雲の向こうから差し込んでくる朝の光

撮影ノート『手賀沼有情』 (2019.10.20)
(アルツハイマー)

いつまでも暗い曇天の朝、膨らみきった風船のように薄くなった雲の向こうから差し込んでくる朝の光。191020.jpg

雲の隙間から陽光がこぼれ落ちたら、波立った水面が輝き、繋がれた小舟はシルエット。191020a.jpg

まだ晴れない霧の中、斜面林の枝に止まったヒヨドリ。1羽が飛び立ったら別のヒヨドリが来て止まったヒヨドリ好みの枝。191020b.jpg


『現実と妄想が混ざり合ってしまったとき』 (2019.10.20)
昨日夕方、玄関の鍵を開ける音がして、ドアが開くとW園のTさんに付き添われ戻って来た妻。「ただいま」とテンションが上がった声で入ってきた。Tさんが帰ろうとするとまた一緒に外に出て、Tさんの車が立ち去るのを見送っていた。一人になると、「ああ、疲れた」と言い、台所に来て「自分の家はいい。ほっとする」「もうどこにも行きたくない。RセンターもW園にも行くのはやめた」と言う。「どうして?」と問えば、「いやだから」「どうしていやなの?」「私がいやなものはいやなの」「何がいやなの?」「大きな部屋に大勢の人が詰め込まれ、今迄一緒だったグループから別なグループに入れられた。みんながそれぞれ勝手なことを話していたからさっぱり訳がわからない。みんなをまとめることなんか出来るはずがない」と。帰ってきて自宅はいいと感じたことから、自宅に留まる理由を探して妄想したのだろう。過去の教師やボランティアをやった記憶から、周りの人たちの会話を盛り上げようとしても入り込めず、自分の役割が果たせないと思っているのかもしれない。現実と妄想が混じり合ってしまったときはその話題から離れるしかない。「アイスキャンディか杏仁豆腐かゼリーのどれがいい?」「杏仁豆腐」との答えを引きだし、食卓に杏仁豆腐とスプーンを置いた。
ショートステイ利用生活状況のレポートの中にTさんが書いてくれた妻の生活状況、『顔なじみの方々と談笑されている姿も多く、また居室で持参されていた書類を見て「今日は何日?」「Rの運動会が・・・。」等悩まれており、その都度説明すると納得はされますが、数回繰り返しがありました。トイレや居室の場所は憶えられており、ご自身のペースで館内を歩いて好きな場所でお過ごしです。T』とあった。持参した書類とはRの月間予定表だろう、持ち帰った予定表の19日の欄に印刷してあった『運動会』はボールペンで塗りつぶしてあり、別の日の『お茶会』も同じように塗りつぶしてあった。出発前に自宅で運動会の支度をすると困らせたと同じように、予定表の『運動会』の文字を見るたびに思い出していたのだろう。数回繰り返して説明されその都度納得したようだが、それも10分後には忘れ、次ぎに『運動会』の文字を見たときはまた繰り返して悩んでいたのだろう。
今朝、目覚めたばかりの妻の様子を見に行ったら、「夕べはい色々なことを考えていたが、頭の中がごちゃごちゃになっていて訳がわからなくなっていた」「頭の上の方にいろんなこと、いろんな時のことがごちゃごちゃ詰まっていて、どれとどれを繋げればいいか分からなくなっていた。台所のことや洗濯は下の方にあるから困らない」と言っていた。191020c.jpg