ケヤキの木の向こうに見えた月

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.3.11)
(アルツハイマー)

水生植物園跡に差し掛かれば、ケヤキの木の向こうに見えた月。200311.jpg

遊歩道脇の木の天辺、空を見上げて鳴くホオジロ。200311a.jpg

振り子が幾つも重なって揺れるように葦の枯れ茎、瞬時の隙間から撮れていたオオジュリン。200311b.jpg


『なんで私はここに入ったの?』 (2020.3.11
昨日午後電話したらSさんが応答「元気にしてますよ。ラジオ体操はやったし、ニコニコしてます。今は部屋にいます」と言って、「ご主人から電話」「ああよかった」と電話機を受け取る妻の声。
「もしもし、暫くぶりね」「昨日も電話したよ」「電話じゃ分からなくなっちゃう。なんで私は監獄みたいに閉じ込められているの?」「コロナウイルスが流行で、感染しないように外に出ないようにしてるんだ」「じゃああんたも家の中にいるの?」「家の中にいるよ」「何してるの?」「ご飯食べて寝るだけ」「私だけじゃないんだ。なんで私はここに入ったの?」「二人で家にいたとき、何回か救急車を頼んだり、タクシーの運転手に助けてもらってあんたを病院に連れて行ったが、私も年を取っていざというとき一人であんたを助けることができなくなってきた。それでそこの人たちに助けてもらうために入った」「そうだったのか。言いたい放題言ってはだめだけど、あんただからつい言ってしまった。」と、説明したときは理解するが、何度説明しても直ぐ忘れて、なぜ家でいっしょに暮らせないのか、なぜここにいるのかを悩んでいるようだ。
「昨日ハガキを出したよ」「今日来るかな」「未だなら明日だな」「あんたの声を聞いたら元気が出たよ。久々に笑った。いつ伝染病は治まるの? 憎たらしいけど手が届かない。だからふて腐っている。家の中じゃ動けないけど、テレビでニュースの時や音楽の時は見に行く。今は本も読みたくない。家の中じゃあ運動量も足りないよ」「部屋の中を歩き回ったり、本の文字を追うだけだっていいさ。気が晴れるよ」「声を聞いたら生き返った」と言って泣き声。「泣かないでね」「電話ありがとう。どうやったら切れるの、忘れちゃった」200311c.jpg
(写真:3年前ころは、ジャックに会いたい妻を連れて歩いた遊歩道)