた雨。雨を避け木立の下へ走り込むムクドリたち。200714b.jpg


『あなたは誰?』 (2020.7.14)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「いま昼休み中。先週書いて貰った2月15日付の日記を読んでいて涙が出てきた」「今日は7月13日だよ」「えっ、だって2月19日が最後の日付だよ」「2月末までは毎日面会に行って時々あんたのノートに書き込んでいた。伝染病が蔓延し始め2月29日からグループホーム寿も面会禁止になった。3月からは書き込みが出来なくなって、その後は毎日電話してるよ」「憶えていない。電話楽しみに待っいて、声を聞いて嬉しくなるがすぐ忘れちゃう。いま読んでるところに、N姉さんとHがS姉さんを見舞いに行ったら元気で、脚が弱らないように施設の中を歩いていたって書いてある。その後お母さんは元気?」「あんたのお母さんも私の母も亡くなっている。誰のこと?」「あなたの奥さん」「私の奥さんは今村公子」「私じゃないの、アハハ。いいかげんだねぇ。私のお母さんの名前は何だった?」「さか江、お父さんは幹」「あなたの親は?」「父が恒治、母がきん」「あなたは誰?」「あんたの夫」「やだよう。私の親のことを言ってたから忘れちゃった」「泣いてるの?」「親と住んでいたところに行きたいけどもう行けない。過去のことを憶えていてちゃんと言えるよ。まだ憶えているうちに見ておきたい。頭の中で見ても直ぐ忘れちゃう。お墓は裏山に二つあった」「昔、京都から移り住んだころは藤原を名乗って仏教だったが、横須賀の殿様に学問を教えるようになって神道になって中島を名乗ったとあんたのお父さんに聞いた。だから二つあるんだ」「あなたの家のお墓は浜岡原発の直ぐ近くのお寺だよね。何度も行ったね」「そう、今朝、永代供養の契約書に印を押して、代金を送った」「よかった。長年の悩みがなくなった。最初に勤めたのが佐倉小だから、あの辺りはどこと言われたらみな分かるよ」「そうだね。故郷は懐かしいね」「また涙が出てきちゃった」「時間だから、歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴った。・・・今村です。終わりました」200714c.jpg
(雨が降ったら回り道。雨に濡れまだ咲いていたキンシバイの花。妻が流す涙を止めてくれ。)

今朝もまた降ってきそうな曇天の沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.13)
(アルツハイマー)

今朝もまた降ってきそうな曇天の沼。200713.jpg

埋立地の杭にゴイサギが一羽、撮ろうとすれば飛来したダイサギ四羽。200713a.jpg

新しい餌場が見つかったのかムクドリの群、桃山公園を飛び越えて市民農園跡に飛んで行く。立ち寄った数羽も間もなく後を追う。200713b.jpg


『心配して電話くれたのね』 (2020.7.13)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「いま電話届けてくれた」「寝てた?」「眠ってない。朝、急いで仕事をしたから布団が崩れていてたたみ直していた。寝ぼけているか心配して電話くれたのね、嬉しいよ。一人でやることは単純だから困らない。担当の人が見に来るから、いい加減でもいいから整えておく」「二つ話がある。年賀ハガキのお年玉引き渡し期限が近づいたから調べたらたくさん当たった。二等が一枚、切手シートが7枚当たってた。明日交換に行ってくる」「すごいね」「二人の人生の店じまいのお墓のこと、自分たちの入る所はあんたと一緒に行って一関の樹木葬の場所を決めてきてあるし、浜岡にある先祖の墓は住職と相談し、墓はそのまま残し50年間の永代供養にすることにした。住職から金額と契約書が送られてきたので手続きする。これで子どもたちに墓の苦労をかける心配はなくなった」「ああ、よかった。ずっと悩んでいたことだもの。浜岡の私のS姉さんは最近死んだ?」「生きてるよ。浜岡の施設に入っている。亡くなったのはご主人」「そうか、いいお兄さんだったのに。葬儀に行った?」「伝染病が流行っているから、こっちにいる姉妹を代表して地元にいるN姉さんと妹のHさんが行ってくれた。Nさん夫婦は元気、Hさんはご主人が脳梗塞になって、Hさんが病院や散髪には車で連れて行っている」「みんな年をとると色々言うことが増えるね」「今日のあんたは寝ぼけていないね」「お昼食べた後に眠らなかったから。S姉さんがボケ始めた時、話し相手がいるといいかっこしいのところがあった。そういう病気だって本に書いてあった。私もそうなっても仕方がない。・・・ホイホイ、あなた聞いてるの? 声が聞こえないぞ」「こっそり笑っている」「こら、ちゃんと聞いて。あなたは元気でいいね」「あんたの分までしっかりしてるよ」「アハハ」「時間になったから歌を鳴らして」「・・・鳴らしたよ。電話機返してくる。・・・お世話様でした。終わりました」。泣き虫の妻が泣いているとSさん、口で笑って涙を流す妻。200713c.jpg
(目の前に止まったスズメ、レンズを向けたらちょっと逃げ、無害な私と分かったか近寄ってくる。)

薄雲の向こうに登る目映い太陽

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.12)
(アルツハイマー)

薄雲の向こうに登る目映い太陽。200712.jpg

干してあったジャブジャブ池に雨水が溜まり、何を啄んでいるのかカルガモが二羽。200712a.jpg

手賀大橋を潜って漕いでくるゴムボートの人。200712b.jpg


『私はどこにいるの?』 (2020.7.12)
昨日午後の妻との電話、初めて聞く女性の声が応答、「ご主人から電話です。大丈夫ですか」と起こされている妻、「えっ、電話? ありがとう。終わったらどこへお返ししたらいいですか? ・・・あっちですか、分かりました」と妻の声。「もしもし」「は~い」「うとうとしていたら電話機を持ってきてくださった」「終わったら電話機をどこに返すか分かった?」「あっちって指さした」「どこを指さした?」「分からない。部屋の外にいれば分かるが、部屋の中にいたんじゃ分からないよ。私はどこにいるの?」「自分の部屋でしょ」「鏡台があって、窓の外に背の高い垣根があって、向こうに駐車場があるから私の部屋だ。どうしてあなたは私の部屋だと分かったの?」「何度も面会に行ったから知っていたよ」「知っていたならごちゃごちゃ聞かないでよ。あなたと話していたら、でたらめ言ったってバカヤローって思って笑ってるでしょ。それでいいの。あなたとなら笑って話していられるから」「もう目が覚めた?」「覚めたけど、この建物の場所は外を見ないと分からない。窓の外には駐車場があってその向こうに行くと手賀沼の方へ下る道?」「そう」「だから、ここは私の部屋。富士山の絵がある。丸い蓋が二つあるのもある」「CDラジオでしょ」「そう」「電源ランプが点いてるから矢印を押したら鳴るよ・・・~春を愛する人は・・・~」「歌は後にして、まだ電話中だよ」「ドアの外を見たら廊下、場所が分かったよ。今度は一人で手賀沼へ行く」「伝染病が流行ってるから外出は出来ないよ」「そうか。ニュースで言ってたけど関心が無いからどんな病気か分からない。いつ会いに来てくれる?」「19日に面会に行く」「どこで?」「西側の大きな部屋の窓の内側にあんたがいて、私は外にいて面会できる」「いつ」「19日」「何かに書いておかなくちゃ。頭の中に書くと消えちゃうから」「時間になった。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「矢印を押すだけだから先に返してくる。・・・今村です。終わりました」200712c.jpg
(空想の世界で妻が家に帰ってくる遊歩道、路傍にひっそりとユウゲショウの花。)

パッと明るくなって雲間から射し込んだ陽光

(アルツハイマー)

曇天の沼を撮って広場を一回りすれば、パッと明るくなって雲間から射し込んだ陽光。200711.jpg

広場に雲間から陽が射し、林床に木漏れ日が落ち始めれば集まってきたムクドリ。200711a.jpg

哀れやな、花のベッドに横たわる亡骸。200711b.jpg


『帰るのはのはいつ?』 (2020.7.11)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「寝ぼけてた」「ベッドに寝転がっていると目が覚めないから起きてベッドに腰掛けて」「ベッドに腰掛けたから直ぐ目が覚めるよ。帰るのはのはいつ?」「帰る予定はない」「何処かに家を買ってそこへ行くのでしょ」「家は買わないよ」「私はどこにいればいいの?」「グループホーム寿にいればいいの」「どうして?」「去年までは二人で住んでいたが、私も年をとって体調が悪くなったあんたの介護をちゃんとできなくなった」「そうだよね。私より二つも年上だもの」「二人でグループホーム寿を見学して、いいところだったから申し込み、半年待って入居できた」「窓から見える駐車場の先は手賀沼の方に下る道だよね」「そう」「市役所の先を東に行って坂を登ったところが家。直ぐ近くだよね」「そう、今は申し込んだところにいるよ」「そうか。ここはいいところだよ。ずっとここに住んでいていいの?」「いいよ」「ちょっと出掛ければ手賀沼、その先に家がある」「その家に私が一人で住んでいる」「よかった~、あなたそこにいるの。私たちの第二の故郷だものね。私がずっとここに住んでいて支払いはどうするの?」「二人の年金と老後のための蓄えで支払うから心配しないで」「あんたは家に一人でいるの」「そう」「それじゃ私があなたの面倒を見てあげられない」「心配してくれてありがとうね。家にいた時はあんたの出来なくなったことを私がやっていたが、私もできなくなって、私に代わってグループホーム寿で面倒見て貰っているの」「そうか、それで安心した」「伝染病が流行っていて面会も外出も出来ないが、伝染病が治まったら私が面会に行くし、たまには家に来て、子どもたちも呼んで食事したりお話をして、夕方にはそこへ戻るお楽しみもあるよ」「家の中や家の近くは全部憶えている。ここはあなたと近いし、一緒に生きているから何も文句はないよ」「時間だ。CDを鳴らそう」「・・・鳴ったよ」「電話機を返してきて」「・・・電話終わりました」200711c.jpg
(大きな荷物を咥え、右に行ったり左に来たり。もしかして帰る家が分からなくて徘徊中?)

広大なハス群生が消えてしまった手賀沼の異変

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.10)
(アルツハイマー)

対岸のハス群生地の桟橋前、広大なハス群生が消えてしまった手賀沼の異変。200710.jpg

広場からムクドリの姿が消え、埋立地にやってきたダイサギとアオサギ。水面を叩いたダイサギの嘴、咥えているのは小魚か。200710a.jpg

今朝も市民農園跡に来ていたコブハクチョウ親子。やっぱり一羽足りないコブハクチョウの子。200710b.jpg


『旅行に行っていた?』 (2020.7.10)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「寝てた。眠っていたのに起こされて何だかへんちくりんだ。今何時?」「1時11分」「お昼食べて寝ちゃったんだ。ごめんごめん、昨日は疲れていた」「眠ってた時に電話で起こされるといつも疲れたって言うね」「今日は本当に眠い。私はどこかへ行っていたのかな。旅行に行っていた?」「どこへ?」「分からない。行ったかと思った。何で眠いんだろう。今何時?」「1時14分」「お昼食べた記憶が無い」「食べたはずだけどな」「食べたんでしょうよ。困っちゃたな、私はどこへ行っていた? 旅行に行っていなかった?」「外出禁止だからどこにも行っていないよ」「そうか、これで目が覚めるかな。寝転んでいたらダメ、いい気持ちで寝ちゃいそう。あなたは何してた?」「午前中は洗濯して、依田内科に行って採血と胸部レントゲンと心電図のあと依田先生の診察。マツキヨで薬を受け取って、コンビニで買い物。急いでお昼を食べてあんたに電話した」「わ~、忙しいね」「あんたに電話したら寝ぼけてた」「寝ぼけてたね。私は旅行に行っていた?」「行っていない。眠ってる時に起こされると疲れたって言うの、口癖かな」「し~らない。疲れてないのに疲れたって言うかねぇ。また寝たら直ぐ眠れるよ。いやになっちゃう」「寝ぼけの公子さん」「は~い。アハハ。ずっと目を瞑ってたけど今開いた。目がしょぼしょぼしている」「やっと目が覚めた?」「窓の外に駐車場が見えた。ラジオの横のケースに入った花がきれい。その横に富士山の絵。私たちの故郷だものね」「目が覚めたらもう時間だ」「心配かけてごめんね。だけど眠いのも辛いよ。いつ会える?」「19日に面会に行くよ」「どこで?」「この前と同じ大きい部屋の窓のところ」「忘れた。目が覚めた時に言って」「歌を鳴らして」「・・・・・」どうやら電話を保留してしまったらしい。事務所に電話して見に行って貰った。「部屋にいましたから電話を切っておきました」と職員さん。尻切れトンボになった今日の電話。200710c.jpg
(濡れたキンシバイの花の中、寝ぼけたようにクモ一匹。)

葉が茂りネコらしく見えるネコの木

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.9)
(アルツハイマー)

音もなく沼に降る雨、葉が茂りネコらしく見えるネコの木。200709.jpg

雨に濡れた草地を歩けばカワラヒワ二羽、足を止め一枚撮ったら飛び去った。200709a.jpg

雨の広場に散らばってムクドリたちが餌探し。200709b.jpg

『私はどこにいるの?』 (2020.7.9)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今、あなたの書いたものを読んで涙を流していた。なぜここにいるのかわからなくなった。歌を鳴らしているが上の空、会いたいよ。早く一緒に暮らしたい。自分の思い通りにならないからやっきりしているのは私のわがまま。その内自然に治るから気にしないで。目から涙が出ているが口では笑ってる。~誰かさんが誰かさんが・・・小さい秋みつけた~・・・声が出て歌えるよ。歌を歌うと時間を忘れて自分で自分を慰められるよ」「歌を歌うのはいいね。頭の体操にもなる」「私はどこにいるの?」「グループホーム寿という施設」「どうして一緒に住めないの?」「、二人とも年をとって出来ないことが増えた。あんたの体調が悪くなって、私一人では介護しきれなくなって二人で泣いたし、あんたは施設に入りたいと言った。ケアマネージャのMさんが探してくれて、グループホーム寿を二人で見学して申し込んだ。今年1月、膵炎再発で入院し、退院したら直ぐここに入居した」「ここに来たことは憶えていないが、鏡台はAとLが運んでくれたって知っている。一緒に住めなくなっても、一緒に生きたいのは嘘じゃない」「家から近いから毎日面会に来ていたが、伝染病が流行って面会できなくなり、毎日電話してるよ」「そんなの直ぐ忘れる。別れて住むのが何の役に立つの?」「私は楽になれるし、あんたはグループホーム寿に入ってから膵炎の再発もなくなり、目眩や吐き気の苦しみもなくなった。訪問診療の先生の薬の処方や、スタッフの人たちの介護で、私には出来ない面倒を見て貰ったからだろう。去年あんなに苦しんだこともなくなって、別れて住む事で得たものは多かったでしょ。伝染病流行が収まったら毎日面会に行くし、たまには子どもたちも来て一緒に家でご飯食べたり話をして、夕方にはそこへ戻ることだって出来る。19日にはまた面会に行くよ」「会いに来てね」「もう時間になった。電話機返してきて」「分かった。電話ありがとうね。・・・今村です。電話終わりました」200709c.jpg

(ヒメブットレアの花の下、今朝はもういなかったアマガエル。)

今朝もまた曇天の下で強風に波立つ沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.8)
(アルツハイマー)

今朝もまた曇天の下で強風に波立つ沼。200708.jpg

母さん先頭、子どもたちの後ろから父さん。一羽足りないコブハクチョウの子ども。200708a.jpg

ヒメブットレアの花房の下、揺れる葉にしがみつくようにアマガエル。200708b.jpg


『わあ大きい音』 (2020.7.8)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「懐かしい声で嬉しい。本当は直ぐ近くなのに。私、泣けてきた。何をするのにも最初から考えないと間違えると思うから疲れるの。一つ一つ順を追って念を押さないと安心できない。あちこちから声が入ってくると困る。あれもこれもと言われると混乱する。あなたから声が掛かると安心して、もっと近くに行って聞きたいが電話じゃ出来ない。何が何だかわからないが泣けてくる」「今日は泣き虫?」「アハハ。違うよ。早くここに慣れて色々なことを判断できるようになって一ヵ所に落ち着きたい」「あんたはグループホーム寿にいる。ここはあんたと二人で見に来て申し込んだ施設。介護の専門の人が面倒見てくれるし、食事や洗濯などの生活面も、訪問診療の先生、歯医者さん、床屋さんも来てくれる。ここに来てから膵炎、目眩や吐き気で辛かったことも治まって、日曜日に面会した時はびっくりするほど元気、落ち着いた穏やかな表情で嬉しかった」「嬉しい。人間として大事にしてくれているんだね」「そうそう、あんたに城東中学第6回卒生の同窓会延期のお知らせがMさんから来ていた」「Mさんは小学校から中学、高校まで一緒だった。小貫の人だよ。今は子どもの頃の景色に戻っている」「コロナの伝染病で今年予定していた同窓会は延期だって」「そうか、Mさんが面倒見てくれているんだ」「ぼつぼつ歌を鳴らそうよ」「・・・わあ大きい音。びっくりした」と叫んで電源スイッチを切ってしまった。「-」ボタンを押して音を小さくさせようとするが電源を入れずに押したり、電源を入れれば音量を変える前に慌てて電源を切ってしまう。3~4回繰り返してから、「職員さんの所に行って頼んで」と言えば「いやだ~」「私が頼むから電話機渡して」「・・・夫が何か頼みたいそうです」と職員さんに代わり音量を調節をして貰う。「調節しました」と職員さん、妻に代わり、「治ったよ」「明日また電話するね」「電話ありがとう」と言った途端に通話が切れた。200708c.jpg
(延びてきた庭の草をどうしようかと眺めてたら、妻が植えたのかフェンス際にヤブカンゾウの花。)

吹き付ける強風、波立つ沼上空を低く飛ぶ雲

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.7)
(アルツハイマー)

吹き付ける強風、波立つ沼上空を低く飛ぶ雲。200707.jpg

波立つ沼を低く飛んできたカワウ、埋立地の杭に一番乗り。200707a.jpg

広場には一羽も姿が見えず、風を遮る高台の雑木林の陰にムクドリたち。200707b.jpg


『おはようございます』 (2020.7.7)
昨日午後職員さんに電話機を渡された妻、「もしもし」「は~い」「おはようございます。・・・違うの?・・・こんにちはだって言ってるよ。今何時?」「1時11分」「起きたばかり、朝だと思った。私惚けてる。惚けてるとあなたが困るよね」「目が覚めていないんだ。まあ、いいよ」「いいよじゃない。ちゃんと憶えているかどうか私が言うのを聞いてて。市役所の先を左に行って、坂のあるところで左に登る。広い畑があって最初が私たちの家でしょ」「そうだね」「目を瞑ると景色が分かる。憶えているよ」「憶えていたね。昨日面会したのは憶えてる?」「知らない。景色が出てこないと思い出せない」「あんたは広い部屋の西側の窓の前、私は外の坂道」「何話した?」「あなたの奥さん元気かって聞くから、あんたじゃないのと答えたら、長く会わないから別の人と暮らしてるかと思ったって言って、横でSさんが笑ってた」「嫌だよう。だから一緒に住まないとダメ。一緒に住んでもダメか。昨日面会したって言われても、そのときの情景を思い出せない。それが中学の前だとか何処かの角だって言われたら思い出すけど」「2月28日以来、久しぶりで会ったが、元気そうで、落ち着いた穏やかな感じだったよ。痩せてもいなかった」「ここのマンマをちゃんと食べてるからだ。おいしいし、ここの生活は豊かでいいところだよ。惚けて分からなくなって、何処かの人が来てあんたの夫だよと言ったらそうかなって思うようになったら嫌だよ。年はとりたくないがそれは無理だ。私がここにいてあなたが近くにいるからいいが、あなたが惚けて遠くの施設に入ったら会えなくなる。話も出来ないし会うことも出来ない。ここなら土地勘があるが遠くだと分からなくなる。それじゃあ人生に希望が持てないよ。あなた惚けないでね」「惚けないようにするよ。時間になった。歌を鳴らしてから、電話機返してきて」「・・・スイッチオン・・・鳴ったから行ってくるよ。分かった。・・・今村です。電話終わりました」200707c.jpg
(ケヤキの木の下に朽ちたベンチ。よく手入れされた水生植物園だった頃、まだ元気だった写真仲間が集まって写真談義をした頃のノスタルジア。散歩帰りの妻たちが手を振りながら藤棚を潜って行った日。)

傘をちょっと上げ一枚撮ればレンズに雨滴

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.6)
(アルツハイマー)

傘をちょっと上げ一枚撮ればレンズに雨滴。沼から吹き付ける雨と風。200706.jpg

激しくなった雨の中で草を啄んでいたコブハクチョウ親子。一羽足りないと思えばずっと離れて父さんの傍に。200706a.jpg

雨と風を避け、斜面林の隙間から眺めたケヤキの木。200706b.jpg


『 あなたの奥さんは元気?』 (2020.7.6)
建物の南側窓の前に行くと、Sさんが身振り手振で西側の窓へ行けと指示。声がよく聞こえない。西側通路に行くとガラスの向こうに妻と付き添っていたSさんの姿。やはりガラス窓越しでは声が聞こえない。窓を少し開け金網越しにやっと会話できる。カッパを着て車から降りると満面笑みで手を振った妻。「しばらくぶりだね。嬉しいよ。どこから来た?」「高野山の自宅」「私は元気だから心配ないよ。あなたは?」「元気だよ」「子どもたちは?」「二人とも元気」「どこに住んでるの?」「八王子と横浜」「私のお母さんは?」「ずっと前に亡くなったよ」「あなたのお母さんは?」「私の母も亡くなっている」「あなたの奥さんは元気?」「私の奥さんはあんたじゃない」「そうだったか。誰かに会った時に私の主人ですって言えるかな。ずっと会わないからもう別な人と一緒にいるかなって思うじゃん」と言えばSさんも笑い出す。「来週の予約はもういっぱいです」とSさん、19日と26日の2時30分を予約して貰う。横で聞いていた妻、「私の頭はいっぱい詰まっていて動かない。もうじき80だから仕方ないか」「写真撮るからちょっとだけ網戸を開けて。AとLに送るから。・・・はい撮れた」と言うと網戸が閉まる。「雨だからこの辺で終わりましょう」とSさん。短い面会は終わり、まだ話したそうな妻。後で電話することにして、2時30分に妻に電話、「もしもし」「は~い」「どこにいる?」「高野山の自宅」「356の先、利根川の方の施設じゃないの?」「それはあんたが以前通っていたロイヤルと和楽園。私はあんたと一緒に建てた家にいる」「家に帰りたい。帰るとあなたの負担になるからちょっとだけでいい」「伝染病が治まったらね」「昼間行って、子どもたちが夕方自分の家に帰り、私も自分のベッドに戻るから」「今日は面会できてよかったね」「電話で話すのと会ったのでは一緒の人だとは思えない。会えてよかった」「歌を鳴らして、電話機を返してきて」「・・・鳴ったから返してくる。・・・終わりました」200706c.jpg
(網戸をちょっと開けても邪魔な窓枠の格子。「後ろへ下がって、ちょっと左に行って」と隙間を見付けて撮った127日ぶりの妻。元気になって、穏やかな表情に安堵。網戸を閉めた途端にリラックスしてか笑い出す)

手賀大橋の先がちょっと明るくなった曇天の朝

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.5)
(アルツハイマー)200705.jpg

囀りを頼りにきょろきょろ見回し、木の天辺に見付けたホオジロ。200705a.jpg

ちょんちょんと遊歩道を歩くスズメ、電光石火啄んだ虫。嘴からはみ出ていた獲物。200705b.jpg


『眠っちゃった』 (2020.7.5)
昨日午後の妻との電話、眠っていたらしく「アキラさんからお電話ですよ」とSさんの声。「ありゃ~・・・こんにちは。今日は午前中、う~んと草臥れた」「毎日草臥れたって言ってるね」「・・・・・」「もしもし、もしもし、・・・おーい。どうしたの?」「眠っちゃった。胸の上から声が聞こえたがよく聞こえない。眠って胸の上に電話機を置いたのね。目が覚めたよ」「昼ご飯の後に眠ってたでしょう」「草臥れているから眠ったのかも。寝ると寒い感じ。あ~ぁ、あなたがここにいてくれるといいのにねぇ」「明日は面会に行くよ」「いつ?」「1時30分」「どこで?」「あんたは体操したりみんなで歌を歌う大きな部屋の南側の窓、私は駐車場にいる。ガラス越しに面会できるよ」「ガラスがあったら聞こえないじゃない? 私が外へ出ようか?」「伝染病が流行っているから外へは出られないの」「あなたは感染してるの?」「そうじゃない、外から来る人は誰が感染してるかわからないから」「明日は何曜日?」「日曜日」「明日はそれまで起きていなくちゃ。今日は起きた時、一瞬ここは何処か分からなかった。もういやだいやだ。何でからだが怠いのかな。寝てたからかな。授業に行ってもぼーっとしてるの」「何の授業?」「体操をしたり歌を歌う授業」「まだベッドに寝てるんでしょ。起きてベッドに腰掛けて」「電話が終わったらまた寝るから布団の上に座っている」「電話が終わったら事務所に電話機を返しに行くでしょ。さあ起きて」「電話機持って天井見てたら眠っちゃった。叱られると怖いから起きたよ。ベッドに腰掛けた」「目が覚めた?」「目が覚めたら怠いのが治った。あなたは何のご用?」「あんたの声を聞くだけ。目を覚まさせたらもう時間じゃないの。CDを鳴らして」「どこで?」「ラジオはテーブルの上だよ」「よっこらしょ。・・・壁にCDの聞き方の絵が貼ってあるから大丈夫。・・・出来た。鳴ったよ」「電話機を返してきてから歌ってね」「行ってくる。・・・ごめん下さい。電話終わりました」200705c.jpg
(釣堀を越えて飛んで行った相棒を待つのか、水を落としたジャブジャブ池の縁にカルガモが一羽。)

音もなく降る雨になぜか淋しげに見える沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.4)
(アルツハイマー)

小降りになって桃山公園のゼロポイントへ。音もなく降る雨になぜか淋しげに見える沼。200704.jpg

高台から見下ろせば、クローバーを啄み水溜まりに入っていたコブハクチョウ親子。200704a.jpg

雨だってへっちゃら、誰もいない広場にムクドリの群。200704b.jpg


『フクロウは頭の奥の方にあった』 (2020.7.4)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「ダーリンさんからって電話機を持って来てくれた。笑っちゃった。眠いから布団を直して寝ようとしたが目が覚めた。あなたは頭が痛いとか咳が出るとかはないの?」「何ともないよ」「東の空が曇ってきて天気が悪くなりそう。部屋に帰ったら寒いから廊下を通った人に寒いと言ったら係の人が来て直ぐ治してくれた。寒さは和らいだよ」「よかったね」「部屋が広いから淋しくて寒い。あなたは元気?」「元気だよ」「一人でいて淋しくない?」「ちょっと淋しい」「あはは」「今日はご機嫌がいいのかよく笑うね」「あなたと話せてプンプンすることはないよ」「昔は家の西が林で、入り口に大きなケヤキがあったのを憶えてる?」「あったね。午後になる直ぐ日が陰っちゃう」「夜になると椎茸を作っていた林でフクロウが鳴いたのを憶えてる?」「毎晩だったから憶えてる。最初は神社の山で鳴いたけど木を切って住宅地になったから近くの椎茸山で鳴くようになった」「よく思い出したね。写真を撮ろうとしたが撮れなかった。ケヤキを切って、林が住宅地になって、次が谷を埋めてまた住宅地が出来た」「家に日が当たるようになったが、庭に鳥が来なくなった。昔の近所は思い出せるが、今の景色はあやふやだ」「フクロウの写真を譲って頂けることになった。プリントしたら持って行くね」「嬉しい。フクロウは頭の奥の方にあった。神社の周りに林があったとき、神社に巣があったのは知っていた。こっちに引っ越してきて家を建てたのはマイナスじゃなかった。分かった事がいっぱいあったし、色んなことを経験したよ。でも、色んなことがどんどん消えちゃう」「昔のことを思い出せてよかったね。時間になったから歌を鳴らそう」「・・・ランプが点いてボタンを押したが鳴らない。あっ、鳴りだした。・・・~春を愛する人は・・・~」「おーい、電話機返してきてから歌って」「何か言った?」「先に電話機を返してきて」「分かった。・・・今村です。終わりました」200704c.jpg
(雨に濡れ水玉がきらめくキンシバイの花。)

薄雲の向こうに日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.3)
(アルツハイマー)

薄雲の向こうに日の出。天気予報は曇りだったが、上空に広がり始めた青空。200703.jpg

遊歩道で餌を啄んでいたスズメ、散歩の人が近づけば急いで逃げた頭上の木。200703a.jpg

餌を与えに来たかと思えばただ近寄っただけ、餌も与えず飛び去ってコスモス畑の上を旋回するツバメ。200703b.jpg


『徘徊の疑似体験』 (2020.7.3)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「電話機を届けてくれた人がジェスチャーで終わったら連絡してって言っていた。寝ていて怖い夢を見た。手賀沼から坂を登ると家だよね。家の前を神社と反対の方へ行くと広い道」「356だね」「右へ行くと少し賑やかなところ。左に曲がって天王台の駅前を右にい行くと病院。線路の方に車を止めて表から入った。途中で途切れたから場所が分からなくなった。その内どこにも行けなくなって帰って来た」「どこへ帰った?」「ベッドに戻っていた。夜寝ていた時と朝起きた時では場所が違うからどこにいるか判断できなくなる。家の前から356に出て東へ曲がり、中学のところを手賀沼の方へ左折、当てずっぽうに歩くと神社に出た。あなたが居る家は近いから行こうとすると途中で行けなくなった」「全部夢?」「夢だよ。あなたが恋しくて行こうとしても、どこへ行けばいいか誰にも聞けない。困って、恐ろしかった。朝になったらベッドに帰っていた。世の中は伝染病で大騒ぎしているね」「今日は東京で感染者が100人を越えたとテレビで言っている」「私みたいに夢の中で歩き回るのは感染しないよね」「夢の中で歩き回っても、どこにも行っていなから大丈夫だよ。自宅にいる人が、夢か現実か分からなくなって外に出て迷子になるのはよくあること。グループホーム寿にいたら職員さんが見ていてくれるから、勝手に外に出て迷子になることはないよ」「夢の中で迷子になると恐ろしいが、目が覚めるとベッドの上にいて、ああよかったと思うよ」「あんたは夢の中で徘徊の疑似体験をしたんだ。徘徊して迷子になった人の気持ちも同じだろうね」「私はグループホーム寿にいる自覚がなくて外を歩く夢が怖いけど、ここにいたら大丈夫だね。夢の中じゃそれを忘れているから怖いよ」「夢の話を聞いていたら時間になった」「電話機を返してくる」「その前に歌を鳴らして」「・・・鳴ったよ」「じゃあ電話機返してきて」「・・・今村です。電話終わりました」200703c.jpg
(遊歩道を越えて飛んできて、何度も背伸びはするが鳴かないキジ。待って待って、8分経ってやっと鳴いて羽ばたく)

雨は上がり、もうじき晴れてきそうな空模様

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.2)
(アルツハイマー)

雨は上がり、もうじき晴れてきそうな空模様。200702.jpg

広場にうずくまって待っているツバメの子たち、戻ってきて子どもに餌を与える親ツバメ。200702a.jpg

広場を低く旋回して餌を探す親ツバメ、戻って来て代わる代わる子どもに餌を与える。200702b.jpg


『何の手紙?』 (2020.7.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「何の用事? ご飯のあとダウンしていたら手紙が来たって言われた。何の手紙?」「寝ぼけてるね」「あなたが手紙をよこしたの?」「私が電話したから、事務所の人があんたに電話機を持って来てくれたの」「電話?」「いま電話で話してるじゃないの」「声は聞こえるよ。電話機は?」「手に持って耳に当ててるでしょ」「これか。手紙は?」「手紙は出していない」「どこにいるの?」「高野山の自宅」「あなたは帰ってこないじゃないの」「どこへ?」「ここ」「伝染病が流行っているから面会に行けないの」「ああ、つまんないなあ」「今度の日曜日に会いに行くよ。あんたは体操をする広い部屋の南側の窓の内側、私は駐車場にいて会えるの」「玄関を回って駐車場へ行けばいいの?」「外出禁止だから外へは出られない。あんたは窓ガラスの内側にいて、私は外の駐車場。ガラス越しの面会だよ」「つまんない面会だ。ずっと待っているから抱きつきたい気分なのに。いつ?」「7月5日の午後1時30分を予約した」「私はどうしたらいいの?」「職員さんが連れて来てくれるから大丈夫」「会えると分かっただけでいいか。その内外出禁止が解除になったら家に行ける?」「解除になったら娘たちを呼んで、家で食事をしたり話をして、近くに散歩に行こう。夕方になったらあんたはグループホーム寿に戻り、子どもたちはそれぞれの家に帰る」「どこに住んでる?」「Aは八王子、Lは横浜」「あんたは?」「一人で家に残る」「いつになったら帰れる?」「分からない」「簡単じゃないね」「やっと目が覚めてきたら時間になっちゃたね。歌を鳴らそうか」「スイッチオン、CD押した、はいスタート。・・・鳴ったよ」「出来たね」「あなたが買ってくれたラジオだから毎日使うよ。壁に使い方の絵が貼ってある。歌は鳴らしておく。また電話してね。寝ちゃってデタラメのメだったね」「電話機返してきて」「・・・今村です。終わりました」200702c.jpg
(マユミの木の幹に何度もジャンプするスズメ、幹に虫でも見付けたのだろうか。)

背伸びしなくても撮れるようになった沼

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.7.1)
(アルツハイマー)

高台に差し掛かれば、きれいに刈った草地、笹と葛の蔓に覆われていたドウダンツツジもきれいに剪定。背伸びしなくても撮れるようになった沼。200701.jpg

行く手に飛んできたスズメ、私が邪魔なのか首を傾げてこっちを見る。仕方が無いから遠回り。200701a.jpg

餌を啄むスズメの周りに飛来したムクドリ数羽。場所を譲りサッサと遠ざかるスズメ。200701b.jpg


『声が近いね』 (2020.7.1)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「声が近いね。近くにいるの?」「高野山の自宅にいるから近いよ」「私には遠い。午前中疲れたからお昼の後は眠った」「目が覚めたばかりで記憶が飛んでいないだろうね」「自分じゃわからない。近くにいるでしょ、坂の上の家?」「そうだ」「悔しいね。ここは自分の家じゃない。あなたは自分の家だけど私はよその家。自分の家みたいなものか。行き方を絵に描けって言われたら描けるよ。家の前を北へ行くと広い道」「その道は356」「近いね。今何してる?」「あんたに電話してる」「それは分かってる。私はベッドに寝てあなたと電話してる。その前には?」「お昼の仕度をして、食べたら洗い上げをして、家の中の雑用をした」「ここまで直線で来ると何メートル?」「よその家の屋根の上を飛んで直線で来れば800m」「アハハ。歩いたら?」「356を歩いてきたら1250m」「何分?」「20分とちょっとかな」「私は下を通って家に行く道を思い出す」「手賀沼の遊歩道を散歩したことが多かったからね」「昨日はお祭りがあった。外に出られないから部屋の中で、・・・お遊び会かな。何をしたか分からない。色々な行事が終わるとやれやれだ。行事は好きじゃない。私だって80だもの」「あと三ヶ月でね」「そのくらいいいじゃん。私は退職したらどこに行くの? 家に帰るの?」「そこはグループホーム寿、施設だから退職はないの。ずっといていいの」「えっ、ここはどこ?」「市役所の前から356に向かって坂を上り、コナカの手前を左に入ったところ」「だんだん道が分かってきた。私はここにいて、もう一緒には住めないの?」「近くにいるから、伝染病が治まったらしょっちゅう会いに行くよ。家にいると伝染病が心配だが、そこにいたら安心だよ」「隔離されてるから? そのことはよかったよ」「時間になった」「とりとめも無い話しでごめんね。元気に頑張るから大丈夫だよ。電気入れるから・・・鳴ったよ」「電話機返してきて」「・・・事務所に着いた。・・・終わりました」200701c.jpg
(妻が好きな沼を一望できる高台。沼から吹き上げる雨交じりの強風、波立ち荒々しい水面。)