刈り取られた市民農園跡の菜の花畑

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.4.22)
(アルツハイマー)

刈り取られた市民農園跡の菜の花畑、通路脇に一列だけ残して。200422.jpg

遊歩道を歩けば、枯れた葦の穂の向こうに雲間の日の出。マスクを着けず遊歩道を走るジョギングの人、思わず背を向け息を止めて通り過ぎるのを待つ。200422a.jpg

遊歩道脇で囀るホオジロ。近くを散歩の人が通り過ぎても逃げもしないで。200422b.jpg


『悔しいなぁ、今は我慢か』 (2020.4.22)
元気な声だった昨日午後の妻との電話、「もしもし」「はーい」「あなたに電話しようと一生懸命電話番号を調べていた。もう暗唱できた」「毎日私から電話してるのに、何の用事?」「いつ帰れるか聞こうと思って」「伝染病が流行っていて、面会も外出もできないし、私も感染しないように家にいる。今は帰れない」「伝染病かぁ。いつになるか分からないね。悔しいなぁ、今は我慢か、バカヤロー。これあなたに言ったんじゃないよ、伝染病に言ったんだ。ここから逃げ出し、市役所の先から手賀沼の傍を通って坂を登れば家。帰らなきゃ洗濯物だって溜まってる」「洗濯物が溜まったって職員さんに言えばいい」「そう言う。だけど帰りたいよ」「伝染病がなければ、娘たちが来たとき外出して、家でみんなで食事したり話をすることにしていたが、伝染病で面会も外出もできなくなった」「代償はくれないの」「国が国民全員に10万円ずつくれる」「もらっても、すぐ近くにいるのにオーイと呼ぶこともできないし、本を読む気にもならない。ここにいたらご飯も出るしおやつも出るからいいけど、ここにいるのはもう飽きた」「贅沢言うなよ。去年辛かった頃、施設に入りたいって言って、一緒にここを見学して申し込んだのに」「申し込んだのは憶えてる」「12月まで待って空きができ、仕度をしていた。1月になって膵炎を再発して入院し、その間にいろいろな記憶が消えて、ここへ入所したことも記憶に残らなかった。ここに来て、膵炎も再発していないし、目眩や吐き気、頭や耳がガンガンするのもなくなった」「元気になったよ。ご飯も出る、何もしなくても生活できて至れり尽くせりだけど、私は何をしていればいいの」「ラジオやCDを聴く、テレビを見る、写真を見る、ノートに書く、新聞や本を読む。いっぱいあるよ」「後で喜びになるように、わがままは言わないで解除になるのを待つね。だけど家に行きたい」「天気回復で元気な声になったね」「私も元気を維持する。あなたも病気にならないでね。電話できてよかった」「明日も電話するよ」「ありがとう。切るよ」200422c.jpg
(繁みの中に雌がいるのか、鳴いて羽ばたき繁みに向かって尾羽を広げるキジの雄。)