東から南の地平線高くまで厚い雲

撮影ノート『手賀沼有情』 (2020.2.6)
(アルツハイマー)

上空は晴れでも東から南の地平線高くまで厚い雲。対岸の丘の上に着陸を待って旋回していた成田着便の灯、一機が高度を下げ成田空港に向かった。200206.jpg

岸辺から飛び立ったカルガモをレンズの先で追えば、着水しようとした辺りにはマガモらしい群。200206a.jpg

埋立地の杭を越えて飛来したアオサギ一羽。200206b.jpg


『太い綱を引っ張って鈴を鳴らす』 (2020.2.6)
妻に面会に行った昨日午後、部屋のドアを開けたらベッドの上でノートを読んでいた妻。私に気付くびっくりしたように「来てくれた。詮は生きてたの。よかった」と叫んで、号泣しながら起き上がった。「どうしてもっと早く来てくれなかったの」「いつもより10分も早いよ」「朝から窓の外を見ていたが誰も来てくれない。あなたを探しに行こうとして出掛けたが、道が分からなくなって探せない。家に行ったらいるかと思って、家にに行こうとしたらどこだか分からないところにいた。知っている人に会ったら道を聞いてみようと思ったが誰にも出会わない。知ってる人の家に行って聞こうとしたが行き着けない。困っちゃった。詮は生きているかどうか心配であせったが、どこへ探しに行ったらいいか分からない。困った。怖かった」と言ってまた泣いた。「ここはグループホーム寿だから、どこにも出掛けていないはずだよ。探しに行ったのは夢だったのか空想だから心配しないで」「ああ、詮が生きててよかった。あんたが死んじゃったらもう来てくれなくなるし、誰も頼る人がいなくなっちゃう」「膵炎で近くのT病院に入院していた時みたいに妄想の世界を歩き回っていただけだ。家は直ぐ近くで、車なら5分で来られるじゃない」「よかった。詮が無事だったから」と話しているうちに落ち着きを取り戻してきた。
気分を変えようと「散歩に行こうか」と誘ったらベッドから降りてきた。Oさんの了解を得て出掛ける仕度をしていたら、今日もまた「トイレに行きたい」と待たされる。運動靴がうまく履けないのでOさんに手伝ってもらい、子の神大黒天へ出発。歩きながら「この景色、前にも見たことがある」と言ったが、3日前にケアマネージャだったMさんや長女が来てくれて一緒に散歩に来たことは思い出せなかった。子の神大黒天の境内から手賀沼を眺め「ここはどこ?向こう岸が我孫子?」「ここが我孫子、向こう岸は沼南、柏市だよ」「私の頭の中の地図にはないところだ」と。賽銭を渡すと、太い綱を引っ張って鈴を鳴らす。時間を掛けて祈っていたが、何を祈ったのだろうか。
グループホームが見える場所まで戻って来たら「どこにいるのかもう分かった」と言って、先に玄関へ。出迎えてくれたOさん、「今日は感情の起伏の激しい日ね」と私に囁いた。部屋に戻ると、3時のおやつだからと係の人が迎えに来た。「明日もまた来るよ」と妻に声を掛けたが、係の人とテーブルに向かうことしか頭にないようだった。200206c.jpg