子ども5羽を連れてきたコブハクチョウ母さん

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.30)

(アルツハイマー)

刈られた草がもう伸びたと知ってかお気に入りの場所へ、子ども5羽を連れてきたコブハクチョウ母さん。200530.jpg

何かを警戒してか囀るのを止めたホオジロ、隣の枝に来て威嚇するように動き回るムクドリ。200530a.jpg

ホオジロを追い払ったムクドリのペア。200530b.jpg『今どこを歩いているの?』 (2020.5.30)
トイレ中だったので5分後に掛け直した昨日午後の妻との電話。「もしもし」「は~い」「今どこを歩いている?」「家にいるよ」「トイレから戻ったらあなたが歩いてくるって言われて待っていた」「電話したらトイレ中だったので5分後に掛けるように言われた。歩いて来るじゃなく、電話が来ますって言われたはず」「人に伝えるって難しい、私には歩いて来るって伝わった」「今は面会禁止で、歩いて行くはずがないよ」「来るのじゃないなら電話は要らない」「そう、毎日電話しているけどもうやめてもいい?」「いやー。電話して。あんたが歩いてくるのを待っていたから言いたくなったの。いつ来るかいそいそしてたのに来ないもの。声を聞くだけでも嬉しいよ。駐車場の向こうの広い道を市役所の方に下って、東へ曲がって、坂を登れば家だね。家から手賀沼へ行く道は?」「Aさんの家の方へ降りてもいいし、藤棚の方へ降りてもいい」「急に言われたってごちゃごちゃして分からない。どうだっていい、手を繋いで歩きたいだけだよ。アハハ。あなたのご用は何?」「今日も元気か声を聞こうと思った」「来てよ」「伝染病が治まって面会が解禁になるまでは行けないよ」「中国から来た伝染病だね。厄介だ。同じ屋根の下を歩くだけだ。家までの地図を書いて」「頼まれたからノートに書いた」「どこにある?」「あんたの部屋」「私も困ったものね。私は中島だったのに何で今村になった?」「結婚したから」「あんたは変な奴と結婚したね。アハハ。市役所の方へ下って橋の手前を左に行って、神社の方へ坂を登ったところが家」「あんたの道の話し、あちこちに飛ぶね」「あんたも一緒に飛べばいい。道はまだ憶えている。まんざら棄てたもんじゃない、まだ頭の中にある」「そうだね。ぼつぼつ歌を鳴らして、電話機を返してきて。明日も電話するよ」「ありがとう。会える日を待つよ。・・・歌、聞こえる? 鳴ってるから走って返してきて歌うね。・・・電話終わりました。ありがとう」と、ちょっとハイになっていた妻。200530c.jpg
(のんびりと交互に羽繕いしていたヒヨドリ二羽)

少し延びた草を啄むコブハクチョウ親子

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.29
(アルツハイマー)

市民農園跡の畑の脇、少し延びた草を啄むコブハクチョウ親子。200529.jpg

レンズを向けたらパッと飛び立ったホオジロ。200529a.jpg

背伸びしてひと声鳴いて羽ばたいたキジ。200529b.jpg


『夢か空想だったのか』 (2020.5.29)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はいはい」「お昼ご飯の後ベッドにころがって寝ていた。どこかへ行ってきて疲れた」「今は外出禁止で、何処にも出掛けていないはずよ。夢を見て、その続きを空想してたのかな」「夢か空想だったのか、それでちょっと楽になった」「もしかしてS姉さんのご主人の通夜にでも行く積もりだったの」「亡くなったの? 知らなかった」「一昨日話して昨日は憶えていたよ」「忘れたんだ。お姉さんかわいそう、辛いだろうな。仲のいい夫婦で、頑張ったよな二人で。誰も死ぬからしょうがない。反面、自由にはなるよ」「S姉さんは合戸の施設に入っていて、脚が弱らないように部屋の中を一生懸命歩いてたって、見舞いに行ったN姉さんが言ってた」「それは利口だ。家族が介護するとわがままが出てうまくいかない。施設に入っていたほうがいい。どんなに惚けたって他人と家族の区別はちゃんと出来る。何も分からなくなったようでも遠慮することは分かる。怒る人だって、分かった上で怒ってるのだと思う」「一昨日電話で演説したことと同じだ。昨日は思い出せなかったが、今日は思い出したようだね」「関係あることを話していたら思い出しても、頭の中で関係ないときは思い出せない。あなたは元気?」「元気だよ」「元気でいてね。家族が欠けると辛いよ」「私が先に死んだら、あんたは笑顔で見送ってくれると言ったよ」「それはいつも考えている。心の中で泣いてもそれを外に出さないで、穏やかに送り出してから泣くよ。見る人が見たら陰で泣いてるって分かる。仲のいい人との別れは辛いよ。あなたは元気でいてね。いつもそう思っている」「電話機を返す時間だ。歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「よっこらしょ。・・・ランプが点いてCD押したが鳴らない」「矢印押して」「鳴ったよ。電話機返してくる。・・・係の人が誰かを連れてトイレに行った。・・・あっ、走って来る。・・・電話終わりました」200529c.jpg
(ただひたすら囀り続けるホオジロ、駅前で演説する議員のように。)

子ども5羽を連れて来たコブハクチョウ母さん

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.28)
(アルツハイマー)

子ども5羽を連れて来たコブハクチョウ母さん、「やっぱりクローバーはないね」ときょろきょろ見回す。200528.jpg

シジュウカラが繁った葉の間に見え隠れ、やっと撮ったら次ぎの瞬間ヒヨドリに入れ替わる。200528a.jpg

一昨日と同じ木の同じ枝で囀っていたホオジロ。200528b.jpg


『家に帰りたいよ』 (2020.5.28)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はーい。天気がよくなったね」「天気はいいけど惚けている。行くところに行っていない気がする。いま、行くところの人が電話を持って来てた。何で来たのか分からない。少し眠ったようだ。いま、目を開けたらここがどこだか分かってきた。窓の外を見たら駐車場、その先は手賀沼の方へ下る道。橋の前で東に行ったら家に帰る道だ。さっき電話を持って来てくれた人がご主人から電話だと言ったが、私がうろうろしていたからあなたに連絡したのかと思った。最後の日だよね」「何のこと?」「今から手賀沼の方に行く」「いまは外出禁止で外に出られないよ」「なぜ?」「伝染病が流行っているから」「中国から来た伝染病と関係してたのか。じゃあここにいるのね」「そう、その部屋があんたの家。昨日あんたは電話で演説してたこと憶えてる?」「何って言った?」「グループホーム寿に入れてよかった。家族が介護するより施設に入ったほうがいいって言ってた」「へー、そんなこと頭にない」「S姉さんのご主人が亡くなったことは?」「それは憶えている。いま中国から電話してるの?」「違う、高野山の家」「二人で建てた家?」「そう」「家に帰りたいよ。一人でいると、あなたがどこかへ行っちゃったと思う。ここで一緒に住みたい」「私はそこへ泊めてもらえない。伝染病が治まったら面会に行くし、子どもたちが来たときは日帰りで家に来て、一緒に話したり食事したり出来るよ。夜はそこに戻って自分のベッドで寝る」「ここは私を預かった施設ね、よく分かった。あなたに会えないと生きて行けない」「毎日電話するし、面会が解禁になったら面会に行くよ」「家にも行けるのね。ここの人の言うことをよく聞くよ」「歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「靴を履いた。・・・CDを鳴らしてきた。聞こえる?」「聞こえる」「電話機を返してくるね」と、前日の悟ったような演説はもう忘れ去っていた妻。200528c.jpg
(ご機嫌斜めかキジの雌、草むらから出てこない雌を鳴いて羽ばたき呼ぶ雄のキジ。)

雨が降って来そうな暗い曇天

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.27)
(アルツハイマー)

雨が降って来そうな暗い曇天、傘も持たずに歩く散歩の人を見て、大丈夫だろうと歩き始めたら折り返し点付近からポツリポツリと雨。200527.jpg

市民農園跡のクローバーは刈り取られ、田んぼに入っていたコブハクチョウ親子。網を張った田んぼの周りを延々と遠回りして。200527a.jpg

キジの姿を見付けたが、待っても待っても鳴かない雄、直ぐ近くにいたのか草むらから現れた雌のキジ。200527b.jpg


『いつもと違う妻』 (2020.5.27)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はーい。昨日あんたのS姉さんのご主人が亡くなったと娘のYちゃんから電話があった。コロナ伝染病が流行っているから来なくていい、お知らせだけすると、膵臓癌で治療中だったが肺炎で昨日亡くなったことを聞いた」「悲しいね」「あんたたち姉妹を代表して地元にいるNさんとHさんが行ってくれると、あんたの妹のMさんが連絡してくれた」「そうか。私は今どこの施設にいるの? 分からなくなった」「高野山の家の直ぐ近く、グループホーム寿にいる。あんたが入りたかった施設だよ」「そうか、人生色々な終わり方がある。私の人生の結末を、この施設に入れてよかった。ボランティアで家族が介護してる人をいっぱい見たが、家族同士だとわがままが出て、やさしいようで憎み合うようになる。ここにいたら面倒見てくれる職員さんは優しいし、時々あなたが会いに来てくれたら幸せ」「伝染病が治まって面会が解禁になったら面会に行くよ」「そうだと決めたら気持ちが落ち着いた。いま鏡台の前に座ってるけど、私がずっと使っていた鏡台をAとLが持って来てくれと聞いたのを、朝夕に鏡を見るたびに思い出す。私一人用に広い部屋を与えられ、私の洋服が置いてあって、平和的だよ。家族だとわがままになったり面倒がるようになるのを見てきたから、家を離れるのは大切だと思うよ」「私たちは家族が憎み合ったり、面倒がったのではなく、二人が年を取り過ぎて一緒に暮らせなくなっただけ。伝染病が治まって面会できるようになったら会いに行くし、子どもたちが来たときは家に来て、みんなで楽しく夕方までを過ごすことも出来る」「夕方は嬉しかった気分のままベッドのあるここに戻るのがいい。仲良く過ごしたときがあったと思うだけでいい。そう思うと泣けてくる」「泣かないで」「泣いてごめん。一緒に死ぬことは出来ないが、みんないつかは死ぬ。あなたが先に死んでも泣かないよ。笑顔で送ってやる」「そう頼むよ」と、義兄が亡くなっていつもと違う妻だった。200527c.jpg
(昨日朝ホオジロが囀っていた繁みの上、静かになった今朝はちょこんと止まっていたカワラヒワ。)

僅かに残ったクローバーを啄む子どもたち

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.26)
(アルツハイマー)

刈られてしまった市民農園跡の草地、僅かに残ったクローバーを啄む子どもたち。200526.jpg

鳴いて羽ばたき尾羽を広げたキジの雄。200526a.jpg

飛んできた二羽のハシボソガラス、頭上の繁みを覗いて鳴けば、頭上からも掛け合い漫才のように鳴き声。200526b.jpg


『ここにいるのはもう限界』 (2020.5.26)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はーい」「あなたの声を聞いて半分泣いている。ここにいるのはもう限界、もう働けないもの」「そこでは、あんたは働かなくてもいいんだ」「何でここにいるの?」「二人とも年を取って出来ないことが増えた。あんたが救急車で運ばれたり、入院したり、目眩や吐き気で病院に連れて行くのが私には難しくなった。二人一緒に暮らしていると共倒れになりそうだし、子どもたちにも迷惑がかかる」「子どもには迷惑を掛けたくなかった」「だから施設に入りたいと何度もあんたに言われた。ケアマネージャのMさんが紹介してくれたところを二人で見学して申し込んだ」「そのことは憶えている」「その後、膵炎で我孫子東邦病院に緊急入院し、目眩や吐き気の頻度も増えて困り果てていた去年12月、空きが出来てグループホーム寿に入所することになった」「憶えていない」「1月12日入居を決めていたが、正月に膵炎を再発してJAとりで総合医療センターに入院した。入院中に色んな記憶を失い、ここに入所することも思い出せなくなった」「入院したような気がする」「退院して直ぐグループホーム寿に入所したが、そのことも憶えていなかった。2月末まで毎日面会に行き、伝染病流行で面会禁止になってからは毎日電話してるよ」「憶えていない」「入所したら生活支援、健康管理、夜の見回り、平和台病院の先生の訪問診療もあって、入所後は目眩や吐き気もなくなったし、膵炎も再発していない」「自分でも元気になったと思う。ここにいると、私が働けなくなって迷惑を掛けると思って、出て行かなくてはならないと思った。ずっとここにいられる?」「ずっといていい」「私が倒れるまでいていいのね、ここが入りたかった施設なんだ。嬉しい」「安心してここにいてね」「私のために苦労掛けてごめんね」「あんたは大事な人、気にしなくていい。歌のリハビリをしよう、歌が鳴ったら電話機返して」「・・・鳴ったよ。電話機返してくる。・・・終わりました」と泣き声で電話機を返す妻。200526c.jpg
(昨日より低い枝まで降りてきて囀るホオジロ)

立ち止まり鳴いて羽ばたいたキジの雄

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.25)
(アルツハイマー)

立ち止まり鳴いて羽ばたいたキジの雄、雌がいるのか背を低くして畦道を走る。200525.jpg

首を伸ばしじっと先を見詰めていたアオサギ、さっと獲物の近くまで飛んでまたじっと見詰める。突如振り下ろした嘴に咥えていたのはザリガニらしい。200525a.jpg

ビオトープで一番背の高い木の天辺、天を仰ぎ囀り続けていたホオジロ。200525b.jpg



『今日はご馳走になった』 (2020.5.25)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はーい」「今どこ?」「家」「ここに私がいるってどうして分かった?」「いつもグループホーム寿にいるから」「何でわざわざ私を呼んだの?」「呼んだって、どこに?」「今日はご馳走になった。おいしい弁当だった。お客様をお呼びしてって言われたから、私はお客様として呼ばれていると思って、お客様として挨拶もした。戻ったら電話が来た。部屋には私のものが色々あって何が何だか全然分からない。東京から招待され、駅に着いたら迎えが来てここに来た」「駅に行ったのは夢か想像だろうね。いまは外出禁止で外に出られないから。ご馳走を食べた?」「食べた、おいしかった」「昼ご飯前に眠って、ご飯だよって起こされ、駅に迎えに来たと思ったのかな」「何が何だかわからない。ここに戻ったら、静岡に来たからもういいかと思った」「たぶん夢の途中で起こされて、寝ぼけたままの空想だろう。分からなくてもいいよ。心配しないで」「私はずっとこの部屋にいればいいの?」「そう。いまは面会禁止で会いに行けないから毎日電話してるからね」「ここの人の言うことを聞いていればいいのね。今村様って書いたティッシュの箱をくれた」「なくなりそうだから職員さんに私から頼んだよ。ここでは生活支援、健康管理、夜の見回りもやってくれるから安心してね。いまは伝染病が流行っていて面会禁止だから会いに行ってあげられないけど、伝染病が治まったら毎日面会に行くし、子どもたちが来たときは家に戻ってみんなで話をしようね」「少し頭が整理できた。今日は楽しい食事でよかった。職員さんが色々やってくれ、ここが私の立ち位置だと思っていいのね。他に行くところもないし、言われたらよろしくお願いしますと言うよ。ここで息をして元気に生きるよ」「夢から戻ったようだから電話機返してきて」「分かった。・・・電話終わりました」と職員さんに代わる。今日は外食に行く日だったが、外出できないので職員が頑張ってご馳走を作った食事会だったと。200525c.jpg
(枝が揺れ、ご馳走を咥えて飛び立ったヒヨドリ。どこへ行って食べるの?)

コブハクチョウに道を塞がれ遠回りした釣り人

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.24)
(アルツハイマー)

クローバーを食べさせに子どもたちを連れ来たコブハクチョウに道を塞がれ遠回りした釣り人。200524.jpg

飛び回るツバメの姿が撮れなくて、電線に止まったのを撮ろうとしたら、レンズに気付き逃げられた。200524a.jpg

頭上から鳴き声が聞こえても姿が見えず右往左往、隙間にやっと見付けた囀るホオジロ。200524b.jpg


『頭がふらふらする』 (2020.5.24)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はーい」「近くていいね、手が届きそう」「どこと?」「太陽が当たらない東側の窓からあなたが来るのが見えるような気がした」「私は高野山の家にいるよ」「高野山は近いけど手は届かなくて遠いよ。お昼ご飯食べて、何となく頭がふらふらするから寝ようとしていた。ドアをノックして電話機を渡してくれた。鏡台の前に座って電話機を耳に当てているが、頭がぼーっとしていて、何となく寝たい。どっちが電話した?」「私が電話した」「そうだったか。窓の外を東に行って、広い道を下って手賀沼近くで東に行って、坂を登ると家に行ける。頭がガーンとしている。だから寝ようとしている。何が悪いのか分からない。ただ頭がふらつく。目をつぶっていて、目を開くとふらつく」「早く治るといいね」「風邪かなと思う」「風邪と思ったら職員さんに言いなさいね」「言う言う、でも熱はない。ここは手賀沼へ下る道の西側にある。ここは私みたいな人を入れてくれる施設、何だった?」「グループホーム寿」「そうだった。一休みしたら回復するかもしれない」「天気のせいかもしれないね」「そうかもしれない。いまはただ一眠りしたい気持ちだけ、何だろうかな。東を向いて目を開けたら明るい。頭が重い感じ。手紙を整理しようと思って一つ手に取ったらAさんからだった。グループホーム寿内の私宛になってる。めんどくさいから今日は整理しない」「じゃあ早く寝るようにしよう。また明日電話するよ」「ああ、目を開けると眩しい。大丈夫だと思うから心配しないでね。心配なら一眠りした後に電話して」「今日も声を聞けたからいいよ」「そう言われると涙が出るよ」「じゃあ電話機を返してきて」「そうだったね。よっこらしょ。お尻が重い。いまドアを開けた。玄関の手前に来た。済みません、終わりました」と職員さんに代わる。「今日は頭がふらついて風邪みたいだと言っていました。熱はないようです」「分かりました。様子を見ておきます」と。200524c.jpg
(葉の間をちょこまか動き回り、相棒を呼んでいるのか鳴くスズメ。)

また降ってくるのか霞み始めた対岸の丘

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.23)
(アルツハイマー)

また降ってくるのか霞み始めた対岸の丘。200523.jpg

若葉が繁って狭まった沼を望む隙間。岡発戸新田の突端付近、いつの間にか増築された釣り人の城。200523a.jpg

ちょこまかとせわしく歩き回るムクドリ。勢い余って行き過ぎて、振り返って餌を拾う芝生の上。200523b.jpg


『なんでここに来たの?』 (2020.5.23)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はいはい。いま、JAとりで総合医療センターの駐車場にいる。予約時間より早く着いたから電話した」「いま、手賀沼コンテストのパンフレットであなたの写真を見ていた」「それは一昨年応募したものだ。私の写真だけじゃなく、他の人の手賀沼の写真もたくさん乗っているからあんたにあげた」「返さなくてもいいのね。今晩が最後で、明日は家に帰るの?」「伝染病が治まるまでは帰れないよ」「なんでここに来たの?」「二人とも年を取って出来ないことが増えて一緒に暮らすと共倒れになる。子どもにも面倒を掛けたくないから、ケアマネージャの紹介でグループホームを二人で見学し、申し込んだ。あんたは去年から膵炎で二度も緊急入院したし、目眩や吐き気で何度も病院に通った。私も衰えて緊急の時にあんたを助けられなくて困った。去年12月、グループホーム寿に空きが出来て、今年1月に入所出来た」「あなたはどこに住んでる?」「高野山の、二人で建てた家」「坂を登ったところだね」「そう」「あなたはそっちに住んで、私はここにずっといるの? もう家には行けないの?」「伝染病が治まったら迎えに行って、日帰りで家に来る」「そのときはAやLも来てくれる?」「来てくれるよ」「泊まれないの?」「グループホーム寿にいたら、生活や健康管理、夜の見回りもやってくれる。あんたは寝る場所が変わると睡眠障害になるから夜はグループホーム寿の自分のベッドで寝るの」「初めて聞いた。やっと理由が分かった」「あなたが住んでるのは利根川の方?」「それはあんたが去年まで通ったロイヤルのデイケアや和楽園のショートステイだ」「ああそうか。あなたは私たちが建てた家にいるのだね」「そう。病院の予約時間が近くなった。CDラジオを掛けてから電話機を返してきて」「・・・CD押したらラジオが消えた」「矢印を押して」「鳴った」「電話機返して戻ったら歌ってね。頭のリハビリになるよ」「分かった。・・・済みません、電話終わりました」と職員さんに渡して切れた。200523c.jpg
(高台からの帰り道、草生す小径の脇に咲いていたドクダミの花。)

クローバーを啄んでいたコブハクチョウ親子

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.22)
(アルツハイマー)

桃山公園の高台から市民農園跡を見下ろしたら、今朝もクローバーを啄んでいたコブハクチョウ親子。200522.jpg

早起きの子どもたちがサッカーの遊びを始め、一斉に斜面林を越えて逃げたムクドリ。一羽だけ近寄って来て小径を闊歩。200522a.jpg

広場のマユミの木に咲いていた花。近寄ってみれば、あっちにもこっちにも虫たち。200522b.jpg


『もう退職していたんだ』 (2020.5.22)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「は~い。寒くなかった? 仕舞った布団を出した?」「出した。着るものもセーターやチョッキを重ねて着た」「私の方も寒かった」「あなたも寒いかなって気にしていた。今どこにいる?」「家」「会社へは行かないの?」「行かない」「もう退職していたんだ」「20年も前だよ」「私の体調が治ったと太鼓判を押されたら家に帰られるよね。家はAさんの家の前から坂を登ったところ、二人で建てた家だね」「そう」「風邪を引いてないね」「引いていない。昨日から暖房を入れた」「ここはガタガタ震える寒さじゃないから暖房を入れていると思う。窓の外には背の高い垣根があって、先には駐車場が見える。頭の中では、その先は広い道。下ると市役所で、手賀沼の橋の前で東に曲がって、Aさんの家の前から坂を上がると家。家の前を通り過ぎて356に出て、東に行くと中学、右に曲がると日立の研修所を通って手賀沼へ降りる。家から356に出て西側にはコンビニとレストラン、道の向こうはお寺。頭の中ではいつも見に行くけど、行きたいのは空想の中の家じゃなくて現実の家。私は風邪を引いていないと思う。体温を測ってOKだと言われた。テーブルの上にはCDラジオがある」「自分で動かせる?」「動かせるが、関連のないときは忘れる。関連があるときは思い出す。あなたが撮った手賀沼の写真のパンフレットもある。ノートもある。あなたと私の写真もある。私は若く写ってるが、あなたは年寄」「夫の顔を忘れたと言ったから送った写真だ」「誰か来たら見せてやるよ。私は頭が変になって、お前はもう要らないって言われたら行くところがなくて困るといつも考えてる」「あんたは物忘れしても大事な人。そんなことは絶対言わないから心配しないでね。CDラジオで歌を鳴らしてから電話機を返してきて」「・・・鳴らしたよ。聞こえる?」「聞こえる」「電話を返してくるね」「職員さんに代わって」と頼み、明日は私が病院に行くから電話は遅くなると伝えた。200522c.jpg
(妄想の中ではたびたび高台から沼を眺めている妻。家に帰ろうとしたら自宅が見つからず、更地になっていたと泣いたことも。)

クローバーを食べに来たコブハクチョウ親子

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.21)
(アルツハイマー)

市民農園跡にクローバーを食べに来たコブハクチョウ親子。近くにハシブトガラスが来たら頭を上げた父さん母さん、一ヵ所に集まった子どもたち。200521.jpg

浮上したカワウの嘴には大きすぎた獲物、何度も水に漬けて咥え治し、頭から飲み込もうとするが飲み込めない。200521a.jpg

遊歩道脇の木に止まり、撮ろうとすればパッと逃げる。撮るのを諦めたら目の前でポーズするシジュウカラ。200521b.jpg


『声を聞いたら涙が出る』 (2020.5.21)
妻に電話したらトイレ中、5分後に掛け直した昨日午後。「もしもし」「は~い」「あなたの声を聞いたら涙が出る。我孫子にいるんでしょう? 行って見たい」「泣かないで」「ずっと我慢していた泣きだもの、泣くよ。あなた元気?」「元気。泣いたらおかしいよ、アハハ」「笑い声は前と変わっていない」「変わらないよ」「変わったら大変、お前なんか知らないと言われたら困る。泣かないようにするよ。私はどうしたらいい?」「今は伝染病が流行っていて外出も面会も出来ない。伝染病が治まるまで待っててね」「耐えて待つしかないのか」「面会と外出が解禁になったら日帰りの帰宅は出来る」「そのときは迎えに来てね」「迎えに行くよ」「私の夫はあなただったよね。私は直ぐ近くにあなたを置いて来ちゃったのね。ごちゃごちゃと色々混じっていて泣いたけど、泣かなくてもいいのね。すっきりさせたい。高野山に建てた家にいるのね、帰りたい。こっそり行ったら叱られる?」「外へ出て伝染病に感染したらみんなに迷惑を掛けるし、あんたも苦しいよ」「会社の人はどうしてる?」「自宅で仕事をしてる。Aだって会社の近くに住んでいても自宅で仕事をしている」「とんでもない時代になった。近くにいても行くも来るもダメ」「私だって二人で生活したかったが、二人とも年を取って出来ないことが増え、そのままでは共倒れになっちゃう。子どもにも迷惑を掛ける。そうならないようにあんたはグループホーム寿に入ることにした」「共倒れになって子どもに迷惑を掛けたくないし、生きながらえないと会えないね」「生きるためには生活の手助けがいる。グループホーム寿にいたら生活の支援も健康の管理もしてくれる。伝染病が治まったら時々家を見に来ることも出来る」「ここにずっといてもいいの?」「いいよ。ぼつぼつ歌を歌おうか」「・・・自分でCDを鳴らして来た。~春を愛する人は・・・~」「一曲歌ったから電話機を返してきて」「行くところは知ってるよ。・・・ここ。済みません、終わりました」200521c.jpg
(こっちをじっと見詰めるツバメ、なぜか不安げに見えた眼差し。)

ザアと来て見る見る消えた対岸

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.20)
(アルツハイマー)

ザアと来て見る見る消えた対岸、若葉が茂りネコらしくなったネコの木。200520.jpg

雨が降っても来ていたムクドリたち。傘を差し犬の散歩の人が来れば一斉に飛び立ち、市民農園跡に降りていったムクドリたち。200520a.jpg

高台から見下ろした市民農園跡、クローバーを啄むコブハクチョウ親子。200520b.jpg


『あなたが来てくれない?』 (2020.5.20)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「眠ってはいなかったがベッドで休んでた。草臥れた。何で草臥れたか思い出せない。どこにいるの?」「家」「行きたいな」「伝染病が治まったらね」「私が行けないならあなたが来て」「今はあんたに面会できないし、あんたも外出できない」「伝染病はどうなってるの?」「大分治まってきたが、まだ緊急事態は解除にならない。午前中は何をした?」「知らない。ぼーっとしていて分からない。部屋が片付けられているから掃除をしたと思うよ。昨日は布団をたたんで押入れに入れ、ベッドの上には厚手の毛布が出してある。それで寒くない。寝てるしかやることがないからベッドにころがってる。会いたいなぁ、あなたが来てくれない?」「私も外出を自粛してずっと家にいる」「どこにも行かないの?」「たまにコンビニに行くが、人には会わないように気をつけて、マスクを掛けて行くよ」「一人でかわいそうだね」「時々、学生時代同じ下宿だった同級生が電話してくれるよ」「昨日夢を見た。市役所から手賀沼を東に行くと家の近くまで行けた。なーんだ行けるじゃんと思ったら夢だった。目が覚めているときは、時々窓を開けると空気が入ってくる。しばらくしたら閉める。昨日、広い部屋に誰かが来ていて、外の人とは会ってはいけないけど会った。誰だか分からないから夢だと思う」「もうちょっと時間があるから1~2曲歌を歌って聴かせてよ」「歌うよ。スイッチを入れてCDを押した。次は矢印?」「押した?」「押したけど鳴らない。あっ、鳴りだした。~春を愛する人は~」「次はふるさとだよ」「~兎追いしかの山・・・水は清き故郷~ 歌うと気分がいいよ。一緒に歌う?」「もう電話機返して来て、あとは一人で歌って」「一人じゃつまらない」「CDに合わせて歌えば一人じゃない。歌を歌うのは頭のリハビリだよ」「じゃあ返してくるね。・・・終わりました」「もう終わったの?」「返して来いって言われちゃった」「そうなの」と職員さんとの会話。200520c.jpg
(雨に濡れても元気よく泳いでいた鯉のぼり)

寂しさだけが押し寄せてくるような雨の朝

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.19)
(アルツハイマー)

寂しさだけが押し寄せてくるような雨の朝。自粛生活続きで、ふと日本語をしゃべれるだろうかと不安になる。200519.jpg

雨に濡れただじっと垂れ下がって、泳ぐことも出来ない鯉のぼり。200519a.jpg

雨だって来ていたムクドリたち、公園の片隅で餌探し。200519b.jpg


『やっと目が覚めてきた』 (2020.5.19)
昨日午後、「ダーリンからよ」と言われ電話機を渡された妻、「もしもし、今村でございます」「何だよ」「やっと眠りに入って誰だか分からなかった。昼ご飯食べて、・・・分からないことがいっぱい。全部分からなくなった。落ち着くと直る。・・・やっと目が覚めてきた。あなた今何してる?」「お昼ご飯食べて、あんたに電話してる」「ここから近くにいるよね、だけど会えないのは仕方ない。それより、活動が自由にならないから心が折れる、外を見たら雨が降ってる。みんなと一緒にいてもやることはない。何でここにいるの?」「二人とも年を取って、二人で暮らすと共倒れになる。子どもたちの世話にはなりたくないから施設に入りたいって、あんたはグループホーム寿に入ることになった」「そうだね。ここにいたら全部やってもらって楽だけど、あなたは?」「家に残って、自分でやってるよ」「私はここにずっといていいの?」「いいよ」「私ばかり楽をするのは不公平だね。生きて行くのは二人の責任だから、ここで二人とも面倒を見てくれないの?」「私は入れてもらえない」「なぜ?」「私はまだ自立して生きられるから、支援は認められない。もっと出来ないことが増えて、支援が必要だと認められたらヘルパーに来てもらったり、もっと出来なくなったら何処かの施設に入れてもらえるだろう」「あなたが自立して家を守っていてくれたら、私は時々家に行けるよね」「伝染病が治まったら迎えに行って、時々家を見に来ることが出来るよ」「今はあなたが電話してくれるのが一番嬉しいよ。ここで共同の生活をしていると自分のことを出来ない人もいるし、出来る人が率先してやれない人のこともやる。私にはまだその能力がある。集団の中で面倒見てもらうのが一番いい。まだ自分でなんでも出来るつもりだが、こういう施設があって助かる」「ぼつぼつ歌を鳴らそうか」「自分で出来るよ。・・・CD押したが音が出ない」「矢印押した?」「うん、・・・鳴った。電話機返してくる」と事務室に向かった妻。200519c.jpg
(広場の小径に溜まった雨水、キジバト二羽が来て無心に水浴び。)

遊歩道を横切るコブハクチョウ親子が通せんぼ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.18)
(アルツハイマー)

遊歩道を横切るコブハクチョウ親子が通せんぼ、スマホやカメラをかざす散歩の人たち。200518.jpg

同じホオジロだろうか今朝も同じ木に。200518a.jpg

急角度で水面にダイビング、浮上するや大きな獲物を頭からのみこむカワウ。200518b.jpg


『あなたの施設はどこ?』 (2020.5.18)
妻との昨日午後の電話、「もしもし」「は~い」「今どこ?」「家」「直ぐ近くなのに来てくれないね」「伝染病が流行っているから」「そうか。それでここにいる人の家族はみんな来なくなった」「いい時にグループホーム寿に入れたよ。そこにいたら、外から来る人との面会は中止、入所した人も外出をさせないで、伝染病に感染んしないようにしている」「面会できなくして嫌だと思ったが、私たちの防御のためか。わがまま言っちゃいけないね」「そうだよ」「あなたが来てくれないと困るけど、どのくらいの期間になるかは分からないよね」「分からない。相手が伝染病だもの」「いずれは解除になるよね」「早く解除になるといいね」「今日は外には出なかったが、広い部屋に行って体操をした。外へは出られないから、いい運動になった」「よかったね」「目と鼻の先にいながら行き来できないって嫌だけど、今ごちゃごちゃ言ったって仕方ない。あんたの施設はどこ?」「施設には入っていない。自宅に一人で住んでるよ」「あなたの施設は356を東我孫子の方へ行って、利根川の方かと思った」「それはロイヤルや和楽園でしょ。そこは去年まであんたが通っていたところ」「そうだったっけ。あなたは何処かに入るの?」「入りたくてもまだ入れてくれない」「家に一人でいて、ちゃんと火を通したものを食べてる? どこへ買いに行く?」「夜は宅配弁当。食材や必要なものはパルシステムやアマゾンみたいな通販、パンと野菜サラダくらいは近所のセブンイレブン」「どこにある?」「家から356に出たところ」「ご苦労様。私が行ってやってあげたいが私もできない。ご飯食べるとき、あなたはちゃんと食べてるかなって思うよ」「心配ない。ぼつぼつ歌を鳴らそうか」「じゃあやって」「電話じゃラジオは動かせないよ」「そうだな、靴を履くから待ってて。・・・CD押した、矢印はここ。そら鳴ったでしょ」「上出来。電話返してきてね」「部屋を出た・・・ここだ。済みません、終わりました」と職員さんとの話し声。200518c.jpg
(お化粧していたカルガモのペア、もう行こうと誘ってもまだお化粧中のもう一羽。)

もうすぐ雲の隙間から陽光が落ちてきそう

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.17)
(アルツハイマー)

空に薄雲沼に霧、もうすぐ雲の隙間から陽光が落ちてきそう。200517.jpg

一羽減って五羽の子どもを連れてきたコブハクチョウ母さん。父さんは後ろから家族を護衛。200517a.jpg

浮上したカワウの嘴で暴れるウナギ、何度も潜って咥え治し、苦労して飲み込んだ大きな獲物。200517b.jpg


『電話してきて何の用?』 (2020.5.17)
妻との昨日午後の電話、「もしもし」「は~い」「あはは。電話してきて何の用?」「あんたの元気な声が聞きたくてね」「そう言われたら涙が出ちゃう。一人で淋しいよ」「そこにいれば職員さんとも同居仲間とも話ができる。私は家の中に一人だけでしゃべる相手もいない。人に会うのはたまにセブンイレブンに買い物に行った時くらい」「どこの?」「家から356に出たところ」「戻るとき家の前を通り過ぎると神社へ行くね。何を申し込んだ?」「何も申し込んでこない」「申し込んだって聞いたと思ったけど。今年も手賀沼写真コンテストがあるの?」「6月になったら応募する」「二人並んで撮った写真があった。私、病気みたいな顔」「撮るとき緊張したからだ」「ここにいる人はみんな淋しいから見せないけど、知ってる人が来たら仲良く並んでるよって見せるつもり。知ってる人は誰も来ないな」「伝染病が流行っていて、グループホーム寿は面会禁止だから外から会いに来る人はいないよ」「そうか。厄介な伝染病ね。世の中おかしいよ。何を言おうとして電話したか忘れちゃった」「電話したのは私だ」「私の姉妹の写真もあった。福子、住子、登子、私、汪子、正子、直子って書いてあるけど福子って誰? くしゃくしゃって消して、?が着いてる」「祥子の間違いだろ」「祥子姉さんか。死んだから頭から消えていたんだ」「昨日は観音堂にこだわっていたが、もう直った?」「夢だか現実だか分からない。昔のことが夢に出て来る。夢では昔のままでしゃべってる。目が覚めても夢の中にいて、その内忘れて分からなくなる」「さて、歌を鳴らして、電話は終わりにしようか」「歌より電話の方がいい」「誰か空くのを待ってる人がいるかもよ」「じゃあ、返してくる」「歌は?」「えーとね、電気が点いて、これを押して、次矢印。鳴ったよ。直ぐできるときと、なかなか出来ないときがある」「どこに電話機を返すか分かる?」「分かってる。・・・すみません」「もう終わったの?」「終わらせた」と職員さんと笑い声の会話。200517c.jpg
(雲間から陽光が射し込む天を仰ぎ、元気に囀り続けるホオジロ。)

五羽になった遊歩道脇のコブハクチョウの雛

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.16)
(アルツハイマー)

昨日まで六羽いたのに、五羽になった遊歩道脇のコブハクチョウの雛。200516.jpg

風を避け杭の上にぽつんとカワウ一羽。200516a.jpg

強風に揺れる木にはとまりにくいのか、電柱の上にとまったホオジロ。200516b.jpg


『自治会のことで大変』 (2020.5.16)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「は~い」「あなた、お父さんですね。何かご用?」「天気が下り坂になるから気分が落ち込んでいないかと思って」「気分が悪くなってる暇なんか無いよ。自治会のことで大変なんだから」「どうしたの?」「うまく言葉にならないけど家の傍の観音堂のこと、テレビで見たけど貴重な観音像だから何処かに持って行って展示するんだって」「岩滑の東の観音堂のこと?」「そう」「テレビで岩滑の観音堂って言った?」「言わないけど見てそう思った」「それで、自治会の活動に参加するの?」「誰かが言ってきたから」「夢か空想だったのじゃない? いまは我孫子の住民だし、60年近くも前に出てきた実家の自治会から連絡が来るはずが無いよ。そんなことで悩んだり心配しなくていい」「そうか、夢かなぁ」「あの観音像は、明治時代の大水の時に上流から流れてきて、持ち主が分からないからあんたの実家の山に近所の人たちと観音堂を建てたって、あんたのお父さんから聞いたよ。近所もみんな代替わりして若返っているし、観音堂への道も草生していたって、何年か前にあんたから聞いたよ。お昼食べてから昼寝した?」「分からない。夢だったら嫌な夢を見た。テレビを見たのも夢の中の夢かな。いまでも時々子どもの頃の岩滑のことを思い出し、空想することがあるよ」「天気が下り坂の時は辛くなる夢を見たり空想をするから、昼寝の夢だったんだ。気分直しに歌を歌おう。昨日は一人でできたが今日も自分でCDを掛けられる?」「今日はごちゃごちゃしてるから分からない」「電源を入れて」「ランプが点いた」「二段目の左のCDを押す」「押した」「その下の矢印を押して」「鳴りだした。~春を愛する人は心清き人~」「いい声だよ。じゃあ電話機を返してきて」「電話機って?」「いま耳に当てて聞いてるもの」「どこへ返すの」「事務所」「どこ?」「ドアを開けてまっすぐ5~6歩、左側」「ここだ・・・まだつながってるけど返します」「はい、電話機受け取りました」と職員さんの声。200516c.jpg
(いつまでも暗い曇天の朝、遊歩道脇に咲いていたユウゲショウの花。)

久々に雲がきれいだから散歩に来たと友

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.15)
(アルツハイマー)

久々に雲がきれいだから散歩に来たと友。200515.jpg

遊歩道を横切って走り、草の間から獲物を引き抜いたムクドリ。200515a.jpg

ニセアカシアの木に囀り続けていたホオジロ。200515b.jpg


『あらまあ、おはよう』 (2020.5.15)
昨日午後の妻との電話、「あらまあ、おはよう。アハハ。ありがとう・・・もしもし」「は~い」「いま眠ってたの。起こしてくれたからありがとうって言った。まだ寝ぼけてる。疲れたから寝たけど、午前中は風呂に入ったかな。お昼ご飯を食べて家に戻って眠った。家が近いのはいいことだ」「家って?」「私の家、この部屋だよ。あなた元気?」「元気」「今日は何をした?」「写真撮りながら散歩して、戻って資源ゴミを出し、ブログやフェースブックを書いた。朝食の準備をして朝ドラを見ながら食べた。依田内科へ行って受診し、薬局で薬を受け取って、帰ったら昼食を準備。食べ終わって電話した」「ちゃんとやってるね。まだ寝ぼけてる。一眠りしたから良い気分。よっこらしょ。起きたら目が覚めた。西日が明るいが部屋には入らない。今日は2月?」「5月14日だよ」「ノートにAが何か書いてある」「Aが来たとき書いたのだろう。2月末まで私は毎日面会に来たよ」「知らない」「面会できなくなってからは毎日電話してるよ」「へー、知らんべぇ。忘れた。あなたと一緒に撮った写真、私の顔はよくないね」「撮るとき緊張したから」「あなたが撮った雪の中の欅の木の写真が壁にあって、お母さんありがとうって書いた折り紙もある」「スタッフの方が作ってくれたのね。花ももらったでしょ」「これだ、窓のところにある。刑務所じゃない、事務所の人が持って来てくれたみたい」「刑務所?」「アハハ、言い間違えただけ。起こされて眠かったけど、もう目は覚めてるよ」「CDを聞こうか」「もう電話は終わりってこと?」「他の人も使うからね」「壁に貼ったCDの聴き方の絵を見てやってみる。・・・ランプが点いてラジオが鳴った。CD、二段目の左か。これだ。音が止まっちゃった。矢印か、・・・鳴った鳴った」「自分でできたね、お見事。明日も電話するね」「電話返すところ、分かるよ。・・・返しに来ました」とOさんに渡す。「はい、受け取りました。一緒にお茶でも飲もうか」と聞こえて切れた。200515c.jpg
(25年ほど前だったろうか、初めてここにヒルザキツキミソウの群落を見付けたのは、単身赴任先から帰宅した週末に妻と散歩したとき。)

ニセアカシアの花から花へ飛び回るスズメ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.14)
(アルツハイマー)

ニセアカシアの花から花へ飛び回るスズメ。200514.jpg

三羽でじゃれ合うように飛んできたヒヨドリ、お目当ては赤い実?200514a.jpg

朝日を浴びて赤く光ったハジロカイツブリの目。200514b.jpg


『意思疎通がない』 (2020.5.14)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はいはい」「いま食堂でおしゃべりしていた。あなたの撮った手賀沼の写真を見せたら、亡くなったご主人も写真をやっていたって。今どこにいる?」「高野山の家」「手賀沼の写真を返そうと待っているのに」「どこで待っているの?」「食堂」「部屋に戻って」「ちょっと待って・・・もしもし、あなたが静岡にいるのか浜松にいるのか意思疎通がないから分からない。どこにいるか岩滑や浜岡の実家に話したの?」「浜岡の実家は40年も前に無くなったし、岩滑も何年も行ってない。昨日も高野山の家から電話したよ」「そういうことは次々抜けて行くから分からない。来るって誰に知らせた?」「誰にも知らせてない。伝染病が流行っていて、ずっと家に閉じこもっている」「あなたが来るから時間を作ってここへ来て待っていたのに。」「どこから来たの?」「家から」「私はずっと家にいたし、あんたは1月12日からずっとグループホーム寿にいたよ」「市役所の傍から行ったところ?」「そう、消防署の近く」「あなたはここに泊まり込みになるの?」「私は泊まれない。あんただけ」「私の宿泊費はどうするの」「私が払っているから心配ない」「ずっといていいの?」「いいよ」「ここが私の家?」「そう」「二人が住んでいた家には住めないの?」「二人とも年を取って出来ないことが増え、一緒に暮らすと共倒れになっちゃうから、二人別々に住むようになった」「そういう事は次々忘れるから頭に残っていない。今日からノートに書いておく。そうでないと電話しても屁の河童。二人が生きていくために別々に住んでるってことね。今日は分からない。また明日電話しよう」「じゃあ、CD掛けよう」「えーと、CD押しても音が出ない、矢印か。・・・鳴ったよ。電話機返してくる」「分かりやすく話せなくてごめんね」「私が直ぐ忘れちゃうから仕方ないよ」「戻ったら歌ってね。頭がすっきっり、いろいろ思い出すよ」「思い出せると気分がよくなる。もう事務所に着いた。・・・終わりました」200514c.jpg
(母さんがいる方に行きたいが、網が邪魔で出られないコブハクチョウの子どもたち)

赤く染まった雲の向こうに日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.13)
(アルツハイマー)

赤く染まった雲の向こうに日の出。200513.jpg

コブハクチョウ親子がいないと探していた散歩の人、岸近くに来てヒメガマの葉をちぎって子どもたちに与えていた母さん。父さんはちょっと離れて見張り役。200513a.jpg

頭上にはしゃいで囀るホオジロ、やっと見付けた小枝が邪魔しない隙間から覗く。200513b.jpg


『お母さんありがとう』 (2020.5.13)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「昼寝し始めたところ。元気?」「元気」「私はちょっと眠ったがもう目が覚めた。何か用事がある?」「何もない。元気な声を聞きたかっただけ」「そうね、声を聞いて今日も元気になる。それが良い生き方。もうお勤めはないの?」「会社は20年前に退職した」「そうか、もう80過ぎだものね。今日は何した?」「早く起きて洗濯機を動かし、散歩と写真を撮りに手賀沼遊歩道を歩き、戻って洗濯物を干し、燃えるゴミを出してからパソコンの前。ブログやフェースブックの下準備をして、朝ドラを見ながら朝食の仕度。後片付けをしたらパソコンの前。ブログやフェースブックの書き込みをして、今朝の写真の整理。昼食の仕度をして食べて、今電話してる」「わー、すごい。働き者になったね」「私は朝ご飯食べて、全員集められて体操して、その後はよく憶えていない。お話や何かのお楽しみがあった。お昼ご飯が終わって部屋に戻ったところ。昨日、お母さんありがとうって書いた紙と、折り紙の小さい額縁を届けてくれた。名前が書いてないから誰からか分からない」「スタッフのみなさんが作って母の日のプレゼントをしてくれたのね」「そうか、なかなか粋なことをしてくれて嬉しいよ」「よかったね」「花ももらってコップに歯ブラシと一緒に差した。あなたが撮った手賀沼の写真のパンフレット、私と二人並んだ写真を時々見る。読売新聞の旅する鳥たちのコピーも一緒に仕舞ってある。時田さんの記事にあなたのアカハラの写真が使われていた」「そう、また手紙も出すね。電話を切る前に慌ててCDを掛けると混乱するから、先に鳴らしておこうか」「眼鏡を掛けてから絵を見てやってみる。・・・できた。鳴った鳴った」「今日は元気が良いね」「元気だよ。ダンスをしたり騒ぐと品格を疑われるから、音を小さくして歌うよ」「じゃあ、電話機を返してきて」「返してくる。電話であれこれ言ってくれると外の世界が広がる。ありがとうね。・・・電話終わりました」200513c.jpg
(散歩の時に、妻が遊んでもらっていたシベリアンハスキーのジャック。手紙を出すとき同封しようと撮らせてもらった。)

子ども6羽を連れ遠出したコブハクチョウ夫婦

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.12)
(アルツハイマー)

子ども6羽を連れ遠出したコブハクチョウ夫婦。200512.jpg

首を伸ばし、じっと何かを見詰めるアオサギ。200512a.jpg

昨日と同じ木の同じ枝で鳴くホオジロ。200512b.jpg



『ダーリンすか?』 (2020.5.12)
妻との昨日午後の電話、「もしもし」「は~い」「ダーリンすか?」「どうしたの?」「主人ですかって聞いたら、ダーリンからだと係りの人が言った。気さくに話し掛けてくれると楽しいね。お昼を食べて部屋に戻って、昼寝しようとひっくり返って、眠ったかどうか、瞬間のことは直ぐ忘れちゃう。今日は青空だから嬉しい。話すほど困っていることもない。ここから市役所の方へ下る車が見える。西日が射し始めたが窓は東向きだから陽は入ってこない。何もやることがないから、ここにいるのも厄介だ。贅沢なことを言ってごめんね。ここで電話するより手賀沼の方に行って話した方がいい」「外出はできないし、外へ行ったらその電話機は使えない」「ああ、そうか」「今日は電話ですねることがない」「電話ですねるの」「だって他の人と話すのにすねる訳にはいかないもの。西日だから窓の近くでも陽は入らないが、駐車場は陽が当たって眩しい。ぼんやり見ているだけで、何となく暇だよ。私もこんなになる積もりはなかった」「自分からなろうと思ったんじゃないから気にしなくていい」「もうじき80になるから仕方がないか。70でこうなる人もいるからね」「伝染病が治まったら、また一緒に散歩しようね」「その言葉を聞くと涙が出て来る」「こんな話しは嫌だった?」「そうじゃない、嬉しくて出る涙だよ」「あはは、泣かないでよ」「家の前の道を思い出すと辛い。家は更地じゃないね。前のまま?」「何んにも変わっていない」「私たちが建てた家?」「そう、今は私が一人で住んでいる」「涙が止まらないよ」「電話で泣くの?」「よその人に話して泣いたらおかしいでしょ。あなたと話すからよ」「音楽を掛けよう」「ランプを点けたけど、次は忘れた」「壁に貼ってある絵を見て」「そうか、CD押した」「その下の矢印」「鳴ったよ」「電話機を返してきて」「返したら話せなくなる」「他の人も使うから返してきて。戻ったら歌を歌って。頭が活性化するリハビリだよ」「分かった。・・・今村です。終わりました」200512c.jpg
(遊歩道脇にアカバナユウゲショウの花。「かわいい花ね、何という名前?」と妻、何度教えても同じ質問を繰り返した数年前の散歩。)

6羽いた遊歩道脇のコブハクチョウの雛

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.11)
(アルツハイマー)

6羽いた遊歩道脇のコブハクチョウの雛、父さん母さんがマコモやヒメガマを引き抜き噛み砕いて子どもたちに与える。200511.jpg

昨日も一昨日も同じ木で鳴くホオジロ、隙間を探して見上げれば一昨日と同じ枝に。200511a.jpg

突然羽ばたいて飛び立ったカワウ。水面すれすれに低く飛んで、行った先は古い於朶の杭。200511b.jpg


『人の好意は嬉しくなる』 (2020.5.11)
居眠りして妻に電話するのが遅れた昨日午後、「もしもし」「はいはい。居眠りして電話するのが遅れちゃった。ごめんね」「私も昼寝しよとして眠り掛けたら電話が来た」「お昼前にAさんがグリンピースのご飯、魚の煮付け、サラダなど持って来てくれて早めに昼ご飯食べた。おいしかったよ」「よかったね。人の好意は嬉しくなる。いつも私たちのこと、気に掛けてくれているね。人と人の間にはいいこともあるし悪いこともある。私が何か頼まれたり、スタッフの人にありがとうねって言われると気に入らない人がいるって分かったの。わざわざ横を向いて通ったり、なんとなく私を意識して動いているみたい。ここ二三日、どの人がそうだなってことに気がついたの。できるだけそう思われないように気をつけているが嫌だね」「気にしない方がいいよ」「気にしないようにするけど、女同士にはそういうねたみみたいなことがあるの。何で私には言ってくれないであんたなのって感じ。喧嘩するつもりはないし、そっと気がつかないようなふりでやり過ごすようにしている」「いま、家族とも面会できないし、連絡も少ないからストレスが溜まっている人が多いと思う。その人も淋しいんだろうね」「そうだね。そういうときに私に声を掛けてくれる人がいると余計に苛つくのだろうね」「今日は電話するのが遅くなって、他にも電話を使いたい人がいるかもしれないから、話しはまた明日にしようか。今日はCDが鳴っていないね」「赤いランプが点いた。次は、見えないから眼鏡掛けてくる。二番はCD、音が出ないよ」「三番の三角の矢印を押した?」「まだ。・・・押したら鳴ったよ」「じゃあ電話機を返してきて」「電話機って?」「今、手に持って私と話しているでしょ」「これとラジオも一緒に?」「ラジオはCDを鳴らしたままそこに置いておいて、電話機だけ事務所に返して」「分かった。・・・本日の業務は終わりましたって書いてある」「じゃあ、スタッフの人の声がする方へ行って返して」「・・・今村です。まだつながってるけど返しに来ました」とスタッフの人に代わる。「もしもし、まだお話になりますか?」「終わりました。ありがとうございました」200511c.jpg
(キジの雄が鳴いて羽ばたいても現れない雌、ベンチに登って辺りを見回し、鳴いて羽ばたいた後ろにちらりと雌の姿)

小雨の中を泳いでいた鯉のぼり

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.10)
(アルツハイマー)

市民農園跡から高台を見たら、小雨の中を泳いでいた鯉のぼり。200510.jpg

菜の花畑の刈り跡の、広い畑を走り回るハクセキレイ。200510a.jpg

コブハクチョウ母さんの羽の間から覗いたの雛の頭。200510b.jpg



『もっと若いかと思った』 (2020.5.10)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「今どこ?」「家にいる」「広い道に出て、市役所の傍から手賀沼を歩いて坂を登ったところ?」「そう」「あなたが撮った手賀沼の写真のパンフレットと二人が写っている写真が届いた」「昨日、夫の顔を忘れたって言ったので思い出せるように二人で撮った写真と手賀沼風景のパンフレットを送った」「二人の写真、どこで撮った?」「あんたの部屋」「ここへ来たの?」「2月末までは毎日面会に行ったよ」「記憶にないな。私の顔はこんなだった? もっと若いかと思った。どうして面会に来なくなったの?」「伝染病が蔓延していて、外出を控えみんな家にいなくてはならないし、グループホーム寿にいる人たちが感染しないように面会できなくなった」「横浜にいる妹のNからの手紙に、今はどこにも行けないと書いてあった」「あなたは手賀沼に行ったり、いろいろ活動してるの?」「朝早く、人がほとんど来ないときに遊歩道を散歩して写真を撮ってくる。日中はずっと家にいて、三日に一度セブンイレブンにパンなどを買いに行くだけ」「カーテンを開け、窓の外を見ていると、私は広い道に出て市役所の方へ行き、手賀沼の傍を歩いてAさんの家の前から坂を登って家の前に行く。その先へ行くと356に出て、東に行くと中学校がある。道は分かってるけど、途中で他のことがあると分からなくなる。実際には、もう一人では道を歩けないかもしれない。ここにいて、ご飯を食べて、自分でトイレに行くこともできて、伝染病が消えるのを待つしかないね。そうなったら一緒に散歩してね」「そうしようね。じゃあCDを鳴らしてから電話機を返してきて」「電源ボタンを押したら赤いランプが消えた」「じゃあ、もう一度電源を押して」「ランプが赤く点いて、CDと矢印のボタンを押したらCDが鳴った」「昨日は寝ぼけていて分からなかったが、今日はできるね」「昨日のことは全然憶えていない」「電話機を返してきてから歌を歌ってね」「分かった、行ってくる」200510c.jpg
(仲よしのカルガモペア、小舟の上で羽繕いして、さあこれからどこへ行く。)

雲を染め、輝く雲の向こうに日の出

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.9)
(アルツハイマー)

雲を染め、輝く雲の向こうに日の出。200509.jpg

母さんの羽の下から出てきた三羽の子ども。遊歩道脇の埋立地で抱卵していたコブハクチョウ。200509a.jpg

ニセアカシヤの花を潜ってシジュウカラ、ちょっとでいいからじっとしていて。200509b.jpg

『ちょっと眠っただけだ』 (2020.5.9)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい」「夫殿ですか?」「そう」「お昼の後で昼寝しちゃった。昨夜眠りが浅くて眠くなった。電話だって起こされてびっくりした。訳のわからないことばかりで何が何だか分からない。今何時?」「1時15分」「ああよかった。ちょっと眠っただけだ。私はどこにいるの?」「グループホーム寿」「何でここにいるの?」「二人とも年を取っていろいろ出来ないことが増えてきて、一緒に住んでいたら共倒れになるから、あんたにはそこへ入所した。二人で見学して申し込んだ」「そんな気がする」「あんたが二度も入院したり、体調が悪くなって困っていたとき、ここに空きが出て入所できた」「入院したことなど憶えていない。別々に住んでるって、夫婦じゃないんだ」「夫婦だよ」「やだよう、それも分からないってバカになった。私は誰と結婚したかのか、夫の顔も思い出せない」「二人で撮った写真があるじゃないの」「どこにあるか分からない」「じゃあもう一度送るね」「女の子二人をあなただったか誰かが紹介した。AとLでAは八王子、Lは・・・、どこだっけ」「横浜」「思い出せない」「Lの横浜の家には孫に会いに何度も通ったよ。二人ともあんたと私の子どもだよ」「頭がごちゃごちゃで何にも分からない。あんたは怒ってる?」「怒っていないよ」「何も分からなくて怒られるのが怖い」「怒らないよ。昼寝してまだ目が覚めないだけだ」「岩滑から城東中学の辺りに行くと道がごちゃごちゃで分からない。西の谷へ行くとトンネルを通って岩滑に行く。岩滑から356に出て中学までまで行くと道は分かる」「掛川市から我孫子市にワープしちゃった。まだ目が覚めなくて半分夢の中だね。目が覚めるよう歌を歌おう。ラジオの電源を入れて」「ラジオって?」「テーブルの上」「これか。・・・ラジオが鳴った」「CDボタンを押して」「押したら音が消えた」「次は矢印」「押した。鳴ったよ。」「電話機を返してきてから歌ってね。目が覚めるよ」「行ってくるよ。・・・電話終わりました」200509c.jpg
(天を仰ぎ囀り続けるホオジロ、何を言ってるのか分からないが、賑やかなこと賑やかなこと。)

斜面林の上に出ればもう眩しすぎ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.8)
(アルツハイマー)

日々早まる日の出。斜面林の上に出ればもう眩しすぎ。200508.jpg

肌寒い遊歩道を歩けばホオジロの声ばかり。200508a.jpg

ちらりと動いた茂みの中、隙間を探して覗けば蜘蛛を咥えたシジュウカラ。200508b.jpg


『いま頭が眠ってる』 (2020.5.8)
元気そうな声だった昨日午後の妻との電話、「もしもし」「は~い」「お昼食べて戻って来て、洗濯に出すものを整理して昼寝しようと思ったら電話が来た。私の方から報告することはないよ」「言いたことがないのはいいこと。辛かったり淋しいときはいっぱい言いたくなる。今日は気分が良いんだ」「言うことを考える暇がないからだよ。ベッドに上がるのに靴を脱いで、脚を上げるのに四苦八苦、やっと上がれた。元気?」「元気だよ」「私も元気。しょげているかというとウソになるし、そうでないと言えばウソ」「そうか、まあまあか」「いま頭が眠ってるからうまく言えない」「そうなの、その内に目が覚めるよ」「今日だって一人でいると泣けてくる。頼りになる人が遠くにいると辛い。自分一人でやらなきゃと思うことが重荷になる」「家にいるから直ぐ近くだ」「歩いてくれば見える程だが、来てくれなきゃ見えない。電話が来るとほっとするよ。ここには遠くから来た人もいるから、辛いのは自分だけじゃない。辛いと言うより心細いから泣けてくるんだな。いくら近くても声が届く距離じゃない。電話だと遠いようで近い、近いようで遠い」「面会に行けないから、毎日電話で話しているよ」「でも、次のことがあると私は前のことを忘れちゃう。だから毎日電話で話したかは分からない。とんでもない頃になって思い出すこともある。頭の中が絶えず満杯、あれもこれもと考えるから疲れる」「そうか」「一緒にいて、一緒にやってもうるさいと思うこともあるし、何を持ってよしとするか分からない。窓の外を見ていて、もしかしてあなたが来てくれるかと思っていても、夕方になって来てくれない日になる。ここには二階はないけど、待っているのはいつも何処かの二階になる」「私が朝の撮影から戻るのを、雨戸を開けて見ていた頃のことかな」「分からない」「自分でラジオを点けたの?」「そう」「今日は元気ないい声だ。CDを鳴らし、電話機を返してきたら歌ってね」「待ってて・・・歌が出たよ。送受機を返してくる。電話の声を聞いて嬉しかった」200508c.jpg

(頭上で鳴くホオジロを探していたら飛んできて、電線に止まったコムクドリの♂二羽)

遊歩道脇に咲き始めたニセアカシアの花

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.7)
(アルツハイマー)

遊歩道脇に咲き始めたニセアカシアの花。200507.jpg

友に会い鳥がいないとぼやいたら、直ぐ横の枝で鳴いたホオジロ。200507a.jpg

びっくりするじゃないか、目の前で突然鳴いて羽ばたいたキジ。慌てて撮ったら脚が切れた。200507b.jpg


『火木土には行くの?』 (2020.5.7)
妻に電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい」「だんな様ですね」「はい」「私の置かれてる状態がおかしいので聞きたかったが、昼食の周りの席の人は何も知らないし関心がない。私たち、6日まで連休で、7日から火木土には行くの?」「それはロイヤルのデイケアのこと?」「そう」「去年12月末でロイヤルは止めて、今年からグループホーム寿に入所したの。だから通うところはないの」「いまは伝染病でダメだけど、いつ家に帰れるの?」「いつになるか分からないが、外出が許されるようになったら、午前中に迎えに行って、夕方になったらグループホーム寿に戻って自分の部屋に寝るの。そういう方法でときどき家に帰ってもいいの」「どうして泊まれないの?」「私もあんたも年を取って出来ないことが増えた。夜、急に体調が悪くなっても私一人じゃあんたを助けられない。そこにいたらスタッフの人が夜も見回りに来てくれるし、あんたは環境が変わると睡眠障害になりやすいから、寝るのは今いる自分の部屋って決めたんだ」「なんでここに入った?」「二人とも年を取って、二人で生活したら共倒れになりそうで、あんたも施設を探してって言った。ケアマネージャのMさんが紹介してくれて、二人で見学し、ここならいいと申込書にあんたも署名した」「それは憶えている。広い部屋の方だったね」「その後も膵炎で二度入院したし、目眩や吐き気で動けなくて救急車を頼んだりタクシーで病院に行った。私一人では動かせなくてタクシーの運転手が助けてくれたこともあった。そんな頃、ここに空きができて、今年からここに入所した」「私だけの気持ちで言っちゃダメだね。あなたのことも考えなくちゃ。絶えず幻覚で市役所から手賀沼を通って坂を登って家に行き、頭の中で帰れても、実際に帰れないのは仕方がない。片方じゃなくて両方元気でないと会えないものね」「分かってくれてありがとう。CDを掛けてから電話返してきて、それから歌ってね」「分かった。・・・鳴ったから電話返してくる」
事務所の人に泣き声で電話を返す妻。慰めてくれる職員さんの声。辛い気分で電話を切る。
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(~でんでんむしむしかたつむり おまえのめだまはどこにある つのだせやりだせめだまだせ~)

雨に濡れまだ残っていた桐の花

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.6)
(アルツハイマー)

桃山公園の広場に差し掛かれば、雨に濡れまだ残っていた桐の花。200506.jpg

ヒヨドリ5~6羽が集まった桐の木、じゃれているのか花を散らして追いかけっこ。200506a.jpg

餌を啄む間にも、舞い落ちる桐の花を見上げるムクドリ。200506b.jpg



『頭が混乱している』 (2020.5.6)
いつもの時間に電話したら妻はトイレ中、10分後に掛けると、「もしもし」「はいはい、何してる?」「トイレから戻ったら電話が来た」「さっき掛けたらトイレ中だったから暫く経って掛け直したの」「今日は何かあったの、わざわざ電話くれて」「毎日掛けてるよ」「へぇ、そんな風には思えない。あなたは元気?」「元気だよ」「よかった。頭の中ではどんなかなって思っても、まだ聞いていなかった」「昨日も元気かって聞かれて、元気だって答えたよ」「テレビでも伝染病のことばかり言うし、あなたが罹らないか気になっているからだね。トイレから戻って下はまだパンツだけだけなの。何が何だか分からない。ご飯食べて戻ったらベッドの上に上着が広げてあった」「ズボンを履くのでしょ」「分からない」「トイレに行く前に何を履いていた?」「分からない。頭が混乱している。いま家でしょ、近いから直ぐ来てくれる?」「伝染病が流行っていて面会できないから行けないよ」「そうか」「ズボンを履こうとしていたのでしょ」「ズボンの裾がほつれて片足長くなってる」「他のズボンを履いたら」「探してもない。探すから電話かけ直して」「じゃあ電話機を事務所に返してきて。他の人も使うから」「パンツじゃ行けない」「片足長くなっていてもいいからズボンを履いて」「ちょっと待って、左がほつれているから右足を通した。今ズボンを履いたよ」「CDを掛けて歌を歌えば混乱が治るよ」「どうやって掛ける? 電源押したらラジオが鳴った」「CDボタン押して」「ない、どこだ、押した」「横三角の矢印を押して」「押した。鳴ったよ」「電話は終わりにして、電話機を事務所に返して。戻ったら歌を歌ってね。頭がすっきりするよ。電話返すとき事務所の人に代わってね」「もしもし、代わりましたOです」「ズボンの裾がほつれたことばかり気になっているようです」「大丈夫、ズボン履いてます」と言って切れた。長女に確認し、先日ズボンの予備を送ってあることを聞きOさんに電話で伝えると、すでにスタッフの方が裾を修理してくれてあるとのこと。すばやい対応に感謝感謝。200506c.jpg
(雨に濡れ、風が止んで垂れ下がった元気のない鯉のぼり)

藤棚の下に差し掛かれば霧の中にケヤキの木

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.5)
(アルツハイマー)

藤棚の下に差し掛かれば霧の中にケヤキの木。200505.jpg

畦道で鳴いて羽ばたいたキジの雄、声を張り上げ霧に見えない雌を呼ぶ。200505a.jpg

声はすれども姿が見えず、通り過ぎて見上げれば細い枝先に鳴くホオジロ。200505b.jpg


『CDと一緒に歌うと楽しい』 (2020.5.5)
元気な声だった妻との昨日の電話、「もしもし」「はいはい」「懐かしい声だ。いま、昼休み中だから部屋に戻ってCDを掛けて一緒に歌い始めたところ」「四季の歌だね」「~岩をくだく波のようなぼくの父親~」「・・・もしもし」「この歌を歌うとこの辺の知ってる景色が出て来るよ。一人ならCDを点けて歌を歌う。淋しいときは、オーイおとっちゃんと言うときもある」「CDは自分で点けたの?」「そうだよ。壁に貼ったCDの聞き方の絵を見て点けた。部屋から出たら他の人との交流もあるけど、部屋に戻ったら一人になる。椅子に座ると前にAとLが持って来てくれた鏡台がある。ベッドがあって、テーブルの上にCDラジオがある。電源を入れて、壁の絵を見てボタンを押すと鳴りだす。カレンダーは3月、今日は何日?」「今日は5月4日」「えっ、4月が過ぎて5月になったの。一ヶ月以上も抜けちゃった」「いま何月だと思ってた?」「カレンダーを見て3月だと思ってた。今はフリーの時間。一人で歌ってるとつまらないけど、CDと一緒に歌うと楽しい」「今日はよく声が出て元気そうだ。天気が悪くなって心配したが、元気でよかった」「自分一人の世界で歌を鳴らすと頭の中に景色が出てきて、知ってる景色になるから一緒に歌う。惚けちゃって知らない景色が出てきて音楽を聞いてももつまらない。知ってる景色を見て歌うのがいい。CDを掛けるといつも同じ順序で鳴るから、同じ曲ばかりでおもしろくない。最後まで聞いたらいっぱい入ってるのに」「今度、途中から鳴らす方法の絵を作るね」「この歌、あなたと一緒に手賀沼にいるよ。手賀沼に行くときはいつも市役所を中心にして考えるの。ダメならもう一度市役所に戻って出直すの。外の道は分かるけど、この建物の中にいると、どこにいるのか分からなくなる」「ぼつぼつ電話を返す時間だ」「残念けど返しに行く。ご飯食べてる?」「食べてるよ」「いい子だね。長くなったから電話を返してくる。・・・近いからもう着いた。今村です、お返しに来ました」200505c.jpg
(道草したコガモの雄をおいて先に行ってしまった雌、雌を探すのか岸に戻っていった雄。雌が戻って来て右往左往すれば岸から出てきた雌。いつものように埋立地へ泳いでいった仲よしペア。)

コロナのことをしばし忘れて沼を望む

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.4)
(アルツハイマー)

小雨降る桃山公園の高台に立ち、コロナのことをしばし忘れて沼を望む。200504.jpg

雨に濡れ電線に止まっていたヒヨドリ、沈思黙考しているごとく動かない。200504a.jpg

仲間たちが群れて斜面林を越えて向こうに下ったのに、ただ一羽広場の芝生で餌探しするムクドリ。200504b.jpg


『よそ行きの顔でいるよ』 (2020.5.4)
妻に電話した昨日午後、いつもと違う保留音。「もしもし」「はいはい」「どなた?」「私の声が分からないの?」「私のだんな様じゃないの。テレビのところにいるからドラマのことかと思っちゃった」「どこにいるの? 自分の部屋じゃないの?」「いまから何かあるみたい。大きいホールに集められてテレビの前に座っていたら電話だって呼ばれたの」「ボランティアの人が来て歌を歌ったり体操する部屋?」「そう。スタッフの人がお話ししたり、外の人が来たときここへ来る」「いつもはデイサービスの人が使う部屋だね」「知らない。食堂からも、玄関からも入れる。お昼ご飯を食べたらここへ連れてこられた。もう一つの入り口は玄関の方で、トイレもある。ここからも外が見える。雨が降りそうで、部屋の時計は13時21分、玄関の入り口の外は何処かへ行くときの道だ。その道には行ったことのある家もあるよ。あなたはどこにいるの?」「家にいる」「久しぶりに参加した集会だから不安なの、あなたが傍にいたら心強いのになぁ」「泣いちゃダメ。近くに人がいるんだろう。笑われちゃうぞ」「泣かないよ、よそ行きの顔でいるよ」「みんな何してる?」「テレビを見ている。子どものマンガみたい。ときどき威張った役者みたいな人が映ってる」「じゃぁ、みんなと一緒にテレビを見てね」「テレビはどうでもいい。今日は家に帰るか分からない」「家には帰らないよ」「どうして?」「伝染病が流行っているから」「そうか、テレビでも家にいるようにって言っていた。帰れないよね。あなたは元気? ちゃんとご飯食べてる?」「ちゃんと食べてる」「元気でいるか心配ばかりしている。ご飯の仕度をしてやれないのは辛いよ。自分でご飯の仕度をしてる?」「自分で作っている」「男だってそうでなくちゃダメだな。偉い偉い」「みんなと一緒にテレビを見た方がいいね」「電話ありがとうね、スタッフの人に返してくる・・・終わりました」とスタッフの人に返している様子。「まだいいのよ」「もう終わりました」と会話が聞こえ切れた。200504c.jpg
(雨交じりの南風に向かって泳ぐ鯉のぼり、遠く過ぎ去った時空の向こうに置き忘れていた風景を思い出す。)

威風堂々水生植物園跡のケヤキ

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.3)
(アルツハイマー)

全ての枝に若葉が出揃い、威風堂々水生植物園跡のケヤキ。200503.jpg

キジを撮ろうと踏み出した一歩に、驚かせてしまった食事中のムクドリ。通り過ぎるのを待つつもりか枯れ木に避難。200503a.jpg

声を頼りに見上げた木の天辺、天を仰いで鳴きつづけるホオジロ。200503b.jpg


『ああ、一緒にいたいよ』 (2020.5.3)
妻の元気な声が聞こえた昨日午後、「もしもし」「はいはい」「お昼寝に入りました」「もう眠っていたの?」「午前中体操して、ベランダへ出たかな、忘れちゃった。お昼ご飯が終わって部屋に戻り、ベッドに入ったら、ご主人から電話ですよって起こされてパッチリ目が開いた。窓の外の垣根の上が赤くてきれい。その向こうは駐車場、その先はどうだったか見えないから分からない」「何度も一緒に散歩に行ったよ」「洗濯物を出しておけと言われて出しておくと持って行って洗ってくれる。自分でやりたいのに管理されてる。誰かが持って来たラジオがあるよ」「私が持って行った」「夕方など、音楽が鳴るから聞いている。さっき昼寝してたら電話だって起こされ、あんたからだって直ぐ分かった。よその人はそんなことしてくれないもの」「今日は元気そうで、気分も良さそうだね」「外は垣根の上の方が赤くてきれい。ひらひらと透き通って輝いている。その向こうの駐車場は誰が使ってるの?」「近所の人が使ってる月極の駐車場だろう」「そうか、私のいるところは別だよね」「裏に駐車場があるよ」「外に出ないから忘れちゃった。外は静かで明るい」「いいね、落ち着いていて」「今日は体操があった。ここでの時間のやりくりは一人ではできないからおまかせだ。たわいもないことで時間が経つ」「お昼は何を食べた?」「おいしかったよ。何だっけ、どこかから取ったお弁当みたい。忘れちゃうから書いておかないとダメだね。何で外へ出ちゃダメなの?」「世界中に伝染病が流行っていて、あんたたちが感染しないように外出禁止にして、面会もできなくしている」「私は身を守る仕組みの中にいるのね。暇になると市役所の傍から手賀沼を通って坂を登って家に行くの。あなたは家に住んでるけど、私は戻らなきゃならないから泊まれない。プンプンだ。そんなことばかり考えている」「ぼつぼつ電話を終わる時間だ。明日も電話するね」「ああ、一緒にいたいよ。電話返してくるね」200503c.jpg
(待っても待っても鳴かぬキジの雄、鳴かぬはずだよ直ぐ後ろ、草に隠れて雌がいた。)

長く伸び花房の先まで開いた藤棚の花

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.2)
(アルツハイマー)

長く伸び花房の先まで開いた藤棚の花。200502.jpg

鳴いて羽ばたき尾羽を広げたキジ、広げた尾羽の先に雌が見え隠れ。200502a.jpg

遊歩道脇で何かを啄んでいたムクドリ、撮ろうとレンズを向けた途端に逃げられた。200502b.jpg


『昨日は掛川へ行ってきた』 (2020.5.2)
昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はいはい」「お昼食べた後にベッドで昼寝していた。昨日は寝込む程はないが頭が痛かった。今日は痛くはないが重い。あなた元気?」「元気だよ」「昨日は掛川へ行ってきた。同窓会に出て遅くなる前に帰ってきた。疲れて直ぐ寝てしまった」「掛川に行った?」「行ったよ」「誰に会った?」「困ったね。名前が出てこない。新幹線に乗って日帰りで戻った」「お金持っていたの?」「お金はない。そうか、行かなかったのかな。やっぱり行ったよ。いままで寝ていたから訳が分からない。何でそう思うのかなぁ。行ってきたけど想像かなぁ」「そこは外出禁止だから想像か夢だろう」「逆川や西高に行った。楽しかったよ。会った人は憶えていない。考えてみたら行かれないよね。あはは。困っちゃったな。掛川に行ったことを否定するものは頭の中にない。帰ってきたら早く寝た」「私も夢を見るが、夢は辻褄の合わないことばかりだ」「掛川で降りて、掛川で乗った。ついでに岩滑に行った。母が倒れたかと思って行った」「お母さんは生きてたの?」「会わなかったが嬉しかった。中方辺りで誰かに会って、母に会いに行ってきたと話した」「楽しくてよかったね」「やだよう、行ったつもりで満足して寝た気がする。あなたに黙って行ったから報告しようと思ったのに、夢だったんだ。CDを掛ける絵、壁に貼ったよ」「昨日職員さんが貼ってくれたよ。何処かに仕舞い忘れて、鏡台の引き出しに入っていたのを職員さんが探し出してくれた」「鏡台の引き出しか」「CDを掛けてみて」「電源入れた。次は?」「CDボタン」「どこにある?」「絵を見てごらん」「眼鏡を掛けなきゃ見えないよ。見えた。これだ。次は?」「矢印、横の三角印」「鳴ったよ。眼鏡を掛けたら見えたよ」「電話機を返してきてから歌ってね。楽しくなるよ」「どこへ返す?」「事務所」「どこ?」「部屋を出て玄関手前の左側」「分かった・・・。電話終わりました」200502c.jpg
(ふと目にとまったコバンソウ、蘇った子ども時代のふる里の道端)

緊急事態宣言後は更に忙しそう

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.5.1)
(アルツハイマー)

朝早くから荷物の積み卸し作業、緊急事態宣言後は更に忙しそうになった早朝の事業所。自粛の生活を裏で支えてくれる運送業。200501.jpg

昨日と同じ木の、同じ枝の同じ場所にホオジロ。200501a.jpg

ヒヨドリが飛び去ったら、木の下へ何かを啄みに来るスズメ。200501b.jpg


『今日はおバカさんだね』 (2020.5.1)
妻と電話した昨日午後、「もしもし」「はいはい。昨日ファックスで送ったラジオでCDを掛ける方法の絵を見た?」「そんな絵は知らない」「昨日受け取ったはずだけど」「らちの明かない電話でごめんね。何の絵?」「ボタンの名前を言われても分からないから絵に描いてと頼まれて、昨日送った」「まだ事務所にあるかもしれない、行ってくる」「もしもし、もしもし・・・」「主人がファックスを送ったけど、着いていますか? 主人と話して下さい」と職員さんに代わる。職員さんが部屋に同行して探してくれ、鏡台の引き出しから出てきた。職員さんが操作して音楽が聞こえてきた。「もしもし、何だかわからないからしまっておいたみたい。何で送ったの」「一昨日の電話で、押すボタンの順序とボタンの場所の絵を描いてと頼まれ、昨日は電話が終わったら送るって話した」「そんなに毎日電話で話した? 知らない。私の頭はだんだんバカになりつつあるね」「歌って楽しく過ごせば頭の回転もよくなるよ」「一人で歌うの? つまんない」「CDで歌ってるのに合わせればいい」「そうすれば一人じゃないね。早速やるよ。分からなくなったら説明に来てよ、近いんだから」「伝染病が流行ってるから、面会はできない。職員さんに教えてって頼みな」「技術者を呼んでもらうの?」「職員さんなら誰でもわかる」「みんなが分かって私だけが分からないって言うの? 泣きたくなっちゃう」「泣かないでよ」「あんたを困らせては悪いから泣かないよ」「昨日はお利口さんだったのになぁ」「今日はおバカさんだね。ここにいると不安だよ。もうここにいなくてもいい?」「家にいると、二人とも年を取ってできないことが増え、共倒れになっちゃう」「それはそうだ」「そこにいれば食事も、生活の支援もあるし、訪問診療のお医者さんも来てくれる。そこにいれば安心だよ。伝染病が治まったら面会に行って、一緒に散歩もできるよ」「その日を楽しみにするか」「また明日電話する」「事務所に電話返してくるね」200501c.jpg
(一羽が潜れば一羽が浮上、また潜ればもう一羽が浮上。いつも一緒なのに、今日はタイミングが合わないカイツブリのペア。)